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雪の箱庭

「狼陛下の花嫁」二次小説を書いています。SNSで書いたものを掲載します。

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黒夢 3

続きです♪
…ちょっと夕鈴が痛いです(/´△`\)
苦手な方は、見ないで下さいね。

下町へ帰ってきた夕鈴。
しかしその下町では、とんでもない事になっていて―――?!

―――――――――――――――――――――――――――


冷たい声が聞こえた、と思ったら、すぐに自分を抱き締めていた感触が消え失せる。
その直後、呻き声が聞こえた。

「――――ぐっ!!」
「―――へっ…李翔さんっ!?」

陛下、と叫ばなかった自分を褒めてやりたい。
ここには本来、居ないはずの人物か何故かそこに立っていた。
―――几鍔の首を掴み、外壁に押し付けて。

「―――何をしていた…」

黎翔は紅い瞳を細らせて、几鍔を見据える。
首を掴んでいる手に力を込めながら、そう問い掛ける。

「―――ぐっっ…!お、お前には、関係、ねぇ…!」

几鍔は自分の首を絞めつけている手を掴みながら苦しそうに、そう答える。
それを見ている夕鈴は、突然の事態に体が震え始めていた。

―――何?!何が起こってるの…っ?!

何故陛下がここに居るの?
そして、何故陛下が几鍔の首を絞めつけてるの?
訳が分からない事だらけだ。
でも、これだけははっきり言える。

「り、李翔さんっ…!や、止めて下さいっ!」

夕鈴は黎翔の行いを止めるため、そう叫んだ。
しかし、振り返った黎翔は、その冷たい目を夕鈴にも向ける。

「――っ?!!」
「―――君は…この男を庇うのか…?」

その声はあまりにも冷たく、目も鋭い。それは

―――狼陛下だ…!

そう、夕鈴に伝えていた。
怖い。
陛下が…私を…こんな目で見るなんて…!
今までこのような目で見られた事があっただろうか。
刺客と対峙して、陛下を止める私を咎めるような眼で見られた事はある。
でも…こんな…
“私”を…本気でこのような目で見る陛下は…初めて見る。
怖い…っ
夕鈴は戦慄した。

「―――君が、この男と結婚するという話が出ているのを聞いた」
「っ!それはっ…」
「――本当の様だな…」
「ぐっ……うっ……っ!」

ぎりぎり…と、黎翔の几鍔の首を絞める手に力が入った。
それを見た夕鈴は、悲痛な声を上げた。

「几鍔っ…!!や、やめ…っ……陛下っ、止めてっ!!」

あらん限りの声で、夕鈴は叫ぶ。
その声が届いたのか、ピクリ、と黎翔が込めていた力を緩める。
どさりっ、と几鍔が崩れ落ちる。

「―――ッ、げほっ…ごほっ…―――はぁ…はぁ…」
「―――几鍔っ………っ!!?」

崩れ落ちた几鍔を見て、夕鈴は駆け寄った。
しかし、もうちょっとで几鍔に辿り着くというところで、横から強く引っ張られた。
夕鈴は黎翔に二の腕を掴まれ、その腕の中に居た。

「な…っ、へいっ」
「―――君は、この男と結婚するのか?」
「は…っ?」
「――この男のものになるのか?」

ぎり…っと、夕鈴を掴む手に力が入る。

「――痛っ!!」
「――君が、他の誰かのものになるくらいなら…」

すらり…と、鈍い銀の光が、夕鈴の視界に入る。

「へ…っ、陛下っ!?何を…っ?」

夕鈴はそう問うも、一目瞭然だった。
黎翔の右手には、鈍く光る剣が握られていた。
そして、その切っ先を几鍔に向けている。
―――陛下は、几鍔を斬るつもりでいる!?

「――君と結婚する筈の男が居なくなれば、君は嫁がなくて済むのだろう?」
「な、何を言って…っ?陛下っ!どうしちゃったんですか…っ!?」

夕鈴は必死に止めようとする。
いくら陛下でも、これはやり過ぎだ。
几鍔は何もしてないのに、何でその几鍔に陛下が剣を向けてるのっ?!
何とか止めるために黎翔の右腕を掴みたくても、夕鈴自身、黎翔の左手に自分の左腕を掴まれ強く抱き込まれているため、腕を出すことが出来ない。
だから夕鈴は、その右腕が持ち上がるのを、見ていることしか出来なかった。
剣が振り上げられ

ブンッ

空を斬る音が聞こえた。

「――っ!!や、止めてーーーーーっ!!」

夕鈴は目を瞑って、力いっぱい叫ぶ事しか出来なかった…



カンッ ガキンッ

軽い音が聞こえた後、重い音が響いた。
夕鈴は恐る恐る目を開ける。
そこには、恐れていた光景は広がっていなかった。
黎翔の剣は、几鍔の顔の…耳の直前で止まっていた。
剣が突き立てられた為か、几鍔の後ろにある外壁がパラパラと音を立てて欠けた。
几鍔は目を瞑っていたが、覚悟していた事態にならなかったからか、恐る恐る目を開ける。
そして黎翔は、自分の剣を止めた方向へと目を向けた。

「―――何故邪魔をした…浩大」
「だって…そいつは何もしてないじゃん?いくらへーかでも、その男を斬ったらダメでショ」

どうやら、陛下の剣を止めたのは、浩大だったらしい。
重い音の前に軽い音が聞こえたが、それはその音だったのか。
事態を呑み込めた夕鈴は、安堵の溜息を漏らす。
すると、夕鈴を抱く黎翔の腕に力が込められる。

「道具の分際で…主に立て突くか?」
「いくら道具でも、主が間違ったことをしようとしたら、止めるヨ?」

緊迫した空気が辺りに立ち込める。
一見飄々とした声音だったが、浩大は冷や汗を流している。
夕鈴は、ごくりと唾を嚥下した。
心臓がバクバク音を立てて暴れている。
すると、その空気に割り込む声があった。

「――おい、状況を説明しろ…――とりあえず、夕鈴」
「あ…何…?」
「何じゃねー…無事だな…?」

几鍔だった。
いきなり呼ばれた夕鈴は気の抜けた声を出したが、几鍔は努めて冷静な声を出す。
その声は、嘘偽りなく、ただただ幼馴染の無事を確認するものであった。

「え…ええ…無事だけど…」
「そうか、ならいい。―――そして、お前。…李翔、だったっけか?」
「―――」
「夕鈴、こいつの事『陛下』って言ってたよな」
「え…あ…」

そうだった。
最初は気をつけていたものの、途中からそれどころでは無く、陛下と呼んでいた。
――ど、どうやって説明しようっ!?
そんな夕鈴の動揺を気にもせず、几鍔は黎翔に鋭い目つきで睨みつける。

「―――とりあえず、夕鈴を離せ」
「断る」
「―――何だと?」

夕鈴を離すよう言う几鍔に対し、黎翔は短く返す。

「夕鈴は我が妃…―――私の唯一の妃だ。この腕に抱いて何も問題は無い」
「へ、陛下っっ?!何言ってるんですかっ?!!」

その言葉に夕鈴が目を剥いた。
―――バイトは終わったのにっ、陛下は何を言ってるのっ?!
夕鈴は状況が分からなくて、震える体を持て余していた。

「―――妃?こいつが?」
「そうだ」
「ち、違っ」
「違わない―――君は、私の妃だ…夕鈴」

几鍔が呆然とした声で問い、それに黎翔が肯定する。
すぐに夕鈴が否定するも、それすら黎翔は否定する。

「――君が結婚するかもしれない…そう聞いた時、私の心はそれを認められなかった」
「陛下……?」

黎翔が静かに話し始める。
その少し落ち着いたと思われる陛下の声に、夕鈴も少し落ち着きを取り戻した。
次いで首を傾げる。
―――何故、陛下がそれを?
今更ながら、ただのバイトの結婚話を聞いてやって来た陛下に疑問を持つ。

「――そもそも、何で陛下がここに?」
「…今言ったであろう…君の結婚話を聞き、ここに来たと」
「…何でですか…?」

夕鈴は素朴な疑問を口にする。
しかし、それが黎翔の機嫌を更に悪化させる事となる。

「―――何で?」
「…っ、いっっ!!」

ぎり…っと、夕鈴の腕を掴む手に力が入る。
その強い力に、夕鈴は悲鳴を上げる。

「それを君が聞くのか?―――こんなに私の心を乱しておきながら」
「へっ…!」
「――君が他の男と結婚するなどとは…許せぬ」
「陛下っ?!」
「君は、このまま王宮に連れて帰る」
「―――ッ!!」

紅い瞳が夕鈴を貫く。
その瞳は、まるで獲物を定め、今にも食らい付きそうな…狼の瞳だった。
それに射抜かれた夕鈴は、震える体を更に揺らした。

「―――させるかよっ」

几鍔が吠える。
その声の方に、夕鈴は顔を向ける。
その姿は先ほど黎翔に剣を向けられた時とは違い、毅然としていた。
いつの間にか拾ったのか、その手には木の棒が握られていた。

「いくらへーかでも、このやり方はマズイと思うんだよねぇ…」

浩大が武器を構える。

「ほう…私に楯突く気か…――良い度胸だ」

二人の様子に、黎翔が口角を上げ、冷たく言い放つ。
それを見てしまった夕鈴は、ぞくりと背筋が凍りついた。

「…や…待っ…」
「―――夕鈴は下がっていろ。――すぐに終わる」

黎翔は夕鈴を下がらせる。
そして二人に向き合うと、すらり…と剣を構える。

「――覚悟するんだな」
「はっ!――それはこっちの台詞だぜ」
「お妃ちゃんの為にも陛下を止めるのが…俺の役目だと思うんだよね」

三者がそれぞれ言い終ると、再び緊迫した空気に包まれる。
夕鈴は震えて言葉を発するのが難しくなっていた。

「――あ…や、止め…止めて…」

何とか発した声は、囁きに近かった。
――どうすれば良いの?
誰にも傷ついて欲しくない。
陛下にも、浩大にも、几鍔にも。
でも…今の陛下を止める術を、思いつかない。
どうすれば…どうすればっ!
身近な人たちが、傷つけ合うなんて…しかも、私のせいで……っ!
嫌っ――!

しかし、夕鈴の願いは空しく、事態は最悪の方向へ進もうとしていた。
――三人が同時に動いた
――武器を互いに振り被る

夕鈴の目に、その後の惨劇が浮かび上がる。

「―――っっいやーーーーーーーーーーーっっ!!!」


**************

――――――――――――――――――――――――

ぶちっ。

私が書いたもの史上、最も黒い陛下です。


4へ続く

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*Comment

NoTitle 

黒陛下、発見!(☉ ౪ ☉)

こんな陛下も好きな私はやっぱりハラグr・・・・
このようなお話を書けるさきさんもハラグr・・・・・(*≧m≦*)

4も待ってます!\(・o・)/!
  • posted by ママ 
  • URL 
  • 2013.12/18 15:54分 
  • [Edit]

ママ様へ 

…(・・?

ナンノコトデスカネ(・・?
ワタシ、ワカラナイネ(笑)
  • posted by さき 
  • URL 
  • 2013.12/18 16:40分 
  • [Edit]

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