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雪の箱庭

「狼陛下の花嫁」二次小説を書いています。SNSで書いたものを掲載します。

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こちらとあちら

皆様今日はー!
今日も今日とて忙しい…ほへ…

さて、続きです。
「再臨時花嫁編」第8弾!

白陽国での暮らしも慣れてきた夕鈴だが―――

―――――――――――――――――――――――――

【パラレル】
【現代・原作どちらも出ます】



「まだまだ暑いわね…」

昼の四阿。
夕鈴は陛下と昼食を摂るためここに来ていたが、政務のキリが悪いらしく、まだ来ていなかった。
その間、夕鈴は四阿から見える花を眺めていた。
こちらに再び来てから1ヶ月が経とうとしていた。
夏の盛りは過ぎたものの、まだまだ暑さは続く。
加えてお妃衣装は、色々着込んでいるので更に暑い。脱ぎたいくらいだ。
でもそんなことおくびにも出さない顔をする。
この演技にももう慣れた。
慣れてないのは…

「妃よ、待たせたな。」
「陛下…いいえ。花を見ていましたので、お待ちする時間も心地よい時間でしたわ。」

妃に向ける陛下の甘い顔。
真綿で包む様な優しい抱擁。
甘い言葉で妃に囁く陛下の姿は、いかにも愛情あふれる夫の姿だ。
演技だが。

「私は妃に会う時間の引き延ばされたというのに…。我が妃は花の方が良いと申すか。」
「そ、そのようなことは申しておりませんわ…。お待ちする時間も、花を見ながら陛下の事を考えておりました…。」

顔を赤くして少し俯き加減に話す妃の姿は、未だ初々しく見える。
その言葉に気を良くしたのか陛下は「そうか。ならば良い。」と言い、侍女に食事の準備を指示する。

準備が終わると、二人きりにするよう指示する。
もちろん、いつ呼ばれても対応できる距離には居るものの、話し声は聞こえない。
黎翔と夕鈴が寛げる時間の一つだ。
食べながら、夕鈴はそういえば、と常々思っていた事を口にする。

「こちらは暑い、と言っても日差しはそれほどきつくないんですね。私の居た時代は、ここよりも結構暑くなっているので、過ごしやすく感じます。」

現代は地球温暖化が進み、過去の世界であるこの白陽国よりも暑い。
それに道路が舗装されていたり、ビルが林立していたり、車が走っていたりと、暑くなる原因が増加していることも要因の一つだ。
それが無い分、この時代はとても過ごしやすい時代と言えよう。
この衣装で帳消しにされてる感もなくはないが。

「後宮の奥になると、夏の夜は過ごしやすいくらい涼しいですし。」
「夕鈴の時代は、ここよりも暑くなってるの?」
「はい。色々暑くさせるものが増えているので。」
「…そうなんだ。よく分からないけど大変そうだね。」
「大変ですけど、その分色々便利なものも開発されてるんですよ。まあ、あちらはまだ春先でしたけど。」

そういえば、私がこちらに初めて来たのは春。
その時、こちらも春だったのだが、過ごしているうちに夏となり、現代に戻って再びこちらに来た時は、結構な日数が経っていた。それで夏真っ盛りは免れたが、残暑が厳しいのはこの時代でも同じらしい。
例え今現代に戻っても、あちらはまだ春なのだろう。
温度差で風邪を引くかもしれない。
気をつけないと。
そうやって現代の事を考えていたのが分かったのか、黎翔は少し気まずそうに口を開いた。

「―――夕鈴はさ、結局こっちとあっち、どっちが良いの?」
「へ?こっちとあっち?ってどっちのことですか?」
「ここと夕鈴の時代。夕鈴はどっちが良いの?」
「…と言いますと…?」

何だろう。何でそんな事聞いてくるの?
こちらとあちら…それは勿論…現代の方が…
でも、それを言うと何だか怖いことになりそうな気がする。
だって、目の前の陛下は何だか雰囲気が…
それに私は私で、以前は平気で「現代です!」って言えたのに。
何できっぱり言えないんだろう…。
でも目の前の陛下は答えを求めている。
だから、私は曖昧に答えるしかなかった。

「―――…どちらが良い、と聞かれましても、どちらにもどちらの良さがあります。こっちが良い、あっちが良い、とは断言できません。」

その私の曖昧な答えに陛下も「―――そう…」としか答えなかった。

*****************************

夜の後宮・妃部屋。
今夜は卓で陛下と双六をしていた。
…勝てない。
昼間陛下と妙な雰囲気になりながらも「こちらとあちら」の話で、気になっていた事を夕鈴は思い出した。

「そういえば、圭望さんの話にあった『几家』なんですけど。この時代では金貸し業をしていたんですね。」
「…夕鈴の時代にも几家は居るの?」
「はい。…というか、私の幼馴染がそうなんですよ。」
「へぇ~そうなんだ。どんな人?」
「…黎翔様に話すほどの人物じゃないですよ…。」
「え~…何か逆に気になる…。」
「…一言で表すと『嫌なやつ』ですよ…」
「え?」
「あいつはっ!会うたびに私に突っかかって来るんです!『そんなんじゃもてねーぞ』とか言ってくるし!大体、人がもてよーともてまいと、あんたには関係ないでしょうがっ!」
「…えーと…」
「あいつがいくら子分たちに慕われようと!私の親友が『几鍔さん報われない』と言おうと!私はあいつには気を許さないっ!」
「…夕鈴。」
「何ですかっ?!!」
「―――え、えっと…その人って…男?」
「そうですけど何かっ?!」
「―――ふーん…男なんだ…。」

あれ?
興奮して分からなかったけど(いつから自分が興奮していたのかも分からない)。
何だか陛下の雰囲気が急降下したような気が…気のせい?
そして何度目かの対決となった双六。またしても負けた。
いつになったら陛下に勝てるのだろうか…はぁ…
項垂れてると、いつの間にか陛下が立ち上がって隣に立っていた。

「…?黎翔様?どうなさったんですか?」
「…。」

陛下は無言。
どうしたんだろう。何か気に障った事でも言ったかな…。
自分の発言を思い返していると、手を取られて立たされた。
戸惑っていると、長椅子に導かれた。
―――これはいつものパターン…?
警戒していると、やっぱり降ろされたのは陛下の膝の上。
すぐに降りようとするも、やっぱり降ろしてもらえない。
半ば諦めモードに入る。
陛下は私の髪を弄りながら、何だか拗ねているようだった。

「―――あの、陛下?」
「その幼馴染君とは、仲良いの?」
「どこを聞いてたらそうなるんですか?!あいつと私は会う度に喧嘩する、言わば天敵みたいなものですっ!仲が良いなんて、冗談でも有り得ないです!」
「―――本当かな…。」

ぼつりと黎翔は言う。
仲が悪い幼馴染なら、そんなにちょくちょく会うものなのか。
夕鈴は「天敵」と認識していても、あちらはどうかは分からない。
むしろ、いちいち突っかかっている時点で「そう」なのではないかと穿ってしまう。
気を回し過ぎか…それとも…

「陛下っ!そろそろ降ろして下さい!膝に乗せなくても、話は出来るでしょう?!」
「え~」
「え~じゃないです!ちょっと、聞いてます?!」

聞こえないふりをして夕鈴の体を一層強く抱き締めた。
「ギャッ」という声が聞こえたように感じたが、黎翔は軽く流す。

昼間の僕の質問にも、君は曖昧に答えるだけにして、明答を避けた。
それは…少しは僕の事も考えてくれてると思っていいのかな。
君の言葉を信じるなら、幼馴染君のことはなんとも思ってないみたいだし。
少しは…期待しても良いのかな…



人払いをしているのだから、抱き締める云々は必要ないだろうと夕鈴が本気で暴れるまで、黎翔は妃の体の温もりを存分に味わった。


―――――――――――――――――――――――――――――

夕鈴、夕鈴。気付いてる?
几鍔のこと「幼馴染」って言ってるよ。
前は<元>が付いてたのに。

それに膝上抱っこについて「諦めモード」突入してます。
こうして人は慣らされていくのですね…

二人とも少しずつ心境に変化が出てきています。
陛下は夕鈴に対する想いに。夕鈴も陛下に対する態度や思いが。

さて!
一応「再臨時花嫁編」はこれで終わりです!
一話完結のこの編ですが…ここから以前の「臨時花嫁編」とは違い、予告があります!
というわけで↓


次回予告↓

とあることで黎翔と喧嘩をした夕鈴。
浩大は止めるも、下町まで来てしまい――――

次回「悪戯の代償
お楽しみに!

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