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雪の箱庭

「狼陛下の花嫁」二次小説を書いています。SNSで書いたものを掲載します。

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その出会いは偶然か必然か 4

続きです♪
あ、この辺でオリキャラさんが出ます。

黎翔の目の前で事件を解決した夕鈴。
部屋に帰ると―――?

――――――――――――――――――――――――

「―――ふぅ…」

夕鈴は後宮の自分に与えられた仕事部屋に戻って来ていた。
後宮は妃の住む場所だから、そこで泊まるのは…と思っていたが、どうやら働いている女官も後宮で寝泊まりしているらしい。知らなかった。
後宮には興味なかったから。
下町に居れば、後宮や王宮は雲の上の存在だったから。
自分が来るとは思わなかった。
でも霊の事が無かったら、来たいとは思わなかった。
それは―――

ひそひそ…

部屋の外から話し声が聞こえる。

「…見ました?おかしな格好…。庶民はあのような格好をして平気なのね。」
「何であのような人がこの後宮に来れたのかしら。」
「あら、知らないの?陛下と李順様がお呼びしたそうよ。」
「何でも、後宮の霊騒動を収束させるためだとか。」
「まあ…霊ですの?私、見たことありませんわ。」
「案外、あの人も偽物霊能力者かもしれませんことよ。」
「でも、厨房の者は『助かった!』って言ってたわよ?」
「何か大袈裟な振舞いをして、それらしく見せたのではなくて?」

これが嫌だ。後宮の女官たちの話。
部屋に私が居る事が分かって言ってるんだろうか…
だとしたら、相当根性…というか根が曲がってる。
変な格好で悪かったわね!
これは…これは…
―――母から受け継いだ服。
大切な、形見の一つなのだ。
それに、厨房には偶然通りかかって、悪戯をする狐狸の類を懲らしめただけだ。
どうやら厨房の人はそれが見える人らしくて、何だか感謝されてしまった。
他にも、厠で出没する変態幽霊も説得して出て行って貰って、洗濯場に居た、洗濯中に布を引っ張る子供の霊を成仏させたり…ざっと5~7件片づけたかしら?
それらはあまり大きな仕事ではなかったから、然程疲れは溜まってないが、今の話し声を聞いただけで相当精神力が削られそうだ。
思わず溜め息が零れる。
そのうち、声は遠ざかって行った。

―――もう寝ようかしら。
外はまだ夕暮れ時。寝るには早い時間だ。
でも、初めて王宮に来た緊張と、霊の成仏のための説得や手助け、陛下や李順さんとの話と、口さがない後宮の女官たちの言葉。
夕鈴は、色々な事に疲れていた。

明日も仕事だし、軽く夕食を摂って、早めに寝よう。
そう決めて、女官に夕食を頼もうとした。
扉に向かって歩き出した、その時―――

(あの!あなたは私たちが見えるのですかっ!?)
「―――!!?」

夕鈴は驚いて回廊に向かう足を止めた。
突然扉をすり抜けて、透明な「人物」が現れた。
目をぱちぱちさせ、今話しかけてきた「人物」を見る。

(ああ、見えるのですね…。珍しいわ。私たちのような幽霊を見る事が出来る人間は。)

あれ…でも厨房の人は…
ああ。もしかしてあの人は波長が合っただけだったのかしら。
お気の毒に。

(―――あの…?)
「ああ、ごめんなさい。少し考え事をしていて…。」
(やっぱり見えるのですね。貴女は一体…)
「私は、当代国王陛下とその側近様に依頼された、霊能力者です。後宮で起こっている霊によるものと思われる怪現象を解決しに参りました、ただの庶民です。」
(まぁ…そうなのですか。それはわざわざ…)

そこで夕鈴は気になっていた事を聞いた。

「ところで…あなたはどうしてここに?」
(ああ、申し遅れました。私は緑嘉と申します。昼間、貴女が泣いていた女官を成仏させた場面を遠目に見てまして…)
「ああ、そうだったんですか…なるほど。」

あの場面を見られていたのか。
陛下にはどうせ見えないし…とか思っていたから、何だか少し恥ずかしい。

(あの人は、いつもいつも泣いていて、見ていて辛かったのですが、何もしてあげられなくて…でも、迎えが来たのですね。貴女の手で。)
「―――」
(見ていてとても清々しい気持ちになれましたわ。天に昇って行く二人の何とも幸せそうなお顔…)
「あなたも、成仏したいのですか?」
(―――!い、いえ、私はもうちょっとこの世に留まって、色々な方の人間模様を見て楽しみたいですわ!)
「そ…そうなんですか…。」

後宮には霊が多いと思ったが、よもやそんな理由か。
まあ確かに、後宮に居る多くの霊に弊害はない。
一部の悪質な霊が問題なのだ。
覗きくらい…大目に見るか。

「―――あ、丁度良いのでお聞きしたいのですが、この後宮で最も質の悪い霊はどこに居ますか?」
(最も質の悪い…ですか?)
「そうなんです。最近、女官の方も霊障に遭われたり、人が変わったり…。そういう質の悪い霊が起こす現象を、私は解決しに来たんです。」
(―――細かい事件は覚えてないですが……橋の方には近づかない方が宜しいですわ。)
「橋?それはどこですか?」
(丁度後宮の真ん中にある庭園の橋です。あそこから眺める庭園の池は素晴らしいのだけれど…そこの橋の下に悪霊が住みこんで以来、私たち霊の誰ひとりとしてあそこに近づかなくなりました。)
「…それはどういう…」
(近づいたら、引きずり込まれるのです。生者も死者も。私の知り合いも、生きている時にあそこに引きずり込まれました。その知り合いには、私が死んでからも一度も会っておりません。)
「…。」

相当やばそうだ。
いくらある程度経験があるとはいえ、そこに近づくのは軽率かもしれない。
生者も死者も…生者が引きずり込まれたら、死んでもあそこから逃れられないということか。

(今はもうあの橋に近づく者はいないと思いますが…偶々、知らない人が通ろうとして、引きずり込まれることもあるかと思います。)
「なるほど…そこは要注意と言う事ですね。貴重な情報、有難うございました。」

生者のことは、記録に残っているかもしれないが、死者の事は記録には残らない。
こういう話は貴重である。

「…あれ?でも、橋の上で足を掴まれて引っ張られそうになったっていう話は…?」
(ああ、それでしたら、すぐそこの橋だと思います。あの人はお茶目な人で、すぐに人の足を引っ張って池の中に引き込んで、驚いた顔を見て楽しむただの趣味だそうですよ。)
「質が悪いわね。」

全く…人の驚いた顔を見て楽しむとは…下手したら溺れちゃうかもしれないのに。
そこも要注意だな。別の意味で。
夕鈴は頭の中でそう思った。

緑嘉から後宮の幽霊情報を手に入れた夕鈴は、早速明日からの予定を組みたてた。
とりあえず、アブナイ変態の居る橋をさっさと片付けよう。
本当に危険なあの橋は…李順さんにも話を聞いて来よう。
これなら、1週間もあれば何とか終わりそうだ。
今後の予定が組み終わった夕鈴は、いつの間にか夕食の時間という事を忘れていた。
女官の方に「夕食をお持ちしました」と言われ、一瞬跳び上がったのはそのせいである。
結局、早めに寝るという最初の予定は見事に忘却の彼方に押しやられ、いつもの就寝時間に寝る事になった夕鈴であった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

緑嘉さん、登場。
いえ、この場限りの人ですよ?
多分。
巫女夕鈴が長編作にならなければ、この人はここだけです。

夕鈴…働き過ぎだよΣ( ̄□ ̄;)
どれだけ後宮が広いと思ってるの!?
ばてちゃうヨ!

危ない橋とアブナイ橋。
橋の話を二つにしてアブナイ方も出したのは…単にそうじゃないと面白くないから!(バーンッ!!)


さっさと片付けようか、夕鈴さん。


5へ続く

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