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雪の箱庭

「狼陛下の花嫁」二次小説を書いています。SNSで書いたものを掲載します。

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その出会いは偶然か必然か 9

続き&ラストです♪

後宮での仕事を全て終えた夕鈴。
帰り仕度をしていると―――?!

――――――――――――――――――――――――

夜。
夕鈴は与えられた仕事部屋で帰りの荷支度をしていると、女官の人に「陛下がお越しです」と言われた。

「―――へ?何で?」

明日の朝も挨拶の為に会うと思うのに…わざわざ夜に陛下は何の用かしら。

「―――入るよ、夕鈴。」
「陛下…どうかなさったんですか?」
「いや、君と二人きりで話したいことがあって…。」

そう言う陛下の声は…少し甘い。
その声にどきりとしながらも「話したいこと」の方が夕鈴は気になった。
黎翔は女官に人払いを命じ、すぐに部屋の中は静まり返る。
とりあえず立ち話もなんなので、夕鈴は陛下に卓を勧め、お茶を用意することにした。
お茶を淹れ、夕鈴も卓につくと、黎翔はすぐに切り出した。

「―――夕鈴、君は…僕と会った事あるの、覚えてる?」
「―――へ?」

またもや間抜けな声が出た。
私と陛下が…会った事がある?
そんな馬鹿な。
私と陛下は、あの謁見の間の挨拶が初対面のはずだ。

「―――だよね。やっぱり覚えてないか。」
「―――あの、私と会ったことがあるんですか…?その…陛下と?」
「ああ。まあその時は僕、お忍びの恰好だったから、君が気が付かないのも無理はないんだけどね。それに、一瞬だったし。」
「…はぁ…」
「あれはね…ほんの一ヶ月くらい前かな…」

…*… …*… …*… …*… …*… …*… …*… …*…

『―――ほら、あの子だよ…霊が見えるっていう…』
『あの子?…普通の子に見えるけどねぇ…』
『でも、突然一人で喋り出したり、鈴を振り回したり…とにかく、変な子だよ。几家の孫息子は、気にかけているみたいだけど…』
『ふ~ん…ちょっとおかしい子なのかしらねぇ…』
『普段は良い子なんだけど…』

そんな会話が耳に入ってきた。
黎翔はひそひそ話をしている女の人たちの視線の先の人物を見た。
その先には、まだ若い女の子。
淡い茶色の長い髪を、頭の上で二つ、まるで兎の耳みたいに纏めている。
その足取りは軽く、噂されるような子には到底見えなかった。
そのギャップが気になって、黎翔は知らずその子の後を付けていた。
すると

『―――あら?そんなところでどうしたの、迷子?』

と、誰も居ない、何も居ない空間に向かって喋り出した。
でも、まるでそこに人が…それも小さな子供が居るような態度で接していた。

『―――そう。お母さんとはぐれちゃったのね…。―――おいで、お姉さんがお母さんの所に連れて行ってあげる。』

そう言って何も無い空間に手を差し伸べ、何かを握るような動作をし、歩き出した。
その動きが気になってしまって、結局黎翔は目を離さないまま、その少女の後をつけた。



『―――…そう、4歳なの。それなのに泣かずにお母さんを探し続けるなんて偉いわ。よく泣かなかったわね。』

そう言って『ふふっ』と手を繋いだ(と思われる)先に向かって笑顔を向けた。
その笑顔は純真、純粋、無垢…そんな言葉が似合うほど、綺麗な笑顔だった。
普段王宮で煩わしい古狸と対決している身としては、眩しいものだった。
それに見惚れていると、その少女の向こう側から20歳くらいの青年が歩いて来た。

『―――よぅ。』
『あら、几鍔。こんなところで会うなんて珍しいわね。』
『いや―――…ところで、夕鈴。また「何か」握ってるみたいだけど…居るのか?』
『ええ。4歳の女の子が。お母さんとはぐれたらしくて…でも、話を聞くかぎり、お母さんももうこの世には居ないわ…だから、送って来ようと思って。』
『そうか…だからあっちの空き地に行こうとしてたんだな。』
『うん。』

二人は仲が良さそうで、僕にはよく分からない会話がされている。
そこで二人は別れ、少女――夕鈴と呼ばれたその子は、また歩を進めた。
気付かれないように背後から慎重に、黎翔は付いて行った。



『―――さて。ここでいいかしら。―――今からお母さんに会わせてあげるわね。』
(お母さん…居ないよ?…どこに居るの……)
『…大丈夫よ。これからお母さんを呼ぶから…。』

一緒に居ると思われる「何か」と会話をしながら、その少女は首から何かを外した。
それは、鈴だった。
首飾りなのだろうか―――鈴が三つ付いた、綺麗なものだった。
それを手に持ち、ゆっくりと天へとかざし―――

りんっ―――

高らかに鈴を鳴らした。

(―――あっ!お母さん!)
(――――――ごめんね。迎えに行くのが遅れて…可愛い、私の子…)
(ううんっ。私、ちゃんと泣かないで待ってたよっ!それに、このお姉ちゃんにここまで連れて来て貰ったの!ね、お姉ちゃん!)
『ええ…。』
(有難うございます…っ!なんとお礼を申し上げたら良いのか…っ)
『お礼なんて…それよりも、その子を一緒に連れて行ってあげて下さい。長い間、ずっと貴女を探していたようですから…』
(有難うございます…っ!本当に、有難うございます…っ)
(ありがとー!お姉ちゃん!)

少女は天を見上げた。
昇っていく母子の霊を…
その様子が分からない黎翔には、些か眉を顰めるような光景だが、その少女の背には、何か使命感の様なものを感じる。
下町の人間が噂していた様な、「おかしな子」には到底感じなかった。
これは黎翔の勘だ。
すると突然少女は振り返った。

『―――あ…』
『―――あら?ここに何か用事がありましたか?すみません、今すぐ居なくなりますので…』
『あ、いや…』

そう言うだけ言って、少女は去って行ってしまった。
この空き地に用事のある人間だと思われたらしい。
というか、見られていたとは微塵も思っていなかったらしい。

―――不思議な子だな。

もう一度会って話がしてみたい。
あの透き通るような笑顔を見てみたい。
そして…彼女の謎な行動について知りたい。

そう思って、黎翔は踵を返した。
王宮に戻るために。



それから、「夕鈴」と呼ばれたあの少女の事を調べ、霊能者や巫女としての仕事をしていると知った黎翔は、後宮の怪現象の解決を李順に申しつけ、「ついで」に人選も斡旋しておいた。
李順には多少反対されたが、黎翔は馬耳東風のように聞き流し、結局夕鈴が選ばれた。
そして、夕鈴が王宮に呼ばれた。


…*… …*… …*… …*… …*… …*…

「―――はぁ…あれを見られていたんですか…」
「うん。それに、ちょっとだけ話したんだけどね。夕鈴は忘れてたみたいだね。」
「まぁ…それだけの接触だと…無理もないかと。」

黎翔は所々ぼかしながら、夕鈴に話した。
さすがに、「ずっとつけていた」とは言いたくなかったので、「青年との会話から霊が見える子だと気付き、ちょっと見ていた」くらいに留めた。
それでも、夕鈴は自分が王宮に呼ばれた経緯を知ったからか「ふむふむ」と納得した様子だった。
その仕草も何だか可愛い。
でも「笑顔が綺麗だ」とか「話がしたかった」と伝えると、途端に真っ赤になった。
その顔も面白…いや、可愛い。
夕鈴と居ると退屈しないな…と黎翔は思った。
でも、夕鈴は明日下町に帰る。

―――さて。どうしようかな…


*********************

「帰り道に気をつけてね、夕鈴。」
「大丈夫ですよ…でも、有難うございます、陛下。」
「お仕事ご苦労様でした。夕鈴殿。」
「いえ…李順さんも、お世話になりました。」

翌日。
王宮の裏手の門から夕鈴は帰路に向かう。
お見送りは陛下と李順さん。
そもそも後宮の仕事だったので、あまり公の仕事ではなかった夕鈴への依頼は、こっそりひっそり行われたのだ。
なので、出る時もこっそりなのである。
夕鈴はふと表情を改め背筋を伸ばし、黎翔と李順を見る。

「―――こちらでは大変お世話になり、有難うございました。もしまた何かありましたら、どうぞ申しつけ下さい。」

そう言ってもう一度深くお辞儀をして、夕鈴は王宮を去った。
向かうは下町―――夕鈴の生まれ育った場所。
早く行かなきゃ。家族が待っている。
逸る気持ちを抑えきれず、夕鈴は走り出した。
後宮での仕事と、その成功報酬を胸に抱き、家族の元へ―――
その背中を、黎翔と李順は静かに見送っていた。



夕鈴は下町を歩きながら考えていた。
―――今回は大仕事だったなぁ…
雲の上の存在であった国王陛下に見え、話をし、剰え助けてもらったりもした。
一生に有るか無いかの体験だった。
あの時は『また何かありましたら…』と言ったが、そうそうこんな小娘が呼ばれることも無いだろう。
夕鈴はそう思っていたが―――

――――――再び王宮に呼び出されるのに、そんなに時間は掛からなかった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

最後に何か意味深な事言っておりますが…
「その出会いは偶然か必然か」はこれで最後です!
ここまでお読み頂き、有難うございました!

なんちゃって霊能力モノです。
夕鈴が霊能者でお巫女さん。
こんな出会い方。もちろん「必然」ですよね。
陛下が企んで…もとい、画策して。(あれ?フォローになってない?)

さて。
SNSでもpixivでも「続きを書く」と言って幾月日…
いつになったら書くんだよ!とか言わないで下さいませっ(>_<)゜◦
現在SNSでも連載中の、タイムスリップもの。
あちらの連載終了後、次に書く”かも”しれません←怪しいな…

一応、次のネタは浮かんでいるんです…でも、書く暇が無い(=_=)ゲッソリ

というわけで!

巫女さん夕鈴は楽しんで頂けたでしょうか?
作中で分からない事や、「んんっ?!」って思ったことも、いずれ書くつもりではありますので、気長にお待ち下さいませ~(@^^)/~~~

ではこれにて!

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