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雪の箱庭

「狼陛下の花嫁」二次小説を書いています。SNSで書いたものを掲載します。

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聖夜の奇跡

皆様お晩です。
そして、再びMerry Christmas!!!←何回目だ

こちらは、以前N様のリクエストで書いたものの続き…的なものです(笑)
クリスマス、で何か書こうとしたら、このお話しか思い浮かばなかった私です←

という訳で、どうぞ!

――――――――――――――――――――――――――――――

【現代設定】
【両想い】
【年齢逆転】
【捏造】



カキカキカキ…

「―――ここは……で……、そう………こうなって―――」

カキカキカキ…

パラパラ…

二人きりの部屋に、ペンを走らせる音と資料を捲る音が響く。
それと、教える夕鈴の淡々とした声。

「…………であって」
「ねぇ、夕鈴?」

耐えきれなくなって、黎翔は問うた。
しかし、間髪いれず夕鈴も返す。

「ここでは『先生』です」
「そうじゃなくて…夕鈴」

夕鈴は溜息を吐く。
こうなった黎翔は、言う事を聞かないと身に染みていた。

「―――なあに?黎翔君」

ここは夕鈴の部屋。
いつもの家庭教師と生徒の風景。
…しかし、今日は。

「夕鈴…まだ勉強するの?」
「当たり前でしょ?何のための家庭教師なの?」
「そうじゃなくて…今日はクリスマスだよ?」

そう、今日はクリスマス。
世の恋人たちが浮き立つ、一年に一度の大きなイベント。
去年までは黎翔もどうでも良いと思っていたが、今年は違う。
今年は、夕鈴が居る。
恋人になって初めてのクリスマス。
…そもそも、恋人になってまだそんなに日は浅いが。

この間、キスをし損ねた日。
あの時は父親が妨害してきたが、今日は違う。
今日は父は仕事が忙しく、絶対に来られない。
恋人らしい事をするにはうってつけの日なのに…こんな日まで、夕鈴は家庭教師の使命を果たさんと力んでる。
僕としては、勉強よりも夕鈴といちゃいちゃしていたい。
―――キスしたい。本当は、それ以上も。
でも“それ以上”は、きっとまだ夕鈴の気持ちが追い付いていない。
夕鈴の初めての恋人になれたのは嬉しいけれど、目の前に愛しい人が居て何も出来ないのは、ある意味拷問だ。
せめて、キスがしたい。

「だって…今日も家庭教師の日だって…」
「誰に聞いたの?」

まあ、察しはつくが。
どこまで邪魔する気なのだろうか。
せめて、クリスマスくらいは祝福する気は無いのか、あの人は。

「…珀教授です…」
「やっぱり。―――ね、今日はもう終わり。こっちに来て?夕鈴」

ペンを仕舞い資料を退け、黎翔は夕鈴を手招きする。
夕鈴は躊躇する。
何せ、この男の子は恋人同士になった途端、スキンシップが過剰になった。
…いや、恋人同士になる前から、何かと触ってきたりしていたけれど。
思えば、まだ私に恋が芽生える前からキスも仕掛けて来てた気がする。
だから、過剰に警戒してしまう。
その手招きに応じて大丈夫なのかと。
でも確かに、と思わないでもない。
今日はクリスマス。
街は飾り立てられ、人々が行き交う。
そんな日にも勉強していたのでは、流石に黎翔も気が滅入るだろう。
そう思った夕鈴は、手にしていた資料を仕舞った。
黎翔の近くには寄らないが。
何をされるか分からない。

「―――ところで夕鈴。」
「…何?」
「昨日、何してたの?」

ピシリ…と夕鈴は固まった。
それは、絶対に聞かれたくない事だったからだ。
何故なら、確実にややこしくなるからだ。

「…バ、バイトよ?」
「夕鈴、今は僕以外のバイトは、ほとんどやってないよね?確か…コンビニだけだったっけ?」

そうなのだ。
この家庭教師を始めてからというもの、家計は大助かり。
長く勤めているコンビニバイト以外、辞めても支障のないものとなっていた。
まあ大きな原因としては、家庭教師がほぼ毎日入っているから出来なくなった、と言う事だが。
収入としては以前よりも多いので、夕鈴としては申し分ない。
コンビニは、夕鈴自身も気に入っていたので辞めなかった。
しかし…昨日は。

「昨日はシフト、入って無かったよね?」
「…」

そう、黎翔君の言う通り、昨日は本来、家庭教師もコンビニバイトもない、休日。
だけど夕鈴は、黎翔には言えない“別のバイト”をしていたのだ。

「―――じゃあ、何のバイト、してたの?」
「―――それは…」
「言えないの?」

追及が思ったよりも厳しい。
隠し通すのは無理そうだ。

「―――クリスマスケーキを売るバイト…臨時で、高収入だったから引き受けたの。大学で募集していたから…」
「そっか…」

黎翔が納得したように言ったから、夕鈴は安堵した。
―――のも束の間。

「―――まだ言ってない事があるよね?夕鈴?」

背筋が凍り付きそう。
何故なら…――――黎翔君が冷たい頬笑みでそう問うてきたから。

―――駄目だ!“あの事”だけは言えないっ!!!

夕鈴の背中に、冷や汗がだらだら流れる。
黎翔は、そんな夕鈴をじー…っと見つめた。
そして、夕鈴が口を割らないと確信したのか、溜息を吐く。

「―――当ててあげようか。」
「―――え…?」
「サンタのコスプレをしていた。」
「―――ッッ!!?」

何故知ってるのっ?!!!
ケーキを売る、しか言ってないのに!!!

「寒い冬空の下、赤くて可愛いサンタワンピを着て、笑顔でクリスマスケーキを売ってたんでしょ?」
「――っ、何でそれをっ?!!!」
「だって見たんだもん」
「!!?」

あれを見られていたのかっ?!
恥ずかし過ぎる!!!

「何だか夕鈴の声がするな、どれだけ夕鈴が恋しいのか、と思っていたら、実際そこに夕鈴が居るんだもん。驚いたよ。――――まさか、サンタのコスプレを…しかも、ミニスカートとは思わなかったけどね…」

黎翔君の後ろにどす黒いオーラが見える。
それを察知できるぐらいには、夕鈴は黎翔と付き合いが長かった。
慌てて逃げようとするのも後の祭り。
目の前に黎翔が立っており、夕鈴は座ったまま壁際に追い詰められていた。

「―――僕以外に、ああいう恰好を見せて…貴女は本当に僕の恋人って言う自覚があるのかな?」
「そ、そ、そんなの…!恋人は関係ないでしょうっ?あれは、制服みたいなものだし…!」
「でも、他の店員は着て無かったよね?」
「だって、服が合うのが私しかいなくて…!」

これは本当だ。
他のバイトの子は、みんな服の方がちっちゃくて、着られるのが自分しかいなかったのだ。
折角のクリスマスなのに、ケーキの売り子なのに、サンタが居ないのでは様にならない。
嘆いた店長を見かねて、夕鈴が自分から申し出たのだ。
それの何が悪いの?
黎翔君ははぁ…と溜息を吐いて、私の目の前にしゃがむ。
私の横に手をついて、間近で喋る。

「―――夕鈴がお人好しなのは知ってたけど…何も、あんな恰好を自分からしないで欲しかったな…」
「だって…」
「次は無いからね?」

冷たい頬笑みで「…ね?」と言ってくる恋人に、逆らえる人はいるのだろうか。
いや、居ない。
夕鈴は慌ててコクコクと頷いた。
途端ににっこりと柔らかい笑顔になった黎翔君に、夕鈴はほっと安堵の息を吐いたのであった。



「―――で、何でバイトしてたの?」
「え…」

もうその話題は終わったと思っていた夕鈴は、またもや固まってしまった。
それはいつかは言おうと思っていたが、まだ内緒にしていたかった事だ。
…まあ、元々今日言うつもりだったけれど。
理由までは、言いたくない。
けれど固まった私をどう思ったのか、黎翔君は再び追及の瞳になった。

「ふ~ん…あくまで言わないつもり…?」

先ほどまでの笑顔はどこへやら。
真顔でこっちに来るから、夕鈴は後ずさるしかない。
しかしそこは再び壁際。
夕鈴は追い詰められている自分を自覚した。
顔の両側に黎翔の手がつかれる。

「―――で?」
「な、な、何が…?」
「何でバイトなんてしてたの?夕鈴は今特にお金に困っている訳じゃないよね?」

やはり言わなければならないのだろうか。
…というか、言わないと大変な事になる気がするのは、私の気のせいなの?
唇を噛んでいると、黎翔君の声が低くなるのを感じた。

「…どうしても言わないなら……―――キスするよ?」
「な!何でそうなるの!?」

どうしてそういう発想になるの?!
相変わらず、黎翔君の頭の中は難解だ。

「―――夕鈴?」
「な、何っ?」
「僕……ずっと我慢して来たんだよ?―――恋人なのに、キスもまだなんて…」
「そ、それは…」

正直、まだ気持ちが着いて行かない。
黎翔君とキス…だなんて、考えただけで頭が沸騰しそうになる。
夕鈴は顔が赤くなるのを止められなかった。

「―――――――そんな顔をされると…本当に我慢出来ない。」
「え…?―――っ!?ちょ、ちょっと待っ…」
「待てないよ。」

黎翔君の顔が徐々に近づいて来る。
顔の横に黎翔君の両手があるから、逃げられない。
必死に黎翔君の胸を押し返してみるものの、全く手応えが無い。
黎翔君の綺麗な顔が間近に―――――
夕鈴は混乱した。
目がぐるぐるして、頭が沸騰しそうだ。
いや、もう沸騰していて、何も考えられない。
だから、つい口に出てしまった。

「―――言う!言うから…離れてーーー!!!」
「―――本当?」

少し離れてくれたものの、完全には離れてくれない。
どうやら、この体勢で話さなければならないようだ。

「……………黎翔君と……」
「…僕と?何?」
「――――――――――――――――……黎翔君と…ケーキ…一緒に食べたかったの…」
「―――」

ポツリと呟かれた言葉は、僕には予想外の内容で。
てっきり臨時で入ったバイト代を“自分以外の誰かの為”に使うのかと思っていたから。
家族の為なら良い。でも、もし他の男だとしたら?
目の前で震えている兎に“怖い事”をしそうで恐ろしかった。
しかし夕鈴の口から出てきた真相は、自分が考えていたものから程遠かった。
むしろ―――

「―――僕の為?」
「!!!」

夕鈴が真っ赤になる。
嬉しくて、つい力加減を忘れて抱き締める。

「れ、れ、れい、黎翔く…!く、苦しい…っ」
「あ!ごめん!つい嬉しくて…」

黎翔は力を緩めるものの、夕鈴は離さない。

「――でも、僕とケーキを食べたかったって…ケーキなら、こっちで用意したのに…」
「それじゃ駄目!私の方が年上なのに…少しはお姉さんぶらせて…」

家庭教師の時以外は、いつも黎翔君にリードされている。
こう言う時くらい、大人ぶらせてくれても良いだろう。

「―――あそこでバイトしたら、あの店で一番高いケーキをただで貰える事になってて…今日、それを一緒に食べようと思ってたの。」
「ゆう…」
「本当は夜に驚かせたかったんだけど…」

するり、と夕鈴は黎翔の腕から離れ、隠してあったケーキの箱を持って来る。
少し名残惜しかったものの、黎翔は素直に待っていた。

「これ…黎翔君のお口に合うか分からないけど…一緒に食べよ?」

中に入っていたのは、一目で高級と分かる品だった。
宝石の様な輝きを放つ、瑞々しいイチゴ。
寸分の乱れもなく整ったクリーム。
その上にかかっているソースは、きっとビターチョコで出来ているのだろう。
これを自分と食べる為にバイトしていた夕鈴。
黎翔は愛しさが急に込み上げてきた。
そっと、夕鈴が持っていた箱を取り、机の上に除ける。

「え…黎翔君?」
「…」

夕鈴を抱き締める黎翔。
―――こんなプレゼントは初めてだ。
自分には、自分から何かを貰おうと搾取する人間しか群がって来なかった。
誰かから何かを貰えるなんて、夢にも思わなかった。
―――夕鈴が初めてだ。
愛しさを覚えたのも。何かを与えられるのも。
だから、止められなかった。

「れい…――っ!!?」

夕鈴は一瞬何が起こっているのか分からなかった。
でも…間近に見える黎翔の顔と、唇に感じる熱に、黎翔にキスされているのだと分かった。
でも、離れようとは思わなかった。
夕鈴は開いていた眼を閉じる。
―――温かい。
唇だけでなく、心まで。
何かが満たされていくようだった。
それまでキスですら怖がっていた夕鈴はそのことを忘れ、暫し黎翔との触れあいに安らぎを覚えていた。

黎翔の唇が離れる頃には、静寂が部屋を包み込んでいた。
黎翔は夕鈴から顔を離すと、その頭を胸に閉じ込める。
夕鈴も黎翔の背中に手を回す。

「―――ね、どうだった?初めてのキスは…別に怖くも何ともないでしょ?」
「ど、どうだったって…」

かあぁー…と赤面する。
何せ初めての事だ。緊張はした。
…だけど、怖くは無かった。
むしろ、安らぎさえ感じたのだ。
好きな人とのキスがこんなにも嬉しい事だとは、夕鈴は知らなかった。
温かくて…柔らかくて。
幸せを分けて貰っているみたいだった。

「―――じゃあ、もうちょっと良い?」
「え…――っ!?」

黎翔に再び口づけられる。
しかし、先ほどの様な安らぎは、そこにはなかった。

「――っ、んっ……!」

深く、深く、貪り尽くす様な口付け。
夕鈴は息が出来なくて、苦しくて涙が出た。
その涙に気付いた黎翔は唇を離した。

「―――ごめん、我慢出来なかった。」
「―――っ、な、な…!今のは…!」
「あれもキスだよ?」

嘘だ!
あんなの、キスじゃない!絶対に!
だって苦しくて…今にも溺れてしまいそうだった。
現に夕鈴は黎翔の腕に縋らなければならないほど、力が抜けていた。

「今のはお仕置き――――僕に内緒で、あんな恰好してたんだから」
「なっ…!!?」
「それとも…もっと大人のキス、してみる?」

ぱくぱくぱくと、夕鈴は開いた口が塞がらない。
そんな夕鈴の唇を、黎翔は思わせぶりに指でなぞる。

「―――ね、どうする…?僕は別に構わな…」

言いかけた所で、バッと夕鈴が腕を振り上げ立ち上がる。

「れ、れ、黎翔君の馬鹿ーーーーーーーーーっっっ!!!」

夕鈴は脱兎の如く逃げた。
黎翔はその後ろ姿をくすり…と笑いながら見る。

―――あの兎さんは、本当に逃げられると思っているのかな…?

束の間の追いかけっこを楽しもうと、狼はゆっくりと立ち上がった。



――――――――――――――――――――――――

ふふふ(  ̄▽ ̄)✧
何が奇跡って…出会って数カ月。
ようやく二人にも恋人らしい事をさせることが出来ました(笑)

ここまで甘いのは、初めて書きました(ふぅ~~…疲れた)←本音が
とりあえず暫く甘いのは良いや(ポイッ)

3時間クオリティでした。
楽しんでもらえたら、幸いです♪

ちなみに元ネタはこちら→「学ぶ事は…


では、もう一度。

Merry Christmas!!!!!
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*Comment

NoTitle 

"""。・:*:・゚☆メリークリスマス・:*:・゚☆"

トーーーっても甘いお話ですわ♡きゃ(〃ω〃)
もう、なんてリア充なのかしらん♪

口づけだけで甘甘だなんて・・・・流石さきさん。←?
狼の追いかけっこはしつこいよ( ̄▽ ̄;)ね?
  • posted by ママ 
  • URL 
  • 2013.12/25 22:12分 
  • [Edit]

ママ様へ 

甘い話になっていましたか(^_^;)?
良かった…(ホッ

口付けだけで甘甘…というよりも、口付けだけで精いっぱいというのが本音です(笑)←

狼から逃げられるのかっ?!
兎の運命や如何に?!←
  • posted by さき 
  • URL 
  • 2013.12/26 13:00分 
  • [Edit]

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Author:さき
さきと申します。
「狼陛下の花嫁」の二次小説を書いています。
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