雪の箱庭

「狼陛下の花嫁」二次小説を書いています。SNSで書いたものを掲載します。

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届く想い

皆様今日は♪
今日と明日は、どうやら北国は温かいそうで(^◇^)

さて。
続きです♪

黎翔が認めた本を渡された夕鈴。
その内容とは―――?

―――――――――――――――――――――――――――

【パラレル】
【現代・原作どちらも出ます】



『―――この本を、いつか訪れる未来の為に託す―――』

本の最初は、そう始まっていた。

『私の名は、白陽国国王、珀 黎翔。人々からは『冷酷非情の狼陛下』と恐れられ、いつしか私が見るだけで、臣下たちは私を恐れるようになった。』

くすり…と夕鈴は苦笑いする。
確かに陛下は狼の面も持っている。その部分が、私を怖がらせる事にもなった。
…でも小犬の様な面も持っているのも、私は知っている。

『毎日下らぬ奏上を持って来る臣下たち。絶えぬ煩わしい縁談話。私は更に不機嫌な日々を送っていた。』

…確かに。煩わしそうだった。
黎翔の苦い顔を思い出し、夕鈴は神妙な気持ちになる。

『―――だが、そんな時不思議な娘に会った。名は、夕鈴と言う。』

…私?

『その娘は、明るくて活発で、とても真面目で頑張り屋。―――未来から来たと主張していた。勿論、最初は信じられなかった。―――それでも、そんな彼女が気に入って、興味を持って―――私は【臨時】で妃になる事を頼んだ。』

「…」

そんな日々もあった。
あの日々は…今となっては懐かしい。

『それから何度も泣く所を見て、でもその度に立ち直って…―――強い娘だ、と思った。…その娘は何度か姿を消し、そして戻って来た。すでにその娘を気に入っていた私は、姿が消える度に捜索した。―――しかし、見つからなかった。』

夕鈴は驚いた。
…まさか、毎回探していたのだろうか?
いや、そんな筈は無い。
だって、途中から私が未来の人間だって、納得していたはずだもの。

『姿を消す度、私の心は揺れた。最初はそれが何かは分からなかったが…―――いつしかそれが、愛しいと思う感情だと気付いた。』

「―――」

ぱらりとページを捲る。

『―――それに気付いてからは、何度も夕鈴に気持ちを告げたが、夕鈴は『自分は未来から来たから』『身分が違うから』『偽者だから』と、全く取り合って貰えない。―――私の気持ちを、受け取ってさえ貰えない。』

くしゃりと顔が歪む。
―――だって、そんなこと言われたって…!
生きる時代が違う、陛下と私では釣り合わない。それは本当の事。
でも、それを理由にして私は…陛下の気持ちを蔑ろにしてなかっただろうか?
陛下の本気を、ほんの一時の戯れだと思って無かっただろうか?

『夕鈴からは、どうしても良い返事を貰えないと感じた私は、ある一つの策を考えた。…夕鈴から未来の事を聞いてそれを書き残し、未来に託すという方法を―――』

これが先ほど、翔悠の言っていた話しに繋がるのだろうか。
夕鈴はそのまま食い入るように本を見つめる。

『―――未来での夕鈴の行動、日付、場所…こちらに来る時の状況を違えず記録し、未来に居るであろう自分の子孫に、夕鈴を送り返すように仕向けよう。―――そうすれば、夕鈴は確実に私の元に戻って来るはずだ。』

「―――、…」

…まさか、未来の話を聞いて何か書いてる時にこんな事を考えているとは、思いもしなかった。

『ここから先は、その夕鈴から聞いた話しを基に、夕鈴の行動を書き記すものとする。』

そこから数ページは、私が陛下に話した内容が書かれていた。
初めて白陽国に行った時の状況、日付け、場所。
帰った時の状況に、再び白陽国へ行くきっかけとなった遊園地での状況。
それには名前は書いていないものの、白家の姉弟の行動も書かれていた。私が話したからだ、陛下に。
読み進めて行くうちに、自分が消えてしまった後の陛下の心境も書かれていくようになっているのに気付いた。

『―――また消えてしまった、そう思った。夕鈴が消える度に私は不安になる。次に会えるのはいつか。もしかしたら…もう会えないのではないか?そう思う度、心が千切れそうなくらい苦しかった。』

ぎゅっ…と、こちらまで胸が締め付けられるような陛下の文章に、夕鈴は切なくなる。

『もう離さない。そう思っても、夕鈴はこの腕からすり抜けて行く。―――いっそ自分に縛りつけようと、ある時私は―――』

ドクンッと、夕鈴は心臓が騒ぎ出すのを感じた。
ぎゅっと目を瞑る。

…嫌だ………この後を見たくない…―――怖い…

…でも―――陛下の気持ちも、知りたいと思う。
本を読み進めていく度明らかになる、陛下の気持ち。
私はそれに、向き合わなければならないと思ったのだ。
少し震える手で、本を持ち直し、目を開ける。

『―――夕鈴を、襲ってしまった。あの時は、そうするしか考えられなかった。―――しかし…傷ついた表情の夕鈴を見て、自分は何て事をしたのかと、過ちに気が付いた。』

あの時、陛下はそんな事を考えていたのか。
刺客をやっつけた後で、でもそれよりも何よりも、陛下に襲われたという衝撃に見舞われた私には、そんな陛下の心境を慮る余裕など無かった。

『そして…私が隠したはずの手鏡がそこにあり、夕鈴はまたもや消えてしまった…。私は頭の中が真っ白になった。―――今度こそ、夕鈴は帰って来ないのでは?…そう思って。』

「―――」

『その後、やって来た刺客を尋問し、ある時朝議の場にて自分の娘を妃に、と言っていたあの大臣が裏に居た事が分かった。―――その大臣は、地方に飛ばしてやった。―――そして、2週間が経った。それでも、夕鈴は帰って来ない。』

ではあの後、陛下は無事だったのだ……
夕鈴は本を膝の上に置いて、手で目を覆った。泣きそうだった。
―――良かった…。
翔悠が来て最初の言葉を聞いた時、もしかしたら何か不測の事態が有って…陛下は…そう思った時は、生きた心地がしなかった。
少しばかり安心して、でもその次の言葉に、夕鈴はドクンッと胸が高鳴った。

『―――帰って来て欲しい、私の元に。嫌いでも良いから…傍に居て欲しい。そう思うのは、傲慢なのだろうか。夕鈴にとって、苦痛以外の何ものでもないのだろうか。』

じわり…と目に涙が浮かぶ。

『一緒に食事を食べたい。他愛もない話を一緒に話したい。毎日会って、毎日触れ合って…―――これからの人生を、彼女と共に歩みたい。一緒に笑って、時には喧嘩して…彼女の隣に、私は居たい。』

黎翔のしたい事…夕鈴とどうしたいか、そこには書かれていた。

『――――自分の気持ちと向きあう事で、私は気が付いた。私は……彼女に、自分の想いを言っていない事に―――好きだと、愛していると…伝えていない事に。』

はっ…と、夕鈴は目を瞠る。
―――陛下が、私を好き?
―――『愛している』?

『―――彼女の元気なところ、明るいところ、真面目なところ、無茶をするところ…時に鈍くて歯痒く感じることもあるけれど、それでも…その全てを…彼女の全てを―――私は愛してる―――――――――愛してるんだ…。』

その後も続いていたが、夕鈴の視界はもう利かなかった。

ポタ… ポタ…

気がつけば、夕鈴は涙を零していた。
黎翔の『愛している』という言葉に。

―――陛下………陛下っ……!
私もっ………陛下を―――陛下が……好き……好きなの…!
例え、どんなに怖い目に遭わされても、どんなに辛くても……!

本を汚してしまうと、慌ててテーブルの上に置くも、夕鈴の涙は止まらない。
後から後から溢れて来る。

―――陛下に襲われた事が、辛くて苦しくて…哀しくて、怖くて。
衝動と混乱のまま、現代に帰って来てしまったけれど、この気持ちは変えられなかった。
―――陛下を好き、という気持ちだけは…
この本を見て――陛下の気持ちに触れ…自分の気持ちも溢れて――涙が止まらない。

「…っ、ひっ…く……うっ…ひっ……」
「―――分かりましたか?」

嗚咽を零しながら泣いていると、静かな声が耳に入った。
涙に濡れた顔を、夕鈴は上げた。

「―――狼陛下は…珀 黎翔は、貴女を愛してた。誰よりも…」
「…――っ…」
「―――この先にもまだ続きますが、もう良いでしょう」

翔悠はパタンと本を閉じる。
夕鈴も、これ以上は良いと思った。


―――もう十分だ。
陛下の気持ちも―――自分の気持ちも。



涙は止まることを知らない。

―――自分の気持ちも、最早止められるものではないと知った。

――――――――――――――――――――――――――――

夕鈴としては、恋を自覚していたからこそ苦しかった、と言うことを表現したかったのです。
自覚が無ければ、陛下を怒れば。または、怖がって二度と近づかないか忘れれば良い話。
でも、それが出来ないから苦しい。

今回で、夕鈴の気持ちには一つ踏ん切りがつきました(*^^)v
ここまで出せて、良かったです♪
(あ。まだ終わりませんよ?)


次回予告↓

黎翔の書き残した本を読んだ夕鈴。
するとそこに―――?

次回、第9話
時代の壁
お楽しみに!

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「狼陛下の花嫁」の二次小説を書いています。
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