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雪の箱庭

「狼陛下の花嫁」二次小説を書いています。SNSで書いたものを掲載します。

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合わせ鏡 1

こんにちは!
何はともあれ続きをどうぞ!

ようやく紅珠と会う事が出来た夕鈴。
しかし、紅珠は突然―――?

――――――――――――――――――――――――

【パラレル】
【現代・原作どちらも出ます】



秋も深まり、紅葉が綺麗になってきた頃、夕鈴は氾 紅珠を後宮に招いていた。
手紙で招待したところ、すぐに返事が返って来た。
紅珠とは、後宮の四阿でお茶をすることになった。

「紅珠…お久しぶりね。」
「お妃様…」

紅珠と会うのは、本当に久しぶりだ。
何せ、あの刺客事件からまともに会っていない。
あれから暫く経った後から、手紙のやり取りはしていたが会う事だけは許されなかった。
氾家への刺客問題が片付くまで、妃に近づくなと陛下が命令したらしい。
ということは、やっと方が付いたのだろうか。
でもその紅珠は嬉しそうな雰囲気ではなく、目に涙を湛えて、震えていた。
どうしたのだろうと夕鈴が思っていたら、突然抱きつかれた。

「お妃様…っ!ご無事でしたのねっ!」
「へっ?」

紅珠は何を言っているのだろう?
最近刺客は来ていないし、特に危険な目にあったこともない。
なのに、何でそんなことを言うのだろうか。

「私…っ、この間陛下に『お妃様にお目通りを』とお頼みしたのですが、陛下は冷たい目で私を見下ろして…。」
「…この間?―――いつの事かしら。私、陛下から何もお聞きしていないわ」
「3週間ほど前ですわ」
「…」

なるほど、やっと分かった。
その頃は、私は“こちら”には居なかった。
きっと、陛下も紅珠に聞かれて困ったに違いない。
まさか、後宮に“妃”として居る私が、後宮に居ない、とは伝えられない。
後宮に従事する女官や侍女ならともかく、一度は縁談候補に挙がった紅珠に、伝えるわけにはいかなかったのだろう。
それにしても、もっと穏便に話をすればいいのに。
こんなに可愛い子を、冷たい目で見下ろすなんて…。
夕鈴は心の中で黎翔を詰った。

「――それにしても、お妃様がご無事で、本当に宜しゅうございました」
「…その、さっきから『無事』って言ってるけど…何かあったの?」
「いえ…その…」

言いにくそうに、紅珠は口籠る。
どうしたのだろう、と夕鈴もごくりと唾を飲む。
紅珠はもじもじと、胸の前で手を揺らしながら、とうとう口を開いた。

「あの…御不快に思わないで下さいね。私の、ほんの疑いに過ぎないものですから…」
「…疑い?」

…紅珠が、何を疑うというのだろう?
私は再びごくり、と唾を飲み込んだ。

「その………――――もしかしたら、陛下がお妃様をお手打ちになさったのかと…」
「……へっ?」

夕鈴は目が点になった。
――今、お手打ち、と聞こえたのかしら?
お手打ち…確か、私の知っている意味では、偉い人が臣下を殺す、ことだったような。
…それで意味は合っているのかしら?

「も、申し訳ありませんっ!陛下のお妃様への愛を疑っていた訳ではないのですがっ!お妃様からのお手紙が途絶えてしまったので…!そこに陛下のあの冷たい眼差しで…、おかしなことを考えてしまったのです……本当に申し訳ありません……」

最後は消え入りそうな声で紅珠は言う。
どうやら、私の考えていた意味は合っていたようだ。
こんなに心配させるなら、もっと早くに連絡しておくんだった。
夕鈴は後悔する。
しかし、こちらに来てから陛下に求婚されたり、避けたりと忙しかったので、すっかり失念していた。

「も…申し訳っ…、申しわっ……」

紅珠がボロボロと涙を流す。
美少女の涙は、思った以上に衝撃的だ。
夕鈴はあわあわと慌てふためいた。
夕鈴は宥めるものの、紅珠の涙は暫く枯れる事は無かった。



「…ぐすっ……―――失礼しましたわ、お妃様…お恥ずかしいところをお見せしました…」

紅珠の涙が落ち着いた頃に、私は少し前から聞きたい事を聞いてみた。

「―――ねぇ、紅珠?私貴女に聞きたい事があるのだけれど…」
「…聞きたい事でしょうか?私に答えられる事なら、何なりとお聞きくださいませ」

まだ目は赤いままだが、はっきりと紅珠は答える。
それに一安心した私は、気兼ねなく聞く事にした。

「あのね…ちょっとした事なんだけど…。紅珠は『合わせ鏡』について、何か知っている事はある?」
「合わせ鏡…ですか?」

夕鈴の言葉に、紅珠はきょとんとした顔で首を傾げる。
どうやら意外な事を聞いたようだ。
でも、少し逡巡した後に、口を開いた。

「―――余り良いお話は聞きませんわ。合わせ鏡をすると、鏡の中に攫われるとも、魔物が映るとも聞きますし…。でも実際には髪形を見る時などに、どうしても必要ですし…」
「…そ、そんな話が…?」

夕鈴は、そんなに『合わせ鏡』については詳しくない。
そんな逸話があること自体、今初めて知った。
普段何気なくしている行動が、まさかそんな怖い話に繋がるとは…
ぶるり…と夕鈴は少し震える。

「お妃様?お寒いのですか?」
「いえ…ちょっとね…」

怖い話は苦手だ。
何せ、現代でお化け屋敷に入っただけで、怖くて眠れなくなりそうだったのだ。
そう言えば、あれも怖かった…
余計なことまで思い出してしまった夕鈴は、遂には顔を蒼褪めさせる。

「…お妃様。お顔の色が良くありませんわ。大丈夫ですの?」
「だ、大丈夫よ…大丈夫…――」
「そうは見えないな」

紅珠に心配を掛けまいと蒼褪めた笑顔で答えた夕鈴の背後から、聞き慣れた低い声が聞こえた。
夕鈴は驚いて後ろを振り向く。

「―――陛下っ!?何故ここに…」
「――君がここに居ると聞いたのでな」
「いえ、そうではなく…お仕事中では…?」

今は午後の中頃。
いつもこの時間は、政務室で官吏達や李順さんと共にお仕事をしているはず…
何故、その陛下がここに居るの?
夕鈴は頭の中を疑問符でいっぱいにした。

「今は休憩時間だ。だから、妃の様子を見に来た」
「――ご休憩中なら、自室でお休みになられた方が…」

私の所に来るよりも、自室で休んだ方が効率的に休めると思うんだけど…
そう思っていると、陛下が距離を詰めてきた。

「――きゃっ!」
「――――妃と居る方が休まる」

突然体に浮遊感が訪れ、夕鈴は微かな悲鳴を上げる。
黎翔が夕鈴を担ぎ上げたのである。
幼子を抱き上げるように夕鈴を担ぎ、紅珠に振り返る。

「――氾 紅珠。妃と茶会の途中だが、これにて失礼する」
「…。――陛下の御心のままに…」

紅珠は少し戸惑ったように逡巡したが、すぐに拱手して黎翔に返答する。
その返答を聞くと、黎翔はすぐさま後宮の中へと歩き出す。
それまでポカーン…と成り行きを見ていた夕鈴は、我に返り慌てる。

「ちょ、陛下っ?まだ紅珠と話の途中で…!」

紅珠には合わせ鏡の事を聞いていたのだ。
何せ、私がこちらに来る時の必要条件なのだ、合わせ鏡は。
こんなチャンス、滅多にない。
紅珠とは、次はいつ会えるか分からないのだから。

「陛下っ…降ろして下さいっ…」
「―――」

夕鈴が黎翔の背中を叩いていたら、黎翔がピタリと歩を止めた。
分かってくれたのか、と夕鈴は思った。
しかし、黎翔の口から出た言葉は、予想だにしない事であった。

「――君は、私が居なくて寂しく無かったのか…?」
「へ…?」

…ん?そんな話の流れだったかしら?
寂しい…?
…今言う事なのか、それは……?
訳が分からず陛下の顔を見ると、陛下は艶めいた顔で笑った。
その顔にドキリ、と心臓が高鳴る。
心なしか、自分の顔が赤くなった気がする。
だって、こんなにも顔も体も熱い。

――それに、陛下の顔も近づいているような…気のせい?――いや、気のせいじゃないっ!

黎翔の顔はどんどん近づいていた。
いつの間にか縦抱きから横抱きに近い体勢になっていた。
膝は黎翔に抱えられ、背中から後頭部に掛けて腕が回っていた。

―――ちょっ、人が見てるのにっ、何をっ?!

ここには侍女さん達と、紅珠が居るのだ。
一体何をする気で…?!
近づく陛下の顔に耐えられなくて、目をぎゅっ…と瞑る。
すると、耳元に陛下の吐息を感じた。

「――ひゃっ…?」
「―――し……そのままで……みんなが見てる」

耳元がくすぐったくて夕鈴は声を上げたが、すぐに黎翔に止められる。
それにはっとなる。
そうだった。
人の目があるから何をするのだ、と目くじらを立てることではなかった。
そもそも人の目がある所でこそ、この夫婦演技をしなくてはならないのであった。
――でも、恥ずかしいものは恥ずかしい!
もぞもぞと動いていると、再び陛下が口を開く。

「―――君は、私が居なくても寂しくは無いのか…?」

切なそうに、陛下が言う。
それは、まるで本当に妃を愛する王の姿。
己の妻に、想いが届かず切ない顔をしているようで…
―――はっ!演技!
ここで『別に寂しくもなんともないので、降ろして下さい』なんて言おうものなら、円満な夫婦である国王夫妻像が崩れる。
そしたら、私が李順さんから怒られてしまいそうだ…それは嫌だ。
だとしたら…私が言うべき言葉は…

「わ…私も…寂しゅうございました…陛下」
「―――」

ふっ…これでどうだ。
袖で少し顔を隠し、恥じらいつつも『寂しい』という妃の姿。
我ながら、完璧な対応だと思う。
そう思っていたら、陛下の抱き締める腕に力が入った。

「――そうか。君もそう思っていたか…良い。ならば、早く二人きりになろう」
「へ?」

陛下の止まっていた歩みが再開する。
先ほどよりも早いそれは、私をみるみる四阿から遠ざける。
―――あれ?私は確か紅珠と話しがしたくて……降ろして貰いたくて……あれ?

いつの間にか話しを逸らされ、黎翔の誘導尋問に掛かっていた事に、夕鈴は気付かなかった。


*************


―――――――――――――――――――――――――――

合わせ鏡の話は、以前pixivでも書きましたが、どうやらそのようになっているそうですよ~。
私は、髪を確認するのにいつもしていますが(笑)

あ…でも、夜は怖いのでしていません。
信じているわけではないですが…←


2へ続く

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