雪の箱庭

「狼陛下の花嫁」二次小説を書いています。SNSで書いたものを掲載します。

Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

それぞれの想い

皆様今日は♪
早く休みが来ないかな♪と文面だけ元気に書いてみる(=・x・=)
…実際は、疲れた~(´Д`)

さて。続きです♪

現代。
自分の家、父と別れ、夕鈴は再び王立博物館へと向かう―――!

――――――――――――――――――――――――――――――

【パラレル】
【現代・原作どちらも出ます】



夕鈴たちを乗せた車が、汀家から遠ざかって行く。
父の姿が見えなくなると、夕鈴は手をゆっくりと下げた。
―――これで、父さんとはもう会えないんだ…
『最後は笑顔で』
そのために、堪えていた涙が堰を切ったように溢れ出した。
拭っても拭っても、それは溢れて来る。

「―――そんなに泣くなら、止めれば良いんだ」

ぶっきら棒な言葉が、夕鈴に突き刺さる。
そんな発言をするのは、ここでは一人しかいない。

「―――几鍔…」
「親父さんと…青慎と…―――、……別れて、良いのかよ…」

俺と…とは言えなくて、几鍔は不自然に言葉を切りつつ夕鈴に聞く。
その言葉に、夕鈴は首を振る。

「…良いなんて、思っていない」
「じゃあ…」
「―――でも、陛下と共に生きたいと……傍に居たいと、思ってしまったんだもの…」
「―――」

その決意は、誰にも覆せない。
夕鈴は、幼い頃から頑固なところがあり、一度決めたら頑として聞き入れない所があった。
本当は、自分と一緒に武術を習わせるのも反対だったが、一度やると決めたこいつは、毎回必ず通って来た。
―――とどのつまり、変えられないという事か…
几鍔は溜息を吐いた。
代わりに、明玉が口を開いた。

「私は…正直、すっごく寂しい……夕鈴ともう――――会えない、なんて…今でも信じられない」
「明玉…」
「でも……でも、夕鈴が選んだ道なら―――…応援してあげたい気持ちも、本心なんだ」

泣いたのだろうか。少し腫れた目で明玉は言う。
自分は、かけがえのない友を持った。
例えもう会えないという選択をしても、私の幸せの為ならと背中を押してくれる、友が―――
そして―――

「―――姉さんが居なくなって、家は寂しくなるし大変だろうけど…心配しないで」

車の中で、几鍔の隣に縮こまって座っていた青慎が言う。
夕鈴は弟の方を見る。

「―――これまで、家族の為に頑張ってくれた姉さんだもの…自分の幸せを選んでくれた事、僕は嬉しいんだ…」
「青慎……」

家族とはここ数日の間に色々な事を話し、今後の憂いを出来るだけ取り除いた。
父さんとは、借金をこれ以上増やさない様に確約した。
そして、白陽国から着て来た妃衣装を売り払えば、それなりのお金になるだろうことも。
…二人は何故か、渋い顔をしていたけれど。
妃衣装は傍目にも高級だ。黒蘭国から着て来た衣装もある。
二つとも売り払えば、借金など返済出来るのではないだろうか。
いつかお金に困ったら、それを売って欲しい。
―――いや、本当はそんな事では無いのだ。
確かにそれも心配だが……この先、家族は元気にやっていけるのか。
青慎の成長する姿を見る事は出来ないのか。
嬉しい事、楽しい事、辛い事、苦しい事…
―――それらを、今後何一つ共有できなくなる事が、一番哀しいのだ。

「―――話の途中で済みませんが、一つ言っておかなければならない事があります」

一緒に乗っていた、翔悠が静かに話しに入る。
全員、そちらを向いた。

「夕鈴さんをあちらにお届けする際、博物館の謁見の間から、後宮へと入る必要性があります」
「後宮―――」

あの、『関係者以外入れない』所か。曰く付きの。

「―――後宮、か……そこには、誰も入れないんじゃなかったのか?」
「関係者なら、入れるんです」
「―――関係者?」
「はい。後宮の…―――王族の、関係者なら」
「―――つまり、俺たちは入れない、って事か…」

几鍔は、何かを考えるように顎に手をやる。

「そうです…ただ…―――汀 青慎君」
「…はい?」
「君は別です。―――君は、お姉さんの関係者……だから、後宮に入れる」
「―――?」
「お姉さんは、完全に『関係者』なので…その弟である君も、関係者として入ることが出来る、と言ってるんです」
「―――そうなのっ?」

声を挙げたのは、夕鈴だった。
そんなの初耳だった。
私が関係者なのは分かっていたけれど…まさか、その関係で青慎もそう認識されるとは。

「―――じゃあ、俺と明玉は謁見の間。青慎は後宮まで…って事か?」

何を、とは几鍔は言わない。
―――『夕鈴を見送る』とは。
まだ、現実味が湧かないのだ。夕鈴と二度と会えないという、現実に。

「そう言う事になります。博物館についてそれを言ったら、絶対騒ぐでしょう?」
「―――誰がだ!!」
「言わずもがな、ですね」

狭い車内で言い合いを始めた二人を、それまで沈黙を守っていた麗鈴が止める。

「まあまあ、二人とも。言い争いはお止めなさいな。―――夕鈴さん」
「―――はいっ」

美人の麗鈴に声を掛けられ、夕鈴はどきまぎする。

「緊張しているし、不安もあるでしょうけど…―――大丈夫です。きっと、何もかも上手くいきますから」
「―――?」


その麗鈴の言葉の意味を、夕鈴は暫くの間知る事は無かった。

車は、程無くして王立博物館に着いた。


************

「―――久しぶりに来たけど、やっぱり壮観ねー…」

明玉は一人呟く。
一行は博物館に着き、以前夕鈴が来た時と同じように翔悠たちの顔パスで入館すると、謁見の間に入った。
―――ここで、前に合わせ鏡ではなく、白陽国に行ったんだっけ…
あの仕組みは今でも分からない。
でも…白陽国からこっちに来た時も、私はあの手鏡しか持ってなかったのに帰って来られた。
合わせ鏡は、本当は関係無かったのかもしれない。
今なら、そう思える。
―――何らかの、気持ちの違いなのだと。

「―――ここから先は『関係者』以外は入れません……お別れを言うなら、ここで最後です」

冷静な翔悠の言葉が夕鈴に突き刺さる。

―――これで、几鍔と明玉とも、さよならなんだ……

後宮へと繋がる扉を見つめていた夕鈴は、ゆっくりと二人の方を振り返る。
明玉は今にも泣きそうで。
几鍔は未だに不満そうな顔で。
それぞれの心境を如実に表した表情に、思わず夕鈴は笑う。

「―――何で笑ってんだよ…」

これまで出した事も無い苦悶の混じった声を、几鍔は振り絞った。

「もう…会えなくなるってんのに…」
「―――ふふっ…ごめん……―――何だか、おかしくて」
「――あ?」
「二人とも、考えてる事が顔に出てるなー…って」
「……お前な……」

呆れたように几鍔は言う。

「―――もう…夕鈴ったら…―――本当に、これでお別れなんだね…」

夕鈴の言葉と感情につられたのか、明玉も少し笑いながら口を開く。
しかし、涙声は隠せていない。

「―――明玉…」
「本当は、お別れなんて嫌。もう…会えなくなるなんて…―――夕鈴。絶対幸せになってよ?じゃないと、許さないんだから」

自らの本音を隠さず、しかしこちらを鼓舞するように強く言う親友に、夕鈴は笑顔を向けた。

「―――うん。絶対に、幸せになる。―――だから、明玉も、元気でね…」

本当は、不安も大きい。陛下が、私をもう一度受け入れてくれるかどうかは分からない。
それでも―――選んだのは私。
離れる友人を心配させないために、そして元気でいて欲しいという思いも込めて、夕鈴は明玉の手を強く握った。
それに、明玉も強く握り返す。

「―――俺も、一言良いか…」

落ち着いた頃、几鍔が言葉を掛ける。
夕鈴も明玉も、几鍔の方を向いた。
夕鈴が自分の方を向いたので、几鍔が続けた。

「―――その王様ってヤツに伝えろ―――お前を泣かせるような事になったら、お前の子孫を、俺が懲らしめてやるってな!…お前も―夕鈴もだ!もしも泣いて帰って来るような事があったら、二度とあいつの元に何か行かせねぇ!―――分かったな?!」
「―――几鍔……」
「分かったら返事をしろ!返事を!」
「―――…一言じゃないじゃなかったじゃない…ふふっ」
「―――うるせぇ!!」
「――――――――うん、分かった」

こいつらしいと、夕鈴は笑う。
―――最後の最後まで、明玉も几鍔も、態度を変えない。それが嬉しい。

「―――ちょっと、こっち来て」

夕鈴は傍らの明玉の手を握ったまま、反対の手で几鍔を手招きする。
几鍔は訝しげな顔をしつつも、それに従った。
明玉と几鍔が同じくらいの距離になった所で、夕鈴は二人を抱き締めた。

「―――なっ?」
「―――夕鈴?」
「―――二人とも、ありがとう……私の出した答えを、応援してくれて」



暫くされるがままになっていた二人は、少し照れくさくなったのか身動ぎした。
そのタイミングで、夕鈴は手を離した。
二人から一歩、距離を置く。

「―――夕鈴…」
「―――――――もう、行くわね」

少し表情を歪ませた明玉に、夕鈴は殊更明るく声を掛ける。

「―――うん。あんたも、気をつけなさいよ?色々危なっかしいんだから…」
「もう…こんな時まで…―――大丈夫よ」

安心させるように言い、夕鈴は翔悠たちと青慎が待っている、後宮へと続く扉へと歩き出す。
後宮の扉が、開かれる。

「「―――――夕鈴っ!!!」」
「――――元気でねっ!!!」

夕鈴は目元に光るものを付けながらも、笑顔で二人に手を振った。
そのまま、夕鈴たちは扉の奥へと進んでいった。



―――荘厳な扉が、音を立てて閉ざされた……

――――――――――――――――――――――――

ブログだから言っちゃおう。
実は…夕鈴は『関係者』は『関係者』なのですが…
もうちょっと、踏みこんだ『関係者』…と言うことは皆様お分かりですね(^_^;)

夕鈴は知ることは無いですが、番外編(…おまけ?)辺りで再びその単語が登場します。
覚えていて下さればと思います♪


次回予告↓

後宮へと足を踏み入れた夕鈴たち。
そこを見た夕鈴は―――?

次回!
第14話「想いの先へ
お楽しみに!

スポンサーサイト

*Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

左サイドMenu

プロフィール

さき

Author:さき
さきと申します。
「狼陛下の花嫁」の二次小説を書いています。
楽しんでいただけたらと思います。

四季の風景時計

訪問者数

現在の訪問者数

現在の閲覧者数:

最新記事

天気予報


-天気予報コム- -FC2-

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

QRコード

QR

ブロとも申請フォーム

右サイドメニュー

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。