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雪の箱庭

「狼陛下の花嫁」二次小説を書いています。SNSで書いたものを掲載します。

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その出会いは偶然か必然か 3

続きです♪

調査に乗り出した夕鈴。
黎翔に色々尋ねられるが、全ては語れず―――

――――――――――――――――――――――――――――――

「そういえば、君の首に着けてるそれ、昨日は無かったよね?」
「あ、これですか?」

夕鈴は首の「それ」を外して手に持った。
りん、と音がする。
これは仕事をする上で必要なもので、いつも身に着けている。
本当は腕輪のようなのだが、大きすぎるので夕鈴は首に着けている。

「これも親から受け継いだものなんです。仕事で霊と接する時に使う事もありますが…ほとんど飾りのようなものです。」
「そうか。」

身に着けている理由は他にもあるが、それは言わなくてもいいだろう。
陛下には特に重要な事ではないし。
後に「この時言えば良かったのかしら?」という事態になるのを、夕鈴はまだ知らない。


***********************

「ここですね。」
「ああ、ここで「白い女」が目撃されたんだっけ?」
「はい。そのようですね。実際居ます。」
「本当?…見えないな…。」

黎翔は夕鈴が見ている方に視線を向け、じっ…と目を凝らす。
しかし、見えない。
何だか空気が重いのは感じるのだが。

「何て事は無い、普通の地縛霊ですよ。…この世に未練のある霊は、時としてその場に縛られて、動けなくなるんです。この女の人も、何か未練があってここに縛られてしまったんでしょう。」

女官服…と思われる女の人が、王宮の方角を見てぼーっと立っている。
時折顔を伏せて両手で顔を覆い、泣くのを堪えているようだ。
その姿に胸が痛み、夕鈴はその霊に話しかける。

「―――すみません、貴女はどうして泣いているのですか?」
(―――…う…ふっ…ひっく…)

まだ泣いていて、夕鈴に話しかけられたことに気づいてないようだ。
もしかしたら、結構長くここにいるのかもしれない。
霊となってから、話しかけられたことが無いのかも。
もう一度、声を掛ける。

「もし何かあるなら、私に話してみてくれませんか?」
(―――…?貴女は…私が見えるのですか?)
「はい、見えます。貴女は、何故泣いているのですか?」
(…私は、昔、王宮の武官と恋に落ちたのです。でも、家の者に結婚を反対されて…駆け落ちしようした夜、巡回していた警備の武官に、襲われそうになり…抵抗しようとしたら切られてしまって…それで…)
「…。」

それでか、彼女がここで地縛霊となってしまった原因は。
恐らく、この辺りで武官と待ち合わせしようとした所、彼が現れる前に別の武官と出会ってしまい、こんな時間にこんなところに居る女官に魔が差したのか、襲いかかった。でも、抵抗されて逆切れして殺した…ということだろう。
全く…そういう類の男は王宮にも居るのか。
夕鈴は憤慨した。
その様子をずっと見ていた黎翔は、何が起こっているのか分からず、夕鈴に問う。

「…君の話を聞いていると、そこに霊が居るみたいだけど…僕には声が聞こえないんだ。何がどうなってるの?」
「あ、すみません、気付かなくて。えっと、ここに、昔武官に殺された女の人の霊が確かに居ます。泣き声の何件かは、この人じゃないかと思うんですけど…。」
「そうなんだ…。どうするの?」
「それはこれからです。」

そう言って、夕鈴は女の霊に優しく話しかける。

「あのですね…もうここには、貴女を苦しめた、あの武官は居ません。貴女も、もう十分苦しんだはずです。もう天に昇っても、大丈夫ですよ。」
(―――天に昇る?…どうやって?)
「それは、私がお手伝いいたします。」

そう告げると、夕鈴は首に着けたものを外す。
それは、鈴が三つ付いた腕輪。
鈴は、その存在を主張するかのように光っている。
夕鈴はそれを天へと向け、鳴らす。

りんっ―――

その時、女の霊の前に立つ人影が現れた。
その姿を見て、女の霊は涙ぐむ。

(―――っ!!あ…)
(―――やっと会えた。君が殺されたと聞いて、僕はあの後泣き暮らしたんだ。結局、誰とも結婚しなかった。君以外と、添い遂げようとは思わなかったんだ。さあ、一緒に行こう…。)
(…っ…は、はいっ!!!)

涙ぐんだ女の霊は、その武官の霊の手を取り、一緒に天へと昇って行った。
昇る時、微かにこちらに振り返り、「ありがとう…。」と呟いた。
それを聞いた夕鈴は、にこりと微笑んで、その二人を見送った。
辺りが静寂に包まれる。
夕鈴は、ふぅ…と息をつく。

「…終わったのか? 」
「あ、はい。終わりました。彼女は無事、天に昇って行きましたよ。」
「―――何か、空気がさっきよりも軽い…?」
「…陛下、分かるんですか?」
「ああ。さっきまで、少し空気が重かったんだが、今は軽い。」
「そうなんですか…。じゃあ、陛下も場の空気に敏感なんですね。」
「―――ああ。そうなのかな。」

黎翔は最初、複雑な気持ちで夕鈴の言葉を聞いていたが、すぐにそうではないと打ち消した。
彼女の言う「場の空気に敏感」は王宮の狐と狸の化かし合いのことではないだろう。
ここでは霊的な意味合いか。
実感はないが、彼女が言うならそうなのだろう。
夕鈴は鈴を首に戻して深呼吸をした後、気合いの入った声でこう言った。

「―――さて、これで「白い女」の噂は消えるはずです。次に参りますので、陛下は…」
「え?もう次に行くの?」
「はい。まだ時間はありますから。」
「―――でも、一日に何件も解決するなんて、疲れない?」
「いえ、これ位なら大丈夫ですよ。それよりも、早く後宮の方の心配を取り除かないと。」
「―――君は…」

何かあったのかと陛下を振り仰いだが、少し微笑んで頭にぽんと手を置いただけで何も言わなかった。
この程度ならそんなに疲れない。
みんなの心労の種になるようなことは、早く取り除いてあげないと。
そう思って張り切って次の現場に行こうとする私を、一度は呼びとめた陛下だったが、その後は止めなかった。
陛下自身も「じゃあ、政務に戻るね。」とそのままここで別れた。
私は、次の現場へと足を向けた。


********************

黎翔は執務室へと戻った。
その途端、側近に目くじら立てて怒られた。

「陛下っ!どちらへ行かれていたのですか!政務が滞ってますよ!!!」
「煩いな…どこだっていいだろう。休憩時間は半刻のはずだろう?」
「半刻などとっくに経っております!何をしていたのですかっ!」
「ちょっとな…。」

そう言い自分用の椅子に座ると、黎翔は先ほどの出来事を思い返した。

――――…
『―――すみません、貴女はどうして泣いているのですか?』
『はい、見えます。貴女は、何故泣いているのですか?』
『あのですね…もうここには、貴女を苦しめた、あの武官は居ません。貴女も、もう十分苦しんだはずです。もう天に昇っても、大丈夫ですよ。』
『それは、私がお手伝いいたします。』
…――――

一見、彼女が独り言を言っているようにも見える。というより、そうしか見えない。
それでも黎翔も、あの場に立ちこめる重い空気には気づいていた。
まるで、戦場で敵と対峙しているような重苦しさがあった。
それが、二言三言話したと思ったら、彼女が鈴を持ち上げ、その後上を見て微笑んだ後、空気が軽くなった。
霊が成仏した、というのはああいうことなのだろうか。
あの感覚は筆舌に尽くし難い。
―――彼女は…

「夕鈴…だっけ。」
「何です?夕鈴殿がどうか…あ!もしかして、さっきまで一緒に居たんですかっ?」

ちっ、耳聡いな。さすが私の側近だ。
―――そういえば。

「李順、お前は霊を見たことが無いんだよな。」
「…?ええ。実際、この目で見たわけではないので霊だの怪現象だのは信じられないのですが。」
「まあ…そうだな。」
「どうしたのですか?」
「いや、何だか不思議な体験をしたな…と。」
「…何ですか?それは。」
「さっき、夕鈴が霊を成仏させたんだ。その場に僕も居てね。それまで重苦しかった空気が、一気に軽くなったんだよ。凄くない?」

これまで幽霊という存在は、精神的に弱い人間が作り出したまやかしだと思っていた。
でも、今日のあの体験は、まさしく「本物」だった。

「はぁ…やっぱり夕鈴殿と一緒に居たのですね…。そうですか、早速仕事に取り掛かってくれているようで有難いですね。彼女は真面目な性格のようですね。」
「ああ。僕にも色々教えてくれたし。」
「何を教わったんです?」
「夕鈴の両親の事とか、地縛霊の事とか。あ、そういえば、王家の性質の事も言ってたな。」

夕鈴の両親…その話を投げかけた時、夕鈴の顔色が変わってたな。
あまり触れて欲しくない無いようなのだろう。
―――何があったのだろうか。
黎翔は少し、興味が出てきた。
李順は黎翔の言葉の別の部分に引っ掛かりを覚えたようだ。
只でさえ神経質な顔を、更に顰め面にして質問する。

「…王家の、とは何のことですか?何で夕鈴殿がそんなことを知っているんですか?」
「いや、王家というよりも、「王」になる一族の話をしていたな。何でも王になるような一族は、霊を寄せ付けにくいとか。」
「…そういう事ですか。」
「それで、僕と一緒に居る李順もその影響があって、あまり霊の被害が無いんじゃないかって。」
「そうですか…、陛下の影響でしたか。―――…まあ、霊的な被害はありませんが、陛下の傍に居る事で別の被害が…」
「何か言ったか。」
「いえ、何も。それよりも、陛下。例の大臣ですか…」

李順は余計な詮索をされまいと、黎翔にかねてより問題のあった大臣の話をする。
そうして執務室でいつも通り政務が始まる。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

李順さん…苦労人(ホロリ
ガンバ。

本当に、王家のうんた~らかんた~らは、私の空想の産物ですので、信じないで下さいね!(念押し←(笑)

夕鈴の鈴の鳴らし方。
法則はあるのですが…特に、明記はしておきません♪
規則性があるので、見つけて頂けたらと思います←そこまで書くかも分からないですが←おい


4へ続く

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