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雪の箱庭

「狼陛下の花嫁」二次小説を書いています。SNSで書いたものを掲載します。

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女王からのお誘い

皆様今日は!

今日から迷走編は短編では無く続きものになります!
そして迷走編・黒の女王の章、と”章”と付けてみました!

それでは参ります。

白陽国に突如届いた『招待状』。
そこには―――

―――――――――――――――――――――――――

【パラレル】
【現代・原作どちらも出ます】



「招待状…ですか?」
「そうです。黒蘭国から…何でも友好を深めたいとのことで…」
「…」

秋も終わりが近くなり、朝晩めっきり冷え込んできた頃。
白陽国王宮に招待状が届いた。
隣国の、黒蘭国からだ。

「黒蘭国は女王の国で、黰麗珂(シン レイカ)という女性が政治を担っております。この黒蘭国は周辺を森で囲まれ、また山脈も険しいため、周辺国は攻め入る隙が無いのです。だから、女性が王でもやっていけるのかもしれませんね。」

途中から李順さんの見解も混じり始める。
女王の国…女性が治める国なんだ…。
現代でも、女性の長が居る事もあるが、男性のそれよりは多くは無い。
まして、この時代なら、本当に珍しいことではないだろうか。
夕鈴はほー…と呆けた表情で考え事をする。
しかし、黎翔の言葉に、目が覚めたようになる。

「だが、あの国は同盟国とはいえ、ほとんど実態不明であろう。そのような国から招待状が来るなど…どういう風の吹きまわしだ?」

黒蘭国はその土地柄、他国との交流がほとんどされていない。
周囲を険しい自然に囲まれることで、自然要塞として国を守ってはいるが、その分他国の使者や商人も入るのに一苦労だ。
一応同盟を結んでいるが、ほとんど鎖国状態と言っても過言ではない。
李順さんや陛下からそう説明を受ける。
そう言えば中学生の頃の歴史で、日本も江戸時代に鎖国をしていたということを思い出す。
鎖国とは言うものの、一部の港は開放されていて、そこは海外からの使者や商人も受け入れていたと言う。
まさにそのような感じなのかもしれない。
黒蘭国へのイメージを夕鈴が固めていると、黎翔はこちらを見て更に言い募る。

「ましてや…『妃も是非ご一緒に』など…胡散臭いことこの上ない。」

それが黎翔には一番引っ掛かる事だ。
これまで我が国とは同盟以上の関係にはなろうとしなかった国が…
それも、歴代で一、二を争うほど保守的と言われる今代の女王が、何故今になって我々と交流を深めたいなどと言うのか。
怪しすぎる。
更に『妃も連れて』だ。
普通国王が他国へ赴く時、特に公式行事の時は、視察などを除けば妃も一緒だ。
それに連れて行くにしろ行かないにしろ、その国の裁量に任されているものだ。
わざわざ招待状に書く事ではない。
書くとしても『お妃様にも愉しんで頂けるよう、精一杯お持て成しさせて頂きます』くらいなものだろう。
わざわざ『ご一緒に』というその意図が分からない。
黎翔は渋面を作った。

「陛下。」
「…何だ、李順」
「妃も連れて、ということは何かしら意図はあるのかもしれません」
「だな。もし何か夕鈴に危険があったら…」
「ですが『連れて』と書かれているのに連れていかないと何らかの障害になるやもしれません。それに、我が国の国王夫妻は仲睦まじいと他国にも噂になっております。そんな中、妃を連れていかないとなると『仲違したのか』という悪い噂にもなりかねません。ここは、夕鈴殿を連れていくのが得策かと思います。」
「…」

李順の言葉に、黎翔は夕鈴を見る。
突然黎翔が自分の方を見たので、夕鈴はきょとん、と首を傾げる。

「…何か不都合があるんですか?――私は、行かない方が良いんでしょうか…」

そこではっと気付く。
私は行かない方が良いのだろうか。
自分としては、この時代のこの国以外の国に行けるなら、ちょっと行ってみたい。
現代でも、自分の国以外には出たことが無いのだ。
それに、女王様の…女性の治める国だし。
尚更興味がある。
でも私は所詮偽物だし、陛下や李順さんはともかく、事情の知らない偉い人にはそんなの顔を合わせない方が良いのだろうか。
心配そうな顔で陛下を見上げると、苦笑しつつも頭を撫でられる。

「…夕鈴が行くのに不都合があるわけじゃないんだ。―――ただ、僕が心配なだけ。」
「心配…?」
「うん…―――黒蘭国は、ほとんど実情が分からない。どれだけの軍事力があるのかとか、経済はどうなっているのかとか、国民の様子はどうなのかとか…とにかく分からない事だらけなんだ。そんなところに、招待されたとはいえ君を連れて行って良いのか、心配なんだ。」
「陛下…」

頭を撫でられてちょっと照れ臭いが、夕鈴は黎翔の言うことが気になった。
実情がほとんど分からないなら、陛下が行くのも心配じゃないのだろうか。
これまで交流が無かったのに、突然今になって深めようとするのにも、何か裏があるのかも。
『妃も連れて』って書いているけど、一番何かあったら困るのは陛下よね?
…何だか不安になってきた。
もし、私が行かなかったときは陛下だけで行くのかしら?
もちろん、李順さんとか兵の人たちとか団体で行くんだとは思うけど、気の休まる時があるのかしら?
…よし、決めた。

「―――陛下」
「何?」
「―――私、行きます。」
「え――」

黎翔の手が、夕鈴の頭から離れる。

「だって、折角ご招待されているのに、行かないのはやっぱり悪いじゃないですか。それに、行った方が良いと、李順さんも仰ってますし。」
「でも…」
「それに――…」

陛下の事も心配だし。
ここで一人残って後宮で悶々としているより、一緒に行った方が気が楽で良い。
…うん!そっちの方が性に合ってるわ!

「――夕鈴?何を考えてる?」
「――へ、…へ?」

陛下の事です、と言いそうになった私は、その声の低さに思考が途切れる。
いつの間にか顎に手を掛けて俯いていた。
顔を上げて陛下の方を見ると、むっすりとした陛下の顔が。
何で?

「さっき『それに…』の後は何を言おうとしたの?今考えていること?」
「えっと…」

さっきは言いそうになったけど、いざ言おうと思うと恥ずかしい。
『貴方のことを考えていました』などとは。
夕鈴はカーッと赤くなって、黎翔の顔から視線を逸らす。
それが面白くなかったのか、黎翔はつかつかと夕鈴に近づく。
夕鈴はマズイと思って後ろに退こうとしたが、黎翔の方が動きが速くすぐに捕まった。
背中を抱き込まれ、顎を掴まれる。

「へ、陛下っ?」
「――何?」
「ち、近いです…!は、離し…」
「夕鈴がさっき言い淀んだ事を言ったらね」

背中と顎に陛下の手が回っているので、逃げられない。
顎を掴む陛下の手が離れないので、顔を背ける事が出来ない。
相変わらず、この距離は心臓に悪い。

「べ、別に大したことじゃないです…」
「それでもだ」

先ほどまでは小犬のような雰囲気だったのに、いつの間にか狼の方になっている。
有無を言わせないその威圧感に、夕鈴は少したじろいだ。
しかし夕鈴は黎翔の腕の中。
少し身動ぐことしか出来なかった。
仕方なしに夕鈴は逡巡し、『先ほど考えていたこと』を口に出す。

「―――本当に、大したことじゃないんですよ?ただ、黒蘭国の女王様が、どんな方かなぁ…って思っただけで。」

先ほど言い淀んだ事とは違うが、こちらも本当に考えていたことなので、夕鈴はすらすら言えた。
夕鈴が特段眼を逸らすでもなく、おどおどするでもなく言い切ったので、黎翔もそれ以上追及する事は出来なかった。
夕鈴を囲う腕を離す。

「――そうか。」

本当は違う気がしたが、黎翔はそれ以上夕鈴に追及できなかった。
これ以上追及しようとしたら、手を出す展開になりかねない。
それは時期尚早だと思ったので、止めた。
もっと機が熟してから、だ。



「―――とにかく、準備は進めて下さいよ…」

二人の様子を見ていた李順は溜息を吐いて部屋を出る。
回廊を歩きながら『面倒な事になった』と心中で嘆く。
この国へと戻ってきた夕鈴殿は、最初こそ陛下を避けていたものの、いつの間にか普段通りに戻っていた。
それに伴い、陛下も以前のように夕鈴殿にべたべたべたべた(以下略)はしなくなった。
しかし、相変わらず構い倒している日々が続いている。
『本物に』と陛下は言ったが、二人の中では解決したのだろうか?
結局、ここ最近の距離感よりも、出会った当初に近い距離間になっている。

――つまり、夕鈴殿は断ったのでしょうね…
私からも釘を刺しましたし。
まあ、当然でしょうね。
彼女は、未来から来た人間。
それはこの間目の前で現れたから揺るぎようのない事実。
――それより。

李順はピタリ、と回廊で足を止める。
―――黒蘭国の思惑は、一体どこにあるというのか。
妃が同行しようがしまいが、友好関係には関係ないはずだ。
それをわざわざ招待状に明記する、ということは、“それ”に何かかしら彼女を関わらせるつもりなのか。
折角陛下と夕鈴殿の問題が解決しそうな所に、また厄介事を持ち込まないでほしい。
それだけでも、手一杯なのに。

ふと、李順は回廊から空を仰ぎ見る。
更に問題は、これからの季節。
季節は、もう冬へと支度を進めている。
雪が積もれば、旅路も険しいものとなる。
冬の旅団の山越えは、命の危険さえもあるのだ。
黒蘭国に赴くなら、すぐにでも出発し、雪で山が覆われる前に戻らなくてはならない。
考える時間は、余り多くは無い。

「――さて。黒蘭国に、どんな思惑があるのやら…」

李順は一人呟いた。

――――――――――――――――――――――――

白陽国では、もう冬が間近に迫っています。
現代とは、時間の進みが違うので季節が違いますが。
その辺も細かい設定があるのは、ここだけのお話と言う事で←

さてさて。
舞台は白陽国から黒蘭国へと変わりますよ~♪


次回予告↓

黒蘭国に行く事になった夕鈴たち。
初めての王都の外に、夕鈴は――――?

次回
いざ、黒蘭国へ!
お楽しみに!

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