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雪の箱庭

「狼陛下の花嫁」二次小説を書いています。SNSで書いたものを掲載します。

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その出会いは偶然か必然か 1

皆様今日は!

今日から巫女夕鈴をお送りします!

…と、その前に。

先に注意書きをご覧になったでしょうか(・・?
まだの方は、先にそちらを読んで下さいませ→巫女夕鈴について

…お読みになりましたか?

それでは、どうぞ!

―――――――――――――――――――――――

【パラレル】
【捏造】



「―――あなたが、下町で霊の類を調伏できるという評判の汀 夕鈴殿ですか?」
「―――…評判かどうかは私には分かりかねますが、汀 夕鈴とは私の事です。霊の調伏も経験があります。」
「経験がある、とうのはどういうことですか?」
「…私の霊の対処法は、基本的にはその霊の話を聞き、それぞれの願いを出来るだけ叶えることにあります。被害が甚大になる可能性のある、所謂悪霊・怨霊の類には…過去に止むなく調伏、という形で強制排除したこともありますが…。」
「そうですか。今回は、その調伏に関する依頼で、この王宮にお呼びした次第です。」
「…はい。」

正直、気の進まない仕事だ。
私のお仕事は、霊に納得して成仏してもらう手助けをするものであって、強制的に排除させるためのものではない。母親譲りの能力は確かなものだが、力尽くというのは生来の性分としては合わないのだ。今までの依頼でも、止むなくという場合以外は、出来るだけ穏便に済ませてきた。依頼者たちもそれでいいと言ってくれた。
なのに、目の前のメガネの人物は「調伏しろ」という。
ここで「嫌です」と言おうものならどうなるのだろうか。
いや、そんなの分かりきっている。
何故ならメガネの人の向こうに居る――――
玉座に座っている人物。
所謂「狼陛下」によって、不敬罪として投獄されるか、下手をすると殺されるかも知れない。
受けるしかない依頼だった。

***********************

依頼場所は―――――後宮。庶民の私には縁の無い場所だ。
聞かされた依頼は――――

『後宮で、物が勝手に移動したり、泣き声がしたり、白い女を見たという情報が入っております。この間、とうとう女官の一人が霊障で倒れました。また「女官が突然人が変わったように叫び出した」「橋の上で動けなくなり、何かに引っ張られた」…などなど、数々の霊と思われる現象が起きております。そこで、あなたに霊の調伏を依頼した、という訳です。いいですね?』

いいわけあるか!
そんな説明で納得できると思ってるの?!
霊の話はいい。話を聞くかぎり、確かに何らかの霊現象が起きているのだと思う。
しかし、何故自分なのだ。
王宮には、それ専門の機関というのは無いのか。
というか、無くても神殿というものはないのか。
疑問はいっぱいだ。
そもそも、民間から霊能者を呼ぶにしても、自分でなくともいいはずだ。
自分よりも能力が高い霊能者なら沢山いるはずだ。
こんな、若い、経験不足の私をわざわざ選ぶ意味が分からない。
無意識に溜息が零れる。
―――狼陛下は怖そうだし…あっちのメガネの人に「私じゃ無理です」って断って来よう。
そう決めて、今は後宮の回廊を歩いている。

「―――はぁ…。珍しく、高い収入が見込めると思ったんだけど…早まったかしら。―――ん?」

独り言を呟いていると、目の前に霊が溜まっているのに気が付いた。
この後宮に足を踏み入れた時、まず驚いたのはその霊の多さだ。
後宮なだけに、そのほとんどは女の霊である。
多くはそこまで害のない、ごく普通の霊だった。
その霊たちは、今も普通に後宮の中を歩いている。
偶に霊同士で情報交換を行っているなど、生きている人達と何ら変わりのない生活を送っている…ように見える。
そんな霊たちが溜まっていたので、夕鈴は気になって近づいた。
霊たちは、夕鈴が「見える」ことにまだ気づいていない。

(―――今日はどう?)
(まだ。部屋に女官がいるから、気が抜けないみたい。)
(側近の方は?)
(一緒よ。何か話しているわ。)

霊たちは聞かれていると思わないので、結構大きな声で聞こえる。
場所が場所なだけに、話の内容は陛下の事かしら?

(それにしても今上陛下も大変ね。あの性格を隠すなんて、相当ストレスがかかるでしょうに…)

ん?

(そうよね。…でも、私たちはある意味お得よね?みんなが知らない一面を知っているわけだし)

んん?
誰の事を話しているんだっけ?
―――陛下の事?
あの性格?みんなが知らない一面?
私が知っている陛下はこうだ。
―――冷酷非情の「狼陛下」。国内の内乱を瞬く間に平定し…以下省略。

…これ以外の顔があるのだろうか…?

(でも、時々見せるあの顔!可愛らしいわよね~)
(そうよね!あれを見たことが無いなんて、今生きてる人達は損してるわよね~)

―――可愛いっ!?
聞き間違いだろうか。
その単語は私が知っている「狼陛下」に…庶民が知っている国王の像とえらく遠いものなのだが…?

そう考えていると、少し低い声が聞こえてきた。
夕鈴は咄嗟に息を殺し、物陰に隠れた。
いや別に声は部屋の中から聞こえてくるのだから、物陰に隠れる必要はないと判断したのは、少し経ってからだった。
低い声というと、この後宮では陛下とその側近だろう。
それ以外では、男子禁制のこの後宮ではあってはならないことだ。
足音を忍ばせて部屋の入口まで行く。

「―――だから、何故あのような小娘を…。」
「え~いいじゃん。同じ女の子だし、あの子なら何とかしてくれるんじゃないかな~」
「そんな適当な…」
「大丈夫だって。何とかなるよ。」
「その根拠はどこから…っ!」

咎めるような声を出しているのは、先ほどのメガネの側近だと分かる。
…じゃあ、もう一人の声は?
誰だ?

「良い子そうだし、大丈夫だって…―――あ。」
「―――」
「―――?どうされました?へい…―――っ!!?」

ばっちり目が合った。
誰かって…少し驚いた紅い瞳の人と。
怪訝そうに振り向いた側近さんは、私の顔を見た途端、一気に青ざめた。
私も驚いて言葉が出なかった。
―――これがあの「狼陛下」?!
何だか、別人なんですけど。



「―――最初は神殿から誰かを派遣してもらおうと考えたのですが、内政は未だ安定せず、敵も多い。そんな中、貴族の息がかかった神殿の人間に依頼すると、余計な勢力争いに発展しかねないと判断したんです。ですから、民間から雇おう、という事になったんです。」
「それで後宮という場所だから、女の人が良いねって話になって、君が選ばれたんだ。」
「―――『狼陛下』って」
「―――他国や臣下に舐められない為の、イメージ戦略です…!」

これでようやく霊たちの言葉に得心がいった。
「可愛い」というのは、目の前の陛下の様子なのだろう。
確かに普段の冷たい雰囲気とは一変した小犬のような表情は、どこか母性を擽る顔だ。
ほんわかしている。とても先ほどと同じ人とは思えない。
頬を抓ってみた。夢じゃない。現実だった。
数々の怪現象を見てきた夕鈴だったが、目の前の事が怪現象じゃないことが不思議だった。



「―――それで、君はどうしてここに居たの?」

陛下が思い出したように問い掛けてきた。
そういえば。私は仕事を断りに来たんだっけ。
衝撃的な事実を噛みしめていて忘れてた。
仕事の事なのですが、と前置きして先ほどは陛下が怖くて言えなかったことを言ってみる。

「――私の仕事の仕方は、基本的には話し合いです。その霊の願いを叶え、納得して成仏して貰えるように説得する。これが本来の私の霊への対処法なんです。ですから…」

言い淀む。「調伏は難しい」と。
依頼内容は「調伏」だが、私には難しいのだと。
出来ないわけではないが、出来るだけしたくない。


「ん~。最初は調伏依頼だったけど、君がやりづらいと感じるなら、君が良いようにしてもいいよ?」
「へ?!陛下!それでは話が違いますっ!」
「え~でも、霊能者さんが遣り易いようにやって貰った方が良くない?穏便に事が進められるなら、その方が良いだろうし。」
「しかし…!」
「…良いのですか?」
「うん。」
「―――分かりました。自分ではどの程度お力になれるかは分かりませんが、一度受けた依頼です。出来る限り全ういたします。」
「うん。頼んだよ。」

こうして、「後宮の霊現象解決」のために私は動き出した。

――――――――――――――――――――――――――――――

巫女な夕鈴は、経験が原作とは違います。
なので、ちょっと後ろ向きだったり暗かったり…でも、とっても強いです。
それはこれから話が進むにあたり、分かる…かと思います(自信ない)


2へ続く

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「狼陛下の花嫁」の二次小説を書いています。
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