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雪の箱庭

「狼陛下の花嫁」二次小説を書いています。SNSで書いたものを掲載します。

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夕鈴、下町へ行く 3

続き&この話はこれで最後です♪

圭望に何やら既視感を覚えた夕鈴だが―――?

――――――――――――――――――――――――――――――


***************************

後日。
再び下町に訪れた私は圭望さんの家へと行った。
…陛下も一緒だ。
この間一緒に行くとか言っていたけど、あれは本当のことだったらしい。
ひっそりこっそり後宮を抜け出したのに、いつの間にか後ろに居た。
瑤花さんが申し訳なさそうにしていたので、瑤花さんは知っていたらしい。
もう、溜息しか出ない。
圭望さんの家の戸を叩く。

「すみませーん。圭望さんいらっしゃいますかー?」
「―――――――――…はーい、今開けまーす。…おや、この間の。その節はお世話になりました。」
「いいえ。あれからどうですか?ちゃんとやってますか?」
「ああそれなら…おっと、立ち話もなんですから、中へお入りください。」

圭望さんに中に入るよう促される。
それに夕鈴、陛下、瑤花さんの順に入る。
中は案外広い。ご家族は何人いるんだろう?

「私は両親は他界しておりまして…妹と二人暮しなんです。」
「そうなんですか…。」

聞いちゃまずかっただろうか。
気まずそうにしていると「気にしないでください。大分昔の事ですし、近所の方も良くしてくれます。」と逆に気を遣われてしまった。
自分も母親を早くに亡くしているので、少しはその気持ちが分かるつもりだ。
でも、その妹さんはどこにいるんだろう…?
きょろきょろしていると、圭望さんが「ああ、妹ですか?今、飯店で働いている時間ですので、留守なんです。すみません。」と言われた。
何も言ってないのに。そんなに顔に出ていただろうか。
顔を触っていると

「あなたは考えていることがすぐに顔や仕草に出ますね。とても分かりやすいですよ。」
「え…。そうなんですか?…気をつけないと…。」

お妃としてはあまり宜しくないんじゃないだろうか。

「夕鈴はそのままでいいよ。」

陛下に頭をぽんぽんされた。
何だか子供扱いされてるみたいで、夕鈴はむーっとむくれた。
すると、他の三人が笑顔になった。…生温かい。
何だか恥ずかしくなって、夕鈴は俯いた。
圭望さんは「何か飲み物をお持ちしますね。そこに座っていて下さい」と部屋から去って行った。
言われた通りに、卓の前の椅子に座った。
右隣に瑤花さん。斜め左隣りに陛下。二人に挟まれるように夕鈴は座った。
圭望さんが飲み物を持って来て、瑤花さんの右斜め前に座った。
陛下と圭望さんが丁度向かい合う恰好となった。

「さて…改めて、汀 圭望と言います。この間は助けて頂いて、本当に有難うございました。」
「あ、はい。ではこちらも改めて。夕鈴と言います。」
「瑤花です。」
「…僕は李翔だ。」
「夕鈴さん…で良いですか?」
「あ、はい、それでお願いします。私も圭望さんで良いですか?」
「それでお願いします。夕鈴さんは普段は何をされてらっしゃるんですか?」
「普段は…。えっと…」

ちらりと陛下を見た。
こういう時の打ち合わせは全くしていなかった。
どう言えば良いんだろう。
言いあぐねていると陛下が口を開いた。

「…彼女は王宮で働いている。詳しくは言えないが、不慣れなため、瑤花を同行させたんだ。」
「なるほど。そうでしたか。」

ざっくりした説明だったが、圭望さんはそれで納得出来たらしい。
…素直というか何というか。
こんなんで世間の荒波をくぐっていけるのだろうかと心配になった。
まあいいかと、こちらも気になっていたことを聞くことにした。

「あの、圭望さん。あれから取立てはどうなったんですか?」
「ああ、あの後、几家に行って、借金の建て替えを頼みました。その几家に友人がいるので、返済計画についてもばっちりです。取立人たちも、几家の人に取りなして貰いました。」
「…几家…。…そうですか。」

そういえば思い出した。
几鍔が「うちは昔金貸しみたいな事をしていた家だ」とか何とか言っていた。
現代の几家は確か何か大きいホテルの経営をしているんだったか…
几鍔はその社長の息子だったんだっけ?
確か会長のおばば様が物凄い遣り手で、あの人が金融関係の経営を止めてそちらに専念したお陰でホテルが成功したはずだ。
…こちらの几家に会うのは…止めた方がいいだろうな。
嫌な予感しかしない。うん。絶対会わないわ。

「まあその代わり、几家で働け!とその友人にきつ~く言われたので、今は毎日働いてます。」
「その方が良いです。ちゃんと毎日働いて、そのお金でやりくりしないと。借金は以ての外です!」
「…夕鈴さんは面白い方ですね。王宮に勤めている方はみんなそうなんでしょうか?」
「いや、夕鈴は特別に面白いんだ。」
「へっ…李翔さん!面白いって何ですか!?普段からそんなこと思っていたんですか?!」
「まあまあ夕鈴様。へ…李翔様は一般論を述べただけですので。」
「瑤花さんっ…!…あれ?…それ、フォローになってるんですか…?」
「え…?ふぉろー…ですか?」
「あ、いえ…なんでもないです。」
「…李翔さんは、ご身分が高いのですか?」
「…この二人の上司、と思ってくれれば良い。」
「…分かりました。」

何かと質問してくる圭望さんに、事情が事情なだけにさらりと答えるしかない状況が続いた。
ひとしきり話したところで、言いあぐねていた話をする。

「あの…お聞きしたいんですけど、圭望さん達汀家は、他にもいらっしゃるんですか?」
「え…?あ、いえ。あまり親戚の話は聞きませんね。章安区の汀家というと、私たちしかおりません。この下町では、私たちだけだと思います。」
「そうなんですか…。分かりました。」

もうほとんど決定で良いだろうな。
この目の前に居る人こそが、私の先祖の汀さん、なんだろうな。
―――なんだか複雑な気分だ。
現代から過去に飛ばされて、そこで偶然自分の先祖に会うなんて。
―――ついでに、この借金癖。父さんの「あれ」は、先祖からの遺伝だったのかしら…。
溜息が出る。
何だか最近溜息を吐いてばかりだ。
幸せが沢山逃げてる気がする。

この後も少し世間話をして、お開きとなった。
食事を食べていかれませんかと誘われたが、余り長く(陛下が)王宮を空けていると、李順さんに(私が)怒られそう、と断った。
途中で陛下がお土産を買おう、と言いだしたが、それを苦労して宥めて最速で王宮へと帰った。


**********************

後宮、夜。
夕鈴が部屋で寛いでいると、陛下がお渡りとの連絡が来た。
その直後に陛下が訪れる。

「妃よ。待たせたな。」
「陛下……っ。…お待ち、しておりました…。」

陛下が現れたと思ったら、突然抱きしめられたのでびっくりした。
しかし、私は妃。驚いてはいけない。
平常心、平常心…。
顔が赤くなりながらも、何とか陛下の胸に手を当て、やり過ごす。
それを見て少し笑った陛下は、侍女を下げる。

「―――夕鈴。まだ慣れない?」
「―――陛下と違って、私はこういうのに慣れてないんです。そう簡単には慣れませんよ。」
「僕だって、別に慣れてるわけじゃないけど…。」
「何言ってるんですか!さり気なく腰を抱いたり、髪に口付けする人のどこが慣れてない人ですか!」
「えー…それは夕鈴だから…」
「私のせいにしないで下さいよっ!」

そういうわけじゃないんだけどな…。と思ったが、口には出さない事にした。
余計に勘違いされそうな気がしたからだ。
「これ」もまだまだ特訓が必要だな…とほくそ笑みながら、黎翔は昼間のことについて夕鈴に促す。

「そういえば、どうだった?汀 圭望と話してみて。何か分かった事とかある?」
「それがですね…って。陛下?もういい加減離してくれませんか?もう侍女さんはみんな居ないですし。二人で抱き合う必要はないですっ!」
「え~…」
「え~じゃありませんっ!離して下さい!話はそれからです!」

夕鈴が赤くなりながら僕の腕の中で暴れ出した。
自分としては、温かくて柔らかい夕鈴の感触をもう少し味わっていたいんだけど…
と思ったが、これ以上は本気で怒られそうなので、残念そうにしながらも離した。

「…夕鈴、お茶淹れてくれる?」
「あ、はい。わかりました。あちらの卓で待っていて下さい。」
「うん。」

そう言って夕鈴はお茶の準備をする。
今日は少し暑いから…味は薄めにしよう。
茶葉は…うん、これがいいかしら。
大体決まった後は、手早くお茶を淹れ始める。
もう手慣れた作業なので、夕鈴の手さばきは見事なものとなっている。
それを眺めながら、黎翔は椅子に座る。

「――お待たせしました。」
「ありがとう。」
「それで…えっと…。…単刀直入に言います。圭望さんは、私の先祖だと思います。」
「…率直に来たね…。何か話の中で決定打があったの?」
「現代の汀家は、昔からあの地…章安区に居ました。父も『私たちは昔からこの地域に住んでいてな…ここの人たちとも、昔からの付き合いなんだよ…』と言っていたので、この時代の汀家の人が、あの人たちしかいないとなると…そうなんだと思います。」
「なるほど…夕鈴のお父さんがそう言うんだったら、確かにそうなのかもね。…そうか、あの男が夕鈴の…。」
「…あの、陛下?何かありました?」
「―――いや?何も。ただ、どうしようかな…と。」
「…え?」
「いや、何でもないよ。夕鈴が心配することは何もないから。」
「…はあ…。」

腑に落ちない、という顔をしていたが、夕鈴はそれ以上追及してこなかった。

―――大丈夫だよ、夕鈴。僕が考えている「ある策」は、君にとって悪い事ではないから。

黎翔はそう考えながら「ある策」を頭の中で展開していくのだった。

ある策――――
あの男が夕鈴の先祖ならば、この先も健勝でなくてはな。
さり気なく手を回して食料や医師には困らぬようにしよう。
それと、あの借金癖は直させよう。取立人如何では命も危うい。
男と妹どちらが夕鈴の先祖なのかは判明しなかったが、夕鈴が「汀」を名乗っている以上、男の方が確率は高いな。
しかし、妹の方も万が一を考えて、暫く様子を見させるか。

未来の話を完全に信じきれてはいなかった黎翔だが、ここにきて「信じてみよう」という気になった。
例えそうではなかったとしても、夕鈴と関わっていると面白いことが多い。
もちろん、夕鈴本人も黎翔は気に入っている。
夕鈴と関わることで、自分の生活が鮮やかなものとなった。
もっと夕鈴と関わりたい。
もっと自分を頼ってほしい。
そのためには、色々手を打とう。
そう、黎翔は思うようになっていった。

――――――――――――――――――――――――

ふぅ~…やっと終わった…って、長っ!
何でこうなったっ!?

この下町編は、陛下が夕鈴を未来から来たと捉えるためには必要な出来事でした。
だって、こうでもしないと信じないでしょ、この人←
夕鈴も、過去に来ている事は分かっていても知らない場所に知らない人だらけだったから、ここらで先祖に顔合わせ~(笑)


次回予告↓

夕鈴が再び白陽国に来て1ヶ月が経とうとしていた。
そんな中、徐々に陛下も夕鈴も変化が―――――――――

次回「こちらとあちら
お楽しみに!

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