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雪の箱庭

「狼陛下の花嫁」二次小説を書いています。SNSで書いたものを掲載します。

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夕鈴、下町へ行く 1

皆さんこんにちは!
昨日年賀状を書き終わり、後はクリスマスの片づけを残すのみとなった私です!

さて。パラレルの続きです。
タイトルの通り、夕鈴が下町に行きます。
ただし…原作と違うのは、夕鈴に下町での知り合いなど皆無な所。
その辺を頭に入れつつ、お読みくださいませ~。

過去の章安区がどのような所か気になった夕鈴。
黎翔に許可をもらい、訪れた下町で出会った人物とは―――?

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

【パラレル】
【現代・原作どちらも出ます】
・オリキャラさん登場します



「ところで陛下。私下町に行ってみたいんですが。」
「え?何で?」
「この時代の章安区がどんな場所なのか見てみたいんです。」
「―――じゃあ僕も」
「陛下は予定がぎっちりみっちり詰まっております!!」
「…だそうですよ?」
「…じゃあ、浩大を連れて行ってね。あんまり危ない所に行っちゃだめだよ。今日中に帰ってくること。」
「分かりました。」

子供ですか、と李順は思ったが口に出さなかった。
出したら、目の前の主の機嫌が下がることは間違いない。
李順としても、慣れない後宮の中で夕鈴が窮屈な思いをしていると感じていたので、下町で羽を伸ばすのもいいでしょう、と許可した。


********************************

「夕鈴様、こちらですわ。」
「あ、瑤花さん。待って下さい。これは何ですか?」
「ああ、これはですね。」

後日。私は瑤花さんと下町まで降りてきた。
白陽国王都、乾隴。
王宮がある都として、ここはとても栄えていた。
市場に並ぶ、様々な食品。
綺麗な装飾品や衣服。
見たこともないものばかりで心が躍る。
まるで子供のようにはしゃぐ私を瑤花さんは咎めもせずに色々教えてくれた。

―――これは西国の首飾りです。安くて丈夫なものを大量に生産することに成功したそうですよ。

―――これはこの国に伝わる伝統工芸品です。この細工がとても緻密で…繊細な色合いも、その人気の秘密です。

―――ああ、これは下町のお菓子ですね。組み合わせを変えることで様々な味を出すことが出来るものです。これが一番人気があるようですよ。食べてみますか?

せっかく下町に来たので、陛下にも何かお土産を…と、考えながらてくてく歩いていたのが悪かったのか、突然何かにぶつかった。

「―――っきゃ!」
「うわっ!」
「夕鈴様!」

ぶつかって尻餅をついてしまった。
どうやら人とぶつかってしまったようだ。
不覚だ。あまり人とぶつかったこと無かったのに。
いつもは気付いてひらりと躱すのに。
よほど浮かれていたらしい。

「大丈夫でございますか?」
「ありがとう。大丈夫です。あの、そちらの方は大丈夫ですか?」
「ええ…すみません。ぶつかってしまって。考え事をしていて…。」
「ああ、大丈夫です。こちらも考え事をしていたのですから。こちらこそすみません。」
「…優しいお嬢さんですね。ありがとうございます。」

そう言って笑う目の前の男性は…
―――何だか見たことあるような…
夕鈴は首を傾げた。
どこかで会ったことがあるのだろうか?
でも、下町に来るのは初めてだし、この白陽国に知り合いなどいない。
じゃあ、この人の雰囲気は…。
…でも、何だか…喉まで出かかっているような…

「…?僕の顔に何か付いてますか?」
「いえ―――…。…あの…」



「やっと見つけたぜ!!!」
「「「!!!?」」」

和やかに談笑していた3人(瑤花さんは特に喋っていなかったが)は、驚いて声のする方角へと振り向いた。
そこには、如何にも柄の悪そうな5人ほどの男たちがいた。
その人たちはこちらに向かって真っすぐ向かってくる。
周りの人々は避けるように道の端へと後ずさった。
―――あれ、こっちへ来る…

「…夕鈴様、あちらへ参りましょう。」
「え…?え、ええ…。…でも…。」

瑤花さんが私を促して離れようとする。でも私は「一体あの男たちは何なんだろう。」と考えていた。
そう思って傍の男性を見上げると―――青ざめていた。

「―――え?お知り合いですか?」
「いや…知り合いってわけじゃないんだけど…ちょっと…ね…」
「…?」

そうこうしていると、男たちが目の前に立ちはだかった。

「おうおうおうおう!今日こそツケを払って貰うぜ。」
「一体いつまで待たせんだよ。いい加減払えよな!」
「こっちは慈善事業してるわけじゃないんだぜ。」

…何だか話が見えてきた気がする。
つまりこういうことだろうか…

「…あの。お金を借りてるんですか…?」
「ああ…。つい、闘鶏場で賭けに遣い過ぎてね…。手持ちが無くなってしまったから、借りたんだ…そしたら、額が物凄い事になって…。」
「…。」

どこかで聞いたことのある話だ。
確かうちの父も…ギャンブルにお金を使い過ぎて、私がバイトを詰め込まなければならなかったような…。
こういう話は世界各国、時代が違っても転がっているらしい。

「おう、姉ちゃん。こいつと知り合いか?」
「へっ?」
「知り合いなら、こいつのツケを代わりに払ってくんねえかなぁ。」
「え?…へっ!?」
「何だか良い着物着てるみたいだし…。どっかのお嬢様か?お金もたんまり持ってるんだろ?」
「や、止めろ!この子は関係ない!」
「お前はすっ込んでろ!」
「うわっ!」
「あっ!」

傍に居た男の人が吹っ飛ばされた。
何て弱いんだろう…じゃない!何て乱暴な男たちなの!?

「ちょっと!何するのよ!酷いじゃない!」
「ああん?威勢の良い姉ちゃんだな。それで、代わりに払ってくれるのかい?」
「何で私が払わなくちゃならないのよ!」
「こいつと知り合いなんだろう?じゃあ、払ってくれよな。こいつ、一向に払わねえんだ。こっちも困ってるんだよ。」

知り合ってまだ数分しか経ってないわよ!
あの男の人はそんなに悪い人には見えなかったけど…そこまでする義理はないわ!
そう思っているのに、男たちは私たち二人を囲みだした。

「私とそこの人はさっきここで偶々ぶつかっただけ!知り合いじゃないわ!」
「そうなのか?―――ま、細かい事はいいや。じゃあ、俺たちと遊んでくれよ。それならいいだろ?」
「―――はっ!?」

何でそうなるのっ!?
知り合いじゃないって言ったのに、今度は「遊べ」?
―――冗談じゃないっ!
こんな柄の悪そうな奴の言う「遊ぶ」が、まともな遊びな訳が無い!
言いあぐねてると、瑤花さんが怒った様子で私の前に立った。

「―――お止めなさい!この方は、あなたたちが気安く話し掛けて良い方ではないのですよっ?」
「よ、瑤花さんっ。それを今言うのは…」
「ああん?お前には聞いてねえよ。すっ込んでろ。」
「きゃっ!」
「あっ!瑤花さん!―――ちょっと、女の人に何て事すんのよ!」
「ほ~ら、あんたはこっちだぜ。」
「ちょっと、気安く触らないでよ!」
「ははっ、気の強ぇ姉ちゃんだな。」

男の人を飛ばされて、瑤花さんを飛ばされて、自身も腕を掴まれていた夕鈴は―――

―――とうとうぶち切れた。

「―――っ!ふざっけんじゃないわよっ!!!!」
「うわっ!」

腕を勢いよくぐるりと回し、男の手から逃れた夕鈴は、その勢いのまま手刀を男の首に食らわした。その男が一瞬苦しそうに顔を歪めたところで、素早く衣服の裾をたくし上げ、男の急所に蹴りをいれた。
―――まずは一人。
残りは4人か…いくらなんでも一人で相手が出来る人数じゃない。
あの男性は倒れてるし、瑤花さんも気を失ってる。
周りの人だかりは見物しているだけで、助太刀してくれる雰囲気はない。
―――ここはこの場を離れるに限るわねっ!
夕鈴は駆け出した。
その後ろを「あ!待て!」と追いかける男たち。
人混みを掻き分けて、とにかく私はその場を離れた。


*************************

「―――ここまで来たらいいかしら。」

そこは開けた空地。
逃げる時は人間心理で狭い空間に入ってしまいがちだと聞いたから、出来るだけ広い所を選んだ。
恐らくどこかから浩大は見ていると思う。
…というより、逃げてる時に数を減らしたのかしら?
振り向いた夕鈴は、追いついて来た男たちを見た。数は2人に減ってる。

「へっ、諦めたのか。」
「何だか知らない内に2人減ったが、まだこっちは2人。お前は1人。…敵うと思ってんのか?」
「そうね…。」

見ていると思ったが、数が減っていると言う事は、浩大が減らしたのかも。
ということは、多分、倒した二人をどうにかしているのだろう。
となると、姿が見えないのはいないということなのかもしれない。
さすがに男二人に敵うとは思わないけど…それでも、恐らく浩大が助太刀してくれると思うから、それまで何とかして時間稼ぎをしないと。

「ここまで焦らしてくれたんだ。ただで済むとは思ってねえよな?」
「せいぜい楽しませて貰うぜ…。」

どこかの小悪党の言葉ね。
じりじり距離を詰められる。
こちらも臨戦態勢になりながら、後ろに退く。

―――男の一人がこちらに向かってきた

手を伸ばしてきたから、その手を払って下から顎に向かって掌底を食らわした。
相手が「ぐっ…!」と背を逸らせた隙に、その腹に向かって両手を突き出し、体重を乗せて思いっきり押し出した。

「ぐあっ!!」

―――よし、上手くいった。
実戦でこの技を使うのは初めてだったが、どうやら上手くいったようだ―――と、安心している場合ではなかった。
もう一人がこちらに走ってきた。
慌てて体勢を整えて、向かってきた拳を躱す。
隙が出来た相手のお腹に向かって拳を突き出す。
さすがに女の力なので、そこまで強くはないが、相手を怯ませるには効果的であった。
少し屈めた相手に向かって、裾をたくし上げた夕鈴は顔に向かって蹴りを入れる。
相手はそのまま倒れ伏す。ピクリともしない。

―――どうやら気絶したようだ。

夕鈴は汗を拭う。
一人なら何回か対峙したことはあるが、二人の男を相手に戦うのは久しぶりだ。
鈍って無くて良かった…。
…それにしても浩大はどうしたのかしら?
あんまりにも遅くないか。
―――何かあったのだろうか。
そう心配し始めていた夕鈴は、背後からの気配に気づくのが遅れた。

「―――っ?!」
「―――へっ!やってくれるじゃねえか!」

しまった!
最初に倒したと思っていた男が、気が付いていたようだ。
首に腕を回された夕鈴は、肘鉄をくらわせるも、相手の腕は解けない。
むしろ、更にきつく絞められた。

「…うっ…!」
「なめた真似してくれるぜ。この落とし前は高くつくぜ!」
「ぐぅっっ!!!」

苦しい。息が出来ない。
足をガンガン相手にぶつけていたが、興奮しているのか、大して効いてない。
酸欠で目の前が霞んできた。耳鳴りがする。
―――誰かっ!

ドゴッ

――――え?

グイッ

何か鈍い音がしたと思ったら、いきなり引っ張られた。何かが倒れる音がする。
私は何か温かいものに包まれた。
その腕の中で私は無意識にほっとした。
そんな思いとは裏腹に、男の腕から解放された私は、流れ込んでくる空気に咳き込む。

「ゴホッ…ゲホッ…ゴホッ…は、はぁ、はぁ…うっ…」
「大丈夫か?夕鈴。」

喉を摩って、息を整えていた私の耳に入ったのは、聞き慣れた低い声。
フードの付いた外套を纏って、メガネをかけていたから最初は気付かなかった。
けど、よくよく見たら―――

「…え?陛下?何でここに?」
「―――何で?それはこちらの台詞だ。…何をしているんだ?夕鈴。」

冷たいオーラを纏って、陛下が私に聞いて来る。
私に向かって、こんな冷たい雰囲気で話すのは、刺客が来た時以来だ。
私を包み込む腕は温かいのに、浴びせられる空気は冷たくて、寒気がした。

「え…。あの、何だかよく分からないうちにこの男たちに絡まれて…。」
「浩大から経緯は聞いている。そうではなくて、何で君がそれに巻き込まれるんだ?」
「それは私が聞きたいですよ…。」

本当に。こっちが聞きたい。
ぶつかってきた男の人と話をしていただけだったのに、いつの間にか絡まれていたのだから。
それに、二人を傷つけられて、頭に血も上った。
気が付いたらこの状況である。
逃げても、追いかけてきたのだから仕方ないと思う。
―――私って、災難を引き寄せる体質だったかしら…?
そういえば現代でも…。
いや、やっぱり一番の災難はこの時代に来た事だと思うが。
そう、半ば諦めモードで考え事をしていたら、陛下にぎゅっと抱きしめられた。

「―――陛下?」
「―――この姿の時は“李翔”と呼んでくれないか?さすがに下町で“陛下”はまずい。」
「ああ、それもそうですね。―――李翔さん?」
「―――うん。何?」
「いえ、それはこちらが聞きたいのですが…。」
「…君が無事で良かった。浩大から聞いた時は、心臓が潰れるかと…。」
「…大げさですよ。」

全くこの人は。
すぐに話を大きくするんだから。
―――まあでも、心配掛けちゃった、かな?

「――――夕鈴様っ!ご無事ですかっ!?」
「―――大丈夫ですかっ!?」

遠くから瑤花さんとさっきの男の人が駆け寄ってくる。
陛下…もとい李翔さんは、二人が近づいてくると共に私を離した。
近づいた瑤花さんは、私に抱きついていた“李翔さん”の正体に気づき、拱手しようとしたが、ここがどこだかを思い出し、会釈する程度にとどめた。
隣の男の人は、そんな瑤花さんの様子に気づくこともなく。

「すみませんっ。大丈夫でしたかっ?!」
「私は大丈夫でしたよ。二人こそ、大丈夫でしたか?」
「私共は大丈夫です。気が付いたら町の人に、夕鈴様がすぐに悪党を引き離して下さったとお聞きして、すぐにこちらへと窺いまして…肝が冷えました…。」
「心配掛けてごめんなさい…。私は、この人が助けてくれたので大丈夫でした。」
「一人は完全に夕鈴が伸してたけどね。」
「…夕鈴様、無茶です。」
「でも、大丈夫だったし…」
「危険ですわ。男性を相手に、素手で…」
「そうだよ。そんな時には僕を呼ばないと…。」
「へ…っ、李翔さんを呼べるわけ無いでしょう!」

「あの~…」

三人三様の主張を言っていると、置いてきぼりになっていた男性が気まずそうに声をかけてきた。

「あ、あなたも大丈夫だった?怪我はしてない?」
「はい。大丈夫です。…なんだかすみません。変な事に巻き込んでしまって。」
「…お前は何者だ?夕鈴とはどういう関係だ?」
「へっ…李翔さん?!」

いきなり狼モードが発動した。
どうしたというのだ。この人はまだ何もしてないのに。
ああ、目の前の男性が狼陛下に委縮して声も出せなくなってしまったではないか。
先ほどは取立人に絡まれて、次は狼陛下に絡まれるとは、この人も運が無い。
―――じゃなくて。

「す、す、す、すみません!悪気はなかったんですっ!というか、全くの偶然が偶然を呼んで!あの…」

男性は委縮のあまり、何を言っているのか分からない。
自分も怯んでる場合ではない。
ここは一つ、空気を変えよう。

「あの!そういえばまだお名前を聞いてませんでしたね!あなたのお名前は何ですかっ?」
「―――夕鈴、名前も知らない相手と仲良くしてたの?」
「李翔さんは黙ってて下さいっ!話が進まないです!」
「―――そういえばまだ名乗っても居ませんでしたね。すみません。―――名前は…汀 圭望と申します。」



―――――――――――――――――――――――――

は~い♪
出てきましたよ~圭望さん!

本当はこの人、別に居なくても良かったんですけど…
夕鈴が下町に行く、ときかなかったものですから…(←おい
登場させました!


2へ続く

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Author:さき
さきと申します。
「狼陛下の花嫁」の二次小説を書いています。
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