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雪の箱庭

「狼陛下の花嫁」二次小説を書いています。SNSで書いたものを掲載します。

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合わせ鏡 2

続きです♪

紅珠に話を聞いていた夕鈴。
だが、黎翔が現れて――――?

――――――――――――――――――――――――


部屋に戻り黎翔が人払いをした途端、夕鈴は怒り出した。

「―――もうっ!折角紅珠が来てくれていたのに…何なんですかっ、陛下!」

紅珠とは、あの刺客事件以来に会ったのに!
陛下や李順さんからは聞けそうにもない『合わせ鏡』についても詳しそうだったのに!
――…合わせ鏡…
夕鈴は紅珠の話を思い出す。

『―――余り良いお話は聞きませんわ。合わせ鏡をすると、鏡の中に攫われるとも、魔物が映るとも聞きますし…。でも実際には髪形を見る時などに、どうしても必要ですし…』

合わせ鏡の逸話。
鏡の中に攫われる…か…。それが一番、私の状況に近いかもしれない。
でも私は、実際鏡の中に攫われているのかは分からない。
気が付いたら、いつも白陽国に居る。
その直前には、いつも鏡が光る。
その時している事が、いつも『合わせ鏡』。
実際、分かっているのはこれだけなのだ。
それに、合わせ鏡をしている時全てがそうなる訳ではない。
何気なく合わせ鏡をした時に、現代と過去を行き来するから厄介なのだ。

「―――夕鈴?何を考えている?」

深く考えている時に突然陛下に声を掛けられたから、思わずビクリッと体が動く。
そして、陛下の腕の中に居たことも同時に思い出した。
陛下は、人払いはしたものの、解放はしてくれてはいなかったのだ。
憤慨した後、黙ってしまった夕鈴に違和感を感じたらしい。

「いえ…あの…紅珠との話を…」
「―――氾 紅珠とは、何を話していたんだ?」
「えっと……最近手紙が来なくてどうしたのかと心配されていました…」
「…それだけでは無いだろう。君は彼女の話の途中、顔を蒼褪めていた。何を言われたんだ?」

どこから見ていたのこの人。
合わせ鏡の話を…陛下にしても良いのだろうか。
でも…この人は、時々私に『こちらとあちら、どっちが良いの?』と聞いて来たし、最近では『帰したくない』と言っていたり…
合わせ鏡の話をすることは、必然的に現代に帰るとかの話しになりそうだし…
…言うのには…ちょっと不味い内容じゃ…
迷っていると、陛下が顔を覗き込んで来る。

「―――言えないのか?」
「――ッ」

余りの近さに、私は再び赤くなる。
心臓が落ち着きを無くして、目の前のこの人から逃げ出したくなる。
そんな訳で焦った私は、つい言ってしまった。

「だっ…!こ、紅珠とは、合わせ鏡の話しをしただけですっ…!」
「―――合わせ鏡?」
「そ、そうですっ!合わせ鏡には、怖そうな逸話が有ってですねっ…。鏡の中に攫われるとか、魔物が映るだとかで…そ、それを聞いて怖くなっただけですっ!それだけなんでっ…近いですっ!もう離れて下さいっ、陛下!」

言うべき事は言った。
だから、離れて欲しい……この距離は、私の心臓が持たない。

「―――そうか…」

意外にも、あっさりと陛下は引いた。
それに少し物足りなさを感じながらも、余り追及されなかったからほっとした。
――思ったほど、陛下は『合わせ鏡』の事を気にしてないのかしら?
――このまま、何事もなく終わりそう…?

しかし、そう思ったのは大きな間違いだったことを、夜に思い知る事となる。


*************

「――昼間の話しだけど…」

夕餉の後、双六をしながら黎翔が徐に言い出した。
話しは終わった、と思っていた夕鈴は『またっ?』と思ったが、黎翔がのほほんと聞いているように感じたので、すぐに緊張感が解ける。

「――合わせ鏡の逸話には、具体的に何があったの?」
「…いえ…昼間言った通りの事しか…」
「それだけじゃ、夕鈴は蒼褪めないでしょ?…じゃあ、何を聞いて蒼褪めたの?」
「紅珠から聞いたのは…鏡の中に攫われることと、魔物が映る事だけで…ちょっと怖いなと思っただけで…」

そこで、夕鈴は自分が蒼褪めた理由を思い出した。
あの時、怖い話繋がりで遊園地のお化け屋敷の事を思い出したのだ。
――余計な事を思い出してしまったっ!これから寝る時間なのに!!!
そして再び夕鈴は蒼褪めた。

「―――やっぱり顔色悪いよ、夕鈴。何を聞いたの?」
「いえ…聞いたのではなく…思い出して…」

少しずつ震え出していた夕鈴は、自分が理由を告げている事に気付かない。

「…思い出して?――何を思い出したの?夕鈴」
「あ………お化け屋敷の事を…」
「???」

黎翔は夕鈴の言う事が理解できない。
『おばけやしき』?
何の事だ?
お化け…まあ、魔物の事か。
屋敷とは…邸の事かな。
……
お化けの邸とは、どのようなものだ?
亡霊が住み着いている邸なのか?
そこに、夕鈴は行ったことがあるというのか。
――今分かる事は、夕鈴がそれを思い出して怖い思いをしている、という事だけだ。
ならば…――

「じゃあ、一緒に寝ようか?」
「――はぃ?」

夕鈴は我に返った。
自分は、何を口走っていたのだろうか?
どうして陛下は『一緒に寝る』だなんて言ってるの?

「怖い時は、誰かと一緒に寝るのが一番だよ。夕鈴が寝るまでだけだからさ、ねっ、そうしよう!」

名案!とばかりに陛下はそう言うと、いそいそと私の寝室に足を運ぶ。
夕鈴は少しの間呆然としていたが、慌ててその後を追う。

「へ、陛下っ…私、一緒に寝るなんて一言もっ…」

寝室に足を踏み入れると、すでに寝台に腰かけている陛下が目に入る。
――いくらなんでも、ここで寝台に近づくほど、考え無しではない。
曲がりなりにも、この人に求婚された自分。
一緒の寝台は、ある種の危険を伴うものだと自覚はしている。

「――夕鈴?寝ないの?」

だけど、陛下は何の戸惑いもなく私を手招きして来る。
そこには、何らかの邪な思いは…感じられない。
――陛下は純粋に私を心配して添い寝を提案しているのに、ここで頑なに断るのも…
夕鈴は決意した。
黎翔の居る寝台へと、歩みを進める。



「――寒くない?夕鈴」
「大丈夫です…」

消え入りそうな声で、夕鈴は答える。
『一緒に寝る』決意はしたものの、予想以上の近さと温かさに、緊張で体が強張る。
今、私と陛下は同じ寝台で横になっている。
掛けている布団も、一緒だ。
もぞもぞと、落ち着きなく布団を被ったり、掛け直したり。

「…まだ怖い?もっとくっつこうか?」
「いえっ!良いです良いです!今が丁度良いのでっ!」

怖いとかじゃなくて、陛下との距離の近さに緊張しているだけなんですが!
それは言えないので、両手で布団を掴み、顔を隠す。
視界には、布団の色しか見えなくなる。
すると、ぎしり…と寝台が動いた気がした。
自分の頭と背中に、温もりを感じる。
夕鈴はそれに驚いて、微かに声を上げた。

「――ひゃっ…」
「――こうしていれば、怖くないだろう?」

陛下の腕が私の頭に回り、ぽんぽんされる。
その温もりに、緊張で強張っていた自分の体から力が抜けるのを感じた。
それに気を良くしたのか、私の頭…背中が更に温かいものに包まれる。
――陛下が抱き締めたのだ。

「――眠るまで、傍に居てあげるから…安心してお休み…」

こんなことされて眠れるかーーー!!

そう思っていた夕鈴。
暫く抱き締める黎翔から離れようともがいていたが、その内疲れて諦める。
それから暫く経つと、夕鈴はすとんと眠りに落ちた。



夕鈴の寝顔を見ながら、黎翔は考える。
合わせ鏡は、危険だ。
僕の夕鈴を、遠い所に連れ去ってしまう。
夕鈴が来たという時代は、自分には手が届かない。
つまり、夕鈴が手の届かない存在になってしまうのだ。

「――それは困るな」

夕鈴は、もはや手放すことなど出来ない。
夕鈴が私の元から勝手に消えぬよう…策を講じよう。

黎翔は昼間の夕鈴の話しを聞いて、それから考えていた。
どうすれば、夕鈴が消えないか。
自分の元から離れて行かないか。
今すぐに妃にはなれなくても、時間は必要だ。
それらを確保するためにも、夕鈴には自分の元に居て貰わないと。

そして考え付いた。
根本原因は、夕鈴を連れ去る『鏡』の存在。
ならば、その元から断てば良いのだ。


―――後に夕鈴の周りでは、二つ以上の鏡を合わせることが無いよう徹底されることになる。

―――――――――――――――――――――――――――――――――

陛下の遅い対策

遅いですよ、へーか(笑)

ここで添い寝に成功している御方ですが…

…そろそろ殴っても良いですかね(・・?
…え(・・?
ダメ(・・?

そして次回からは、黒の女王の章になります!
ちょっと雰囲気が変わりますが、続いていますので!


次回予告↓

とある国から招待状が届く。
そこには、妃も連れて来るようにと書かれており―――?

次回!
女王からのお誘い
お楽しみに!

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