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雪の箱庭

「狼陛下の花嫁」二次小説を書いています。SNSで書いたものを掲載します。

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夕鈴、下町へ行く 2

続きです♪

瑤花と一緒に訪れた下町で騒動に巻き込まれた夕鈴。
原因となった人物は、夕鈴の――――?!

――――――――――――――――――――――――――――

その瞬間、ぴたりと固まった。
固まったのはもちろん、私。
ちくたくちくたくちくたく…
きっかり10秒ほど固まった後、叫んだ。

「―――え?汀 圭望?!あなた、“汀”さんって言うの!!?」

びっくり新事実だ。
この人、私と同じ“汀”姓なんだ。
もしかして先祖だったりして………
―――あはは、そんなわけ………

「ああ、そうなんだ。―――いや~しかし参りました。一攫千金を夢見て、闘鶏場で賭けごとをしていたは良いんですが、そこでお金を使い果たして借金して、取立人に追いかけられるとは…。…不運だった…。」
「いやそれは不運とかじゃなくて、自業自得…」

―――何かしら。こんな話、私すっごく身近じゃなかったっけ…?
頭が痛くなってきた。
そういえばこの人に会った最初の印象も『笑った顔がどこかで見た事あるような…』とか『雰囲気が誰かに似ているような…』とかだったわ。
どこかでも、誰かでもない。思い出した。
父さんや青慎に似ているんだ。
少しおどけた笑い方が父さんに。
柔らかい雰囲気が青慎に。
終いには“汀”姓。

―――…この人は私の先祖なのかしら?
決まったわけではないけれど。でも、限りなくその予想は近いと思う。
いやでも、同じ姓なんて、ざらにいると思うんだけど…。
でもここまで雰囲気が似るかしら?
う~んう~ん…と頭を悩ませていると、陛下が耳元に囁いて来た。

「―――夕鈴。この人、知ってるの?」
「わっ!いきなり耳元で話さないで下さいよ…。…知ってるというか、何と言うか…。知っている人に似ていると言うか…。」

私にも分からない。
頭がパンクしそうです。
ついでに陛下のその行動のせいで、纏まりかけてた思考が吹き飛びそうです。

「―――私にも分からないんですけど…ここでは話しにくいので、詳しくは帰ってからでも宜しいですか?」
「…分かった。じゃあ、帰ろうか。」
「あ、待って下さい。―――圭望さん。」
「はい?」

二人のやりとりにぽかーんとしていた圭望さんは、少し間の抜けた答えをした。
瑤花さんはというと…何だか嬉しそうにこちらを見ている。
何でだろう。

「私たちはこれで帰りますが…。借金はしちゃダメですよ。返す当てもないのに、お金を借りるなんて言語道断です!こういうことは、計画的にしないと!…ところで返す当てはあるんですか?」
「ああ、それなら多分大丈夫ですよ。几家っていう金貸し業を営んでいるところに、今回一先ず建て替えて貰って…。」
「几家?!」
「…?どうかしましたか?」
「い、いえ…。何でもありませんわ。お気になさらず。…でも、ちゃんと働いて返して下さいよ。こういうことは、あまり良くありません。」
「…すみません。巻き込んでしまって、あまつさえ心配させてしまって…。」
「いえ!何だか放っておけないだけですので!そういう性分なだけです!」

切々と借金はだめだと言っているうちに、信じられない単語が聞こえたような…。
いや、まさか。
でも…“几”家?
まさか…あいつの家の先祖もここにいるのだろうか?
いや、まだそうと決まったわけではない。冷静になろう。
そう考えていたら、お妃口調が表に出てきた。
危ない危ない。ここは下町。ここは下町。

「そうですか?あ、もし宜しかったら、今度お詫びをさせて下さい。私は―――ここに住んでいます。お時間のある時に、遊びに来て下さい。」

そう言ってメモを渡される。
律儀な人だなぁ…こういう所も青慎に似ているかも…。
と、まだ先祖と決まったわけでもないのに、似たところを探している夕鈴だった。

「分かりました。では、また今度お会いしましょう。」

そう言って圭望さんと別れた。
去っていく姿も清々しい。
…先ほど、取立人に絡まれていた人とは思えないほど。

「…夕鈴。僕たちも帰ろう。」
「そうですね…って!あーーー!荷物っ!そういえばどうしたんだっけ?!」
「ご安心ください。私が持って来ましたので。」
「よ、瑤花さん!ありがとうございます!」

何て気の利く人なのだろう!
一緒に居てくれたのが瑤花さんで良かった!
心の底からそう思った夕鈴だった。
陛下が先ほどからずっと見ているのに、気付かないまま。


*******************

「―――で。本当に何があったの?夕鈴。」
「えっとですね…話すと長いような、短いような…。どこから話せばいいんでしょうか…。」

夜の後宮にて。
いつもよりも遅い時間に陛下は渡ってきた。
…何せ、政務が立て込んだからである。
理由は、陛下が途中から居なくなったから。
陛下と瑤花さんと一緒に王宮に帰ってきた頃は夕暮れ。
帰った時の李順さんの顔は…思い出すだけで身震いがする。思い出したくない。
その李順さんに私が一睨みされた後、陛下が連行されて、私は後宮の自分の部屋へと戻った。
さすがに昼間に大立ち回りをしたので、疲れた。
瑤花さんに荷物の事をお願いして、少し仮眠をとらせて貰った。
そしていつもより遅く夕食を食べ、湯殿に入って上がったら陛下が居たのである。
下町での事を聞かれて、夕鈴はもごもごと言いにくそうにしていた。
ちなみに、部屋には瑤花も居る。
下町での夕鈴の保護者のような役割もしていたからである。

「えーっと…まず。下町に瑤花さんと一緒に行ったまではいいですよね?」
「ああ。」
「そこで色々市場を見て回って、ちょっと油断した所であの圭望さんとぶつかりまして…。少し話していたら、借金の取り立て人のあの男たちが来たんですよ。」
「そこでどうしてあんなことになったの?」
「それが…一緒に居たことで知り合いと勘違いされまして…。ほら、下町に行っていたとはいえ、ちょっといい身なりをしていたので、どこかのお嬢様と思われたみたいで…。代わりにお金を払ってくれと頼まれて…。」
「あの汀 圭望というやつにか?」
「違いますよ。あの男たちにです。すぐに圭望さんは知り合いじゃないって言ったんですが、吹き飛ばされまして。知り合いじゃなくても、じゃあ俺たちと遊ぼうぜと言われまして…。」

そこまで言ったら、陛下の顔色が俄かに変わった。
卓の向かいに居る私の手を握り出した。

「…それで?君はどうしたの?」
「…。…私が怒るよりも先に、瑤花さんが前に出まして…。」

そこで陛下は瑤花さんを見た。
瑤花さんは少し肩を竦め「出しゃばりまして…」と申し訳なさそうに小声で言った。
それに何も言わずに陛下は私に視線を戻し「それで?」と先を促した。

「…その後瑤花さんも吹き飛ばされたんです。私も腕を掴まれてどこかに連れて行かれそうになったんで、腕を掴んでる目の前の男をやっつけたんです。」
「―――腕を掴まれた?」
「はい…そうですけど…」

陛下の雰囲気が一段と剣呑になる。
何でだ。

「…どっちの腕?」
「右腕ですけど…」

そう言ったら、陛下は私の右腕に手を伸ばし、掴まれた箇所を摩り始めた。
「痛くはないですよ。」と言ったのだが、無言で摩られ「…それで?」とまた促される。

「…一人倒した後、その場を離れたんです。二人は気絶していたので、場所を変えた方がいいと思ったので。それで、逃げた先に空き地があったのでそこで止まったんですよ。その時には4人だった男たちが、2人に減ってましたが。」
「…そうか。それで?」

瑤花さんには浩大のことを教えてないので、2人に減った経緯は陛下も私もぼかした。

「二人なら何とかなるかもと思ったので、時間を稼ぐために戦ったんですよ。」
「…。」
「一人目を倒した後、すぐに二人目も倒したんですが…油断して捕まったところを陛下に助けて貰って…。―――ここまでです。」
「―――そうか。」

そこまで話したら、陛下は椅子から立ち上がり、私の方へ歩いて来た。
手は握ったまま。
怪訝な顔をしているとぐいっと引っ張られ、陛下の腕の中…というより胸の中へダイブしたので、私は焦った。
別に今は陛下と私と瑤花さんの3人な訳で、夫婦演技は必要ない。
拠って、今抱きしめられる理由が無いはずなのだが…?
そんな夕鈴の様子に構うことなく、黎翔は瑤花に部屋から去るよう指示した。
瑤花は了承の意を示し、静かに部屋から退室していった。
部屋がしーんと静まりかえる。

「―――あの…」
「―――腕ってどうやって掴まれたの?」
「え…?あ、えっと…普通に掴まれただけですが…」
「どんな感じ?」

有無を言わせない陛下の物言いに、俄かに緊張し始めた夕鈴。
「こう…です」と自分で自分の腕を掴んで実演すると、掴まれた右腕を再び手に取り、その腕を持ち上げて…

「―――っ!?うきゃっ…!な、な」
「―――それで?他に掴まれた場所はないの?」
「ありませんっ!後は首を絞められたくらいです!」

腕を持っていかれた、と呆然と見ていた夕鈴は、その腕が陛下に口付けられたのを見て、ぼっと顔を真っ赤にしてパニックになり、その後の自分の発言で文字通り首を絞めたことになったのに気付かない。
陛下が私の首を指先でそっと触る。

「そういえば…僕が駆け付けた時に夕鈴、首絞められてたね…。苦しかった?」
「え…ええっ、確かに苦しかったですけど…」

何で顔を近づけて来るんですか?!
首を絞められていたという話よりも、今現在起こっていることの対処で精一杯の夕鈴である。
腕は掴まれたまま顔を近づけてくる陛下に顔が赤くなっている事は隠せない。
どうしよう…っ、陛下が何をするつもりなのっ?
動揺するも、陛下の腕の力は強いので引きはがせないし、いつの間にか腰も掴まれていて逃げられない。
そうこうしているうちに、陛下の顔は夕鈴の顔を通り過ぎ、首元に埋められた。

「――――っ!?ひゃっ…」

首筋に陛下の息遣いが感じられた。
こんなに異性が近くに来たことのない夕鈴は、もう頭が真っ白になっていた。
掴まれてない腕で、陛下の胸を押すも、びくともしない。
陛下の息がくすぐったくて…力が抜けそう…
そう感じていた夕鈴は、「チュッ」という音に我に返った。
渾身の力で陛下を突き飛ばす。

「―――なっ、な、な、なーーーーーっ!!?」
「―――消毒。」
「はっ!!?」
「他の男に触れられたところは、ちゃんと消毒しないとね。」
「なっ、こんなの消毒じゃありませんっ!!!」

すっかりご機嫌になった陛下に振り回される夕鈴。
陛下に怒りをぶつけるも、全く効いていない。
怒りながらも、機嫌が直ったらしいので夕鈴はほっとした。
二人は長椅子に座る。…陛下が話してくれないので、陛下の腕は肩に回ったままだったが。
改めて圭望に関すること、自分の予想について話した。
ついでに浩大のことも聞いた。

「―――なるほど。夕鈴の話を纏めると、確かにあの“汀 圭望”という人物が、夕鈴の先祖か、何らかの関係者かもしれないね。」
「確かではないのですが…あの借金癖に既視感を覚えるというか…。雰囲気も弟と似ているし。…気のせいかもしれませんが。」
「でも夕鈴はそう感じるんだよね?何らかの関係はあるかもしれないよ。」
「…そうですね。ところで、空き地に居る時にどうして浩大は来なかったんですか?」
「ああ、それは僕が通り掛ったからだよ。夕鈴を探していたら人だかりがいて、それに近づいたら浩大を見つけた。話を聞いて、すぐに夕鈴の方へ向かったから、浩大は別の処理をしていたんだ。」
「…あの居なかった2人の男ですか?」
「うん。倒したんだけど、倒し方がちょっと普通じゃなかったから…隠すのに時間がかかったとか。」
「…なるほど。だから…。」
「―――ねぇ、夕鈴。」
「…何ですか?」

こうやって切り出す時、絶対陛下は何かを私に求めてくる。
そろそろ学習した。
私は少しの警戒心を持ちながら、陛下に問い返す。

「僕以前、君に『無茶しないで』って言わなかった?」
「言いましたね。そして私も『無理です』と答えたと思いましたが。」
「…氾 紅珠の時も『心配だ』って伝えたよね?」
「…言われましたけど…」

だって、危険な時に何もしないではいられないではないか。
…というやり取り。もう何回目だ。

「―――僕は心配なんだ。刺客じゃなくても、君がどこかで危険に晒されてるなんて。なのに君は無茶して戦おうとするし。浩大を護衛につけていても、心配が減ることはない。」

肩に回った陛下の腕に力が入る。
私は困惑する。
陛下は心配している、と言いながらも、どこか苦しそうで。
私に言っているようで、自分に言い聞かせているような…。
陛下の気持ちが分からなくなった。

「―――いっそ、後宮から出さないようにしようか…」
「え?陛下何か言いました?」
「――ううん。何も言ってないよ。」

そう言いつつも、陛下の顔はどこか寂しげで、こちらまで切なくなってくる。
思わず、陛下の頬に手を差し伸べた。
陛下は少し驚いたようだけど、私の手に自分の手を重ねた。
暫くそうした静かな時間が流れる。
時間の経過とともに、自分の行動が恥ずかしくなってきた。
少し赤くなりながら、夕鈴は手を離そうと………離れない。
陛下が嬉しそうな顔をして頬にある夕鈴の手を離そうとしない。

「そうだ。今度から下町に行く時は僕も一緒に行こうかな。」
「え!?陛下も!?や、やめてください!李順さんに睨まれるのはご免です!」
「うん。そうしよう!」
「聞いてます?!」

突然始まった突拍子もない陛下の言い分に、私はびっくりした。
―――李順さんにいつか怒られるんじゃない!?
そう考えついて、何とか陛下の下町行きを阻止しようと模索を始めた私は、直前までの陛下の寂しそうな様子の事が頭から離れてしまった。


――――――――――――――――――――――――

実は未だに几鍔の設定とか、この圭望さんの設定とかをきちんとした形にしてない…ような気がします(おい
いや、圭望さんは良いんですが。
几鍔の方だな~…もうちょい詰めるか←

陛下はとりあえずそろそろ諦めようよ。
夕鈴は大人しくしてないよ。
無理、無理(笑)←


3へ続く

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