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雪の箱庭

「狼陛下の花嫁」二次小説を書いています。SNSで書いたものを掲載します。

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その出会いは偶然か必然か 5

続きです♪

後宮の幽霊から、ある橋の霊の話を聞いた夕鈴は―――?

―――――――――――――――――――――――――――

怪現象の解決に乗り出してから5日経った。
初日に細かい霊障は解決し、2日目には面倒な橋の変態も追い払った。
その後も女官が変わったようになった原因を突き止め、おまじないや簡単なお祓い方法などを教え、日々は過ぎて行った。
時に陛下が私の様子を見に来る以外は、特に問題はなかった。
さて…最後の大仕事が残っている。
夜。
夕鈴は陛下の部屋へと向かう。
そこに、李順も居るかと思って。

「―――失礼します。陛下、李順さん、いらっしゃいますか?」
「―――夕鈴?李順は今居ないよ。何かあった?あ、入っていいよ。」

部屋の外から尋ねると、陛下の声が耳に入る。
もう一度「失礼します」と言って部屋の中に入る。
入ると、陛下が机で仕事をしているのが見える。
夜なのに…陛下も忙しいのね。
夕鈴は少し気の毒に思い、顔を顰める。
陛下はその夕鈴の顔を見て疑問を感じ、しかしその視線が机に注がれているのを見て苦笑する。

「ああ…この仕事の山?昼間決済出来なかった書類を、今片付けているんだ。」
「夜までお仕事を…?大変じゃないですか?」
「信頼できる臣下が少ないからね…自分で出来る範囲の事はしないと…。」

肩を叩きながら陛下は言う。
その顔は少し疲れているようにも見える。
自室に居ても仕事に囲まれて気が抜けないなんて…
王様は大変だ。
自分も頑張らないと。
決意を新たにする夕鈴であった。
すると黎翔が質問してくる。

「それで、何かあったんじゃないの?」
「あ…李順さんにお話があったんですけど…今どこにいらっしゃるかご存知ですか?」
「李順なら…多分王宮の宰相のところだな。もうすぐ帰って来ると思うから、それまでここでゆっくりしていたら?」
「でも…お邪魔じゃ…」
「大丈夫だよ。夕鈴なら邪魔じゃないから。」
「―――そうですか…。」

邪魔じゃないと言われても…
陛下と二人きりなのも落ち着かないし、陛下は仕事をしているのに、ただここで待っているだけの自分が、仕事の邪魔をしている気になる。
そこで卓の上の茶器を見た夕鈴は、とある提案をする。

「…では、陛下も休まれませんか?今、お茶をお淹れしますよ。」
「え―――…」

陛下の返答を待たずに、夕鈴は茶器に手を伸ばす。
茶葉を適量入れて、湯呑にお湯を入れる。
後宮ではお茶の一つも女官の方がやるので、毎日自分の家でお茶を淹れていた夕鈴には久しぶりに感じられた。
お茶を淹れると、夕鈴は卓の上にそれを置き、陛下を誘う。

「陛下。お茶が入りましたよ。一緒に飲みませんか?」
「―――あ、ああ…。」

黎翔は少し戸惑いながらも、机仕事には飽きていたので、卓の方に向かった。
黎翔が座ると、夕鈴も向かいに座る。

「女官さん達のようには上手く淹れられなかったと思いますが…」
「――そんなことないよ。美味しいよ。」

陛下は一口飲むとはにかみながらそう言った。
少し照れくさく思いながら、夕鈴も口を付ける。
―――さすが後宮の茶葉。私が淹れても美味しいわ。
夕鈴はふむふむと思いながら、お茶を飲み続ける。
黎翔はそんな夕鈴の様子を見て、「面白いな~」と笑っていたが、お茶に集中していた夕鈴は気付かない。

「李順に話って何?」
「あ、―――えっと、陛下は後宮の中庭の『禁断の反り橋』についてはご存知ですか?」
「―――ああ、あれか。確か、もう何十年も立ち入りを禁じていた…。それがどうかしたの?」
「どうやら、相当危ない橋のようで…一応、明日見に行こうと思うのですが、念の為李順さんに詳しく話を聞こうと思いまして。そうだ、陛下は何かご存知ですか?」
「いや…詳しくはきっと李順の方が知ってると思う……ねぇ、そんなに危ない所なの?夕鈴、明日一人で行くの?」
「はい。他の誰かを危ない目に遭わせるわけには参りませんので。」
「…。」

私の話を聞いた後、陛下は黙ってしまった。
何だろう…何か変な事言ったかな…?
気まずい沈黙が部屋に満ちる。
すると、夕鈴が待ちかねていた人物が部屋に入ってきた。

「―――陛下、宰相より追加の案件が…。おや、夕鈴殿。どうされましたか?」
「―――あ、李順さん。遅くにすみません。今宜しいですか?」
「構いませんが…。―――陛下?どうされました?」
「いや…。別に…。」
「そうですか。これが追加分です。」

黎翔は嫌な顔をしながらも、渋々受け取る。
その時夕鈴を一瞥したが、すぐに机へと向かう。
夕鈴は李順に話を聞くことにした。

「あの、李順さんは『禁断の反り橋』について、詳しい話をご存知ですか?」
「―――ああ、あの橋ですか。ええ。あの橋は数十年前に近づく事を禁止された場所ですね。あそこに踏み入れたものは皆、悉く橋の下の池に引きずり込まれ、生きて戻ってきた者は居ないということです。最初は助けようと飛び込んだ者も居りましたが、その者も池から上がっては来なかったそうです。つい数年前も立ち入り禁止だった事を知らずに、通ってしまった者が居て、その現場を目撃されています。でも、その者もそのまま…。」

話を聞くと、緑嘉さんに聞いた通りの内容だった。
少し考え、夕鈴は口を開いた。

「―――いつ頃からの現象かは分かりますか?」
「詳しくは記録されてませんが…。そこでそのような『事故』が起こるようになったのは凡そ50年前。その約5年後には立ち入り禁止にされています。それでも当初は知れ渡っていなかったせいで何人も被害者が出ました。そのうち『禁断の反り橋』という噂が流れ、誰も近づく者は居なかったと言います。」
「その50年前くらいに、あそこで何があったのか記録はありますか?」
「―――なにぶんここは後宮ですので…至る時代、至る場所で様々な事件が起きています。それらを全て記録にするのは…些か難しく。」
「つまり、残ってないんですね?」
「そういうことです。」

残ってないのか…知っておければ、ある程度心構えも出来るのだが…。
仕方ない。明日直接確かめるしかないか。

「ところで、一応毎日報告は受けてましたが…本当にもうほとんどの仕事を終えてしまったのですか?」
「―――あ、はい。一覧に載っていた怪現象につきましては、もうほとんどが解決済みです。…何かありましたか?」
「―――――――いえ、それならいいのです。」

李順は内心、物凄く驚いていたと同時に感心していた。
あの量を、ほんの1週間足らずで解決してしまうとは。
当初は陛下が勝手に決めてしまった人選に不安があった。
何せ…まだほんの少女、小娘だったからだ。
実際に会ってみても頼りなく、選んだ陛下に抗議もした。
でも最初の2、3日の働きぶりを見て「これなら…」と思った。
まさかあの一覧表の怪現象を、全て解決してしまうとは。
そしてどうやら、あの一番厄介な橋をも解決を試みるようだ。
陛下の「目」も、確かなものだったようですね。
しかし―――

「…夕鈴殿。その橋についてですが…。」
「何ですか?」
「もしどうしても危ないようでしたら、解決出来なくても良いので身の安全を確保してください。流石に死んでしまうような事態は、寝覚めが悪いですから。」
「…でも…。」
「いいですか。これは上司命令です。後宮で死者を出すのは出来るだけ避けたいのです。ですから…いいですね?」
「―――はい…。」

メガネをきらりと光らせながらそう脅す…いや、忠告する李順さんに、逆らえる気がしない。
でも、確かに自分が死ぬのは避けたい事態なので、夕鈴は素直に頷いた。
その二人のやり取りを、書類を捌きながら黎翔はじ…と見ていた。

――――――――――――――――――――――――――――――

どうしても書きたかったお茶のシーン。
夕鈴、陛下の微妙な空気に気づいていません。
毒とか、無縁の世界で育ったので。
色々修羅場は越えてるはずなんだけどな~…

そして!
李順さんが夕鈴を認め始めました!
夕鈴は仕事が出来る子なので…李順さんのお眼鏡には適うかと思いますよ?

でも流石に禁断の反り橋は、物凄く危険な場所なので、李順さんも心配でしょうねぇ…
陛下は…まあ…←


6へ続く

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