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雪の箱庭

「狼陛下の花嫁」二次小説を書いています。SNSで書いたものを掲載します。

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君のいない時間

皆様今日は♪

こちらはパラレル「帰還編」で、
夕鈴が突然居なくなってしまった時の陛下の気持ちを書いたものです。

突然夕鈴が消え、気持ちが追い付かない黎翔。
李順からある事を聞くが―――?

―――――――――――――――――――――

【パラレル】
【現代・原作どちらも出ます】



夕鈴がいなくなった。ある夜に突然。

その日は政務が長引いて、夕鈴と一緒にいられる時間が減ると、僕はイライラしていた。
李順はそんな僕の状態を意に介さず、テキパキと書簡を積み上げていく。
こいつが目を光らせているうちは逃げられそうもないな…。
僕は半ば諦めモードで筆を持ち上げた。

そうして終わらない政務を片づけていると、夕鈴付きの侍女が来て「至急、陛下にお目通りを!」との報告があった。かなり焦っていた様子だったそうなので、すぐに通した。
聞かされた内容は、驚天動地。まさに予想外のことだった。

「―――消えた?夕鈴が?」

そんな馬鹿なはずはない。私は耳を疑った。
警備の者も、異常はなかったと言い、他の侍女も夕鈴が部屋を出た姿は見ていない。
報告している侍女も気が動転していて、泣きそうになっている。

「―――はい。ほんの一瞬、目を離した隙に…」

そこまで聞いて、私は妃の―――夕鈴の部屋へと走り出した。
宰相の元へと行っていて中座していた李順が戻ってきて「お待ちください、陛下!何事です?!」とか何とか言っているが、説明している時間はない。
報告していた侍女も、慌てて付いてくる。

夕鈴の部屋へ着くと、そこには夕鈴付きの侍女が一人居て、状況を把握できていない様子だった。報告していた侍女が追い付いてきて、詳しい状況を話す。

―――背後で何か光った?

後ろ向きの侍女が感じるほど強い光ならば、この部屋にあるもので出すことは不可能だ。
しかし、元に夕鈴は消えた。
突然後宮に現れた夕鈴。
それが突然いなくなることの意味は
―――まさか…

「―――陛下。何事です?」

追いついてきた李順が、息を切らせながら問う。

「夕鈴が消えた。」
「―――は?」

そう言い、人払いをして李順と二人きりになった黎翔は、李順から驚愕の事実を聞いた。

「―――では、まさか…」
「ええ。そのまさかではないかと思います。彼女は、未来に戻られたのではないでしょうか?」
「―――っっ!!!」

黎翔は暫し呆然としていた。

***********************

「――――何故言わなかった、李順。」
「何のことですか?」
「夕鈴のことだ。―――鏡が光ったなどと、私は聞いてないぞ。」
「聞かれなかったもので。」

李順はしれっと答える。
その答えに私は苛立ちを覚えた。
しかしその私の状態を知ってか知らずか、李順は話し続ける。

「―――陛下。これで良かったのでは。」
「―――何がだ?」
「夕鈴殿は元々この後宮には居なかった人物ですし、戻れたとしたら彼女としても幸いではないかと思います。臨時花嫁として、縁談除けとしても随分役に立って頂けましたし。ここらでお帰り頂けたのは丁度良い頃合いだったのではないかと…」
「私は納得していない。」
「陛下…。」
「私は夕鈴が帰ったなどとは、まだ認めていない。」
「ですが現状、彼女がいないのも事実です。これから、彼女がいない事は周りに知れるでしょう。誤魔化すことは不可能です。」
「病気療養で実家に戻ったことにすればいい。恐らく未来に帰ったのなら、半分は本当だ。」
「ですが」
「夕鈴の部屋もそのままにしておく。侍女には手入れするよう伝えておけ。いつ、妃が帰ってきても良い状態にせよと。」
「…はぁ……。分かりました。そのように伝えておきます。ですが陛下。これだけは伝えておきますよ。夕鈴殿が戻られたとしても、彼女は臨時の妃。あなたはこの国の王。いずれ、本物の妃を迎えられるお立場。いつまでも夫婦ごっこはしていられませんよ。」
「…。」

私は李順の言う事を黙殺して、部屋から出た。
李順の言う事は事実。私はいずれ然るべき家柄の娘を正妃として迎えねばならないだろう。
しかし、夕鈴と一緒に居ると楽しかったのも事実。安らいだのも事実だ。
王としてそれを求めるのは…出来ないのだろうか。
回廊を歩き、夜空を見上げながら、黎翔は思い沈んだ。



それからというもの黎翔は夜、政務が終わり就寝の時間が近づくと、夕鈴の部屋に来ていた。
毎日ではないが、2、3日に一度の頻度で必ず訪れ、その度に溜息をついた。
時折卓に向かい、その上に乗っている碁盤を弄る。
これはどうやら夕鈴が用意していたものらしい。
あの時のままにしてある。
そしてまた溜息をつく。
その後宮の主の様子を、事情を知る夕鈴付きの侍女たちは、痛ましげな顔をして認めた。



昼の四阿。
ここも、夕鈴とよく昼食をとっていた場所だ。
今は一人。食事も味気ない。
周りの花を見渡すも、何の感慨も湧かない。

『陛下!見て下さい!あのお花、すっごく綺麗じゃありません?』
『あ、陛下。池に魚がいます。見て下さい。ここ、ここですよ。』
『あの木…何て言う木ですかね…。あの実は食べられるんでしょうか…?』

君がいた頃は、この庭の風景も色や香りもあった。
しかし、君がいないというだけで…こんなにも―――

「―――やはり、私には君が必要だ…。」

王は、一人呟いた――――――


―――――――――――――――――――――

陛下にとって、夕鈴という存在は思った以上に心に残った、という事を書きたかったんです。

例え、このまま本当に夕鈴が戻ってこなかったとしても、何らかの拍子でふと思い出すくらいには。

だけど、陛下はまだ執着まで行ってない気がするんですよね…この辺りは。

自分で書いててアレですが←おい


→「遺されたもの」へ

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「狼陛下の花嫁」の二次小説を書いています。
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