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2014.05/31 [Sat]
第58話派生SS 2
皆様今日は♪
さて!!!
やっと先ほど書き上がりました!!!
続きです!
―――――――――――――――――――――――――――――
一方夕鈴は、下町に来ていた『李翔さん』が陛下とバレ、頭の中がぐるぐる回っていた。
―――な、何?この状況…
貴族である二人―――しかも、上流の―――が、ただの掃除婦でなければならなかった夕鈴の家に来て、青慎に自分の本当の職業がバレて…―――厳密にはここにいる誰にも、“本当の職業”はバレては居ないが―――…妃であったことはバレて―――
もう、自分では処理しきれない。手に負えない。
頭を駆け巡るのは、バイトを始めて最初の頃と、退職する時の、李順さんの言葉。
―――――――――――まさか、本当に…一族郎党、消されるのだろうか。
無いと思いたい――――思いたいけれど。
『冷酷非情の狼陛下』は、演技では無かった。
つまりは…
その発想に、夕鈴は色を失う。
―――陛下に、殺されるかも知れない?
いや…実際には、多忙な陛下は来ないだろう。だとすると、きっと李順さんが命を下した人かも知れないけれど。
そんな取り留めもない事を、夕鈴は考える。
―――そう考えると、今まさに目の前に居るではないか―――夕鈴が後宮に居たと、知る人物たちが。
もしかしたら、この二人こそ、消しに来た人物では無いのだろうか?
ちらりと方淵と水月を見る夕鈴。
(いや―――幾らなんでもそれは…)
―――でも、本当にそう言える?
私は、陛下の演技が演技じゃないって事すら見抜けなかったのに―――
そんな自分が、今目の前にいる二人が『自分たちを消しに来たのではない』という確証を持てるの?
どんどん疑心暗鬼になって行く夕鈴。
表情が一層険しくなり無言になった夕鈴を見て、方淵と水月も視線を戻す。
「―――考え事ですかね?」
「また妙な顔を―――大方、この顔と同じくらい妙な思考に陥っているのでは?」
そんな二人の呟きも、今の夕鈴には聞こえない。
(ど、どうすれば…!っていうか、これって私がばらしたわけでは…)
この二人が来た事により、しかもこの二人が先に『妃』と言ったせいで青慎にバレたのであって…自分がバラしたわけではないから、セーフ?
いやいや…そんなに甘くは…李順さんがそんな…
――こんな状況になると、一向に姿を見せない浩大の動向が気になって来る。
もしかして、報告に行ったとか?
―――後宮を去ると同時に付いた、監視役。
それが浩大だけれど、私は何も明らかにする気は無かった。
李順さんに散々脅されたし、退職金という名の口止め料も押し付けられたし…
この二人が来た事を、李順さんか…陛下に報告しに行ったのかしら…
それとも始めからこの二人にこの場所を教えたのも、陛下?
もう、何もかも分からない。
「―――お妃」
びくりっと、青慎の時の比では無いくらい夕鈴の肩が揺れる。
方淵を見上げたその瞳は、明らかに先ほどは見られなかった怯えの色が含まれている。
その様子に、方淵は溜息を吐いた。
「―――我々は、この事は陛下に許可を貰っていない」
「―――え?」
唐突な方淵の言葉に、夕鈴は何を言われたのか理解出来ない。
「陛下に何も申し上げず、独断で行動した」
「…それはどう言う…」
「まどろっこしいね、方淵。…お妃様、つまり私たちは、自分たちの判断で貴女を探していたのですよ」
「は…?」
それは…つまり…どういう状況?
ぽかんと二人を見上げる夕鈴に、方淵はチッと舌打ちした。
「…相変わらず、何も分かっていないようで…」
「―――今ので分かる訳がないでしょうっ!!」
「まあまあ、落ち着いて下さい。方淵、確かに今の説明じゃ分からないよ。もっと詳しく述べないと。――――つまりですね、私たちは貴女の退宮の理由に疑問を抱き、貴女を探す事にしたんです―――私たちの意思で」
「――――――――――――――へ?」
何か事情があるに違いないとは思った。
ここへ来て、目の前でぽかんと口を開いた、妃にあるまじき表情をしている娘には。
―――普通の貴族の娘であるとは、到底思えなかった。
貴族の娘にしてはがさつで、行動も突飛が過ぎる。
最初の頃に比べたら、妃としての振舞いは出来るようになってきてはいたが…本来の貴族の娘とは、比べものにならない。
素性不明ということで、色々な噂は立っていた。
しかしどんな素性であろうとも、陛下のお傍に居るのであれば、それなりのものを求めた。
その中には、この娘には難しい事もあったかもしれない。
それでも合わないことがあって、歯噛みした事もある。
―――だが庶民というならば、辻褄が合う。
実際、王宮に居る時よりも自然にこの場所に馴染んでいる。
これならば、王宮はさぞかし暮らし辛かったに違いない。
それでも、妃としてのこの娘で思い出すのは
『陛下の為に』
という、不本意ながらも自分と同じ理念の元に過ごしていた事。
陛下を知りたいだの、仕事についてどう思うかだの、訳の分からない動機で邪魔をされたが…
それがこの娘なりの、精一杯だったのだろうと今は思う。
出会った当初から、不思議な方だとは思っていました。
どれだけ身分があろうが無かろうが、どれだけ経験を積もうが…『狼陛下』をあのように恐れない人間が居るとは。
政務室であの御方と一緒に居るのを見る度、それはそれは不思議だったものだ。
―――あの陛下の空気が、あのお妃様の傍では柔らかく見えるなんて。
それほど陛下にとって、あのお妃様は特別なのだと。
噂の通り、寵愛は深いのだと、信じるに足る光景であった。
だからその寵愛が無くなったからお妃様が後宮から居なくなったのだとは、到底信じられない事だったのだ。
―――お妃様の正体は、下町の庶民の娘。
それならば…陛下の目的は。
陛下のお気持ちは。
考えるまでもなく、明白であった。
最近顕著に感じるようになった、王宮の雰囲気の悪化。
お妃様は知らなかった――今もご存知ではなさそうだが――それが理由ならば。
陛下は、お妃様を護るために、手放されたのだと…―――
方淵と視線を見合わせると、方淵も同じ結論に達したのか頷いて来た。
二人揃って『お妃様』へと視線を戻す。
「―――お妃様。私たちは貴女を追及するために探していた訳ではありません。ただ――真実が知りたかっただけなのです」
「陛下が何ゆえ貴女を手放されたのか…納得のいかない事ばかりだった。だから、貴女を探して…」
「私は、本当なら陛下と貴女の『真実の関係』を聞きたいのですが―――」
水月のその言葉に、びくっと肩を揺らす夕鈴。
「―――その様子では、話せない内容みたいですし…」
「―――単に陛下に見初められ、王宮の空気が悪くなったから帰された、と言う訳では?」
「それじゃあ説明がつかない事もあるんだよ、方淵」
「――何?」
一呼吸置いて、水月は言う。
「陛下は、確かにお妃様を慈しまれてはいました。ですが…それは、夫が妻を愛する、というような男女の関係では無い」
「…は?」
「これは推測だけれど―――つまり陛下とお妃様は『夫婦の関係では無い』と言っているんだよ」
「―――はっ?何を言っている、氾 水月」
「おかしいと思ったんだよ。ご夫婦であらせられるのに、陛下のお妃様への触り方は、妻に対するものではない、と…――どこか、遠慮を感じられた」
「―――」
方淵は混乱した。
―――陛下と、このお妃が、夫婦では無い?
ただ、水月の言葉には納得してしまう部分もある。
あのように寵愛を見せつける陛下が、その寵妃を政務室などという場所に連れて来るだろうか?
方淵が混乱しているのに気付いているものの、水月は続ける。
「紳士的、というのかな?確かに陛下はお妃様には優しいのだけれど…どこか他人行儀というか、よそよそしいというか…―――ふぅ…言葉で表わすのは難しいね…これで楽器があったら、この微妙な加減を表現出来るのに…」
「お前のその感覚は、一般の人間には理解できないと何度言わせる」
「でも、分かりやすいと思うのだよ」
「そもそも、音楽で表現する必要性がどこにあるっ!!!」
いつも通りの言い合いを始めた二人を余所に、夕鈴は頭の中がこの上なく真っ白になっていた。
(水月さんは―――何と言ったの?)
『真実の関係』?
私と陛下の?
そんなの―――臨時花嫁と、その雇い主に決まっている――本当の雇い主は李順さんだけれど。
(『夫婦の関係では無い?』)
そんなこと、今まで誰も指摘してこなかった。
だから…バレて無いと思っていたのに…
なのに、水月さんには何故バレているの?
私と陛下の間に、どこか他人行儀な雰囲気を感じたと言う。
それはそうだ。だって私と陛下は…―――他人だもの。
本当なら、会うはずの無い関係だもの。
自分のその考えに、ずきりと胸が痛む。
(―――いや、今はそんな場合じゃない)
この場面をどう切り抜けるか。
陛下にも家族にも迷惑を掛けない言い訳を、どのように言えば良いか…
夕鈴の混乱した頭が、再び動き始めた時。
「――――――そこまでです」
その一言に、汀家の居間はぴたりと音が消えた。
―――青慎以外の人間にとって、聞き覚えのありすぎる声だった。
玄関から、その人物が顔を出す。
「―――隠密から報告を受けてみれば…何やらややこしい事になっておりますね。夕鈴殿」
「り、李順さん…」
元・バイト上司の登場に、夕鈴は蒼白になる。
もちろん李順だから、ではなく…この状況での登場で、だ。
汀家の居間には現在、夕鈴、青慎、柳方淵、氾水月、李順…それと、きっとどこかに隠れているであろう、隠密・浩大…が居る。
きっと浩大の報告を受けたに違いない李順が、夕鈴の家を訪ねただろうことは、明白であった。
「あ、あの…この状況はですね…」
「浩大から事情は聞いています。とりあえず、貴女は急ぎ準備をして王宮に赴いて下さい…―――そちらの二人も」
「李順殿…私には状況が今一つ分かりかねます。そもそも、何故陛下の側近の貴方様がここへ?」
「――『夕鈴殿』、とお妃様を呼んでいるのも、気になりますね…」
方淵と水月は、それぞれ思い思いの疑問を李順にぶつける。
そんな二人に、李順は溜息を一つ吐き眼鏡を押し上げて言う。
「―――話は王宮に戻ってから。…外に馬車を待たせています。行きますよ」
その後、王宮へと連れて行かれた夕鈴は、とんでもない事態を知らされる事となる。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
続く…
わけがないwwww
ええ。続きませんwwwww
結構他の方も書かれてますが、水月さんは、何だか気づいていそうだと思う私です。
途中、水月さんに「楽器を」と言われた時は、どうしようかと思って方淵と一緒に叱りつけましたがwww
最後に李順さんが登場するシーンは、最初から考えていました。
困った時の李順さん。
上手く纏めてくれると信じていますwww←
では(@^^)/~~~
さて!!!
やっと先ほど書き上がりました!!!
続きです!
―――――――――――――――――――――――――――――
一方夕鈴は、下町に来ていた『李翔さん』が陛下とバレ、頭の中がぐるぐる回っていた。
―――な、何?この状況…
貴族である二人―――しかも、上流の―――が、ただの掃除婦でなければならなかった夕鈴の家に来て、青慎に自分の本当の職業がバレて…―――厳密にはここにいる誰にも、“本当の職業”はバレては居ないが―――…妃であったことはバレて―――
もう、自分では処理しきれない。手に負えない。
頭を駆け巡るのは、バイトを始めて最初の頃と、退職する時の、李順さんの言葉。
―――――――――――まさか、本当に…一族郎党、消されるのだろうか。
無いと思いたい――――思いたいけれど。
『冷酷非情の狼陛下』は、演技では無かった。
つまりは…
その発想に、夕鈴は色を失う。
―――陛下に、殺されるかも知れない?
いや…実際には、多忙な陛下は来ないだろう。だとすると、きっと李順さんが命を下した人かも知れないけれど。
そんな取り留めもない事を、夕鈴は考える。
―――そう考えると、今まさに目の前に居るではないか―――夕鈴が後宮に居たと、知る人物たちが。
もしかしたら、この二人こそ、消しに来た人物では無いのだろうか?
ちらりと方淵と水月を見る夕鈴。
(いや―――幾らなんでもそれは…)
―――でも、本当にそう言える?
私は、陛下の演技が演技じゃないって事すら見抜けなかったのに―――
そんな自分が、今目の前にいる二人が『自分たちを消しに来たのではない』という確証を持てるの?
どんどん疑心暗鬼になって行く夕鈴。
表情が一層険しくなり無言になった夕鈴を見て、方淵と水月も視線を戻す。
「―――考え事ですかね?」
「また妙な顔を―――大方、この顔と同じくらい妙な思考に陥っているのでは?」
そんな二人の呟きも、今の夕鈴には聞こえない。
(ど、どうすれば…!っていうか、これって私がばらしたわけでは…)
この二人が来た事により、しかもこの二人が先に『妃』と言ったせいで青慎にバレたのであって…自分がバラしたわけではないから、セーフ?
いやいや…そんなに甘くは…李順さんがそんな…
――こんな状況になると、一向に姿を見せない浩大の動向が気になって来る。
もしかして、報告に行ったとか?
―――後宮を去ると同時に付いた、監視役。
それが浩大だけれど、私は何も明らかにする気は無かった。
李順さんに散々脅されたし、退職金という名の口止め料も押し付けられたし…
この二人が来た事を、李順さんか…陛下に報告しに行ったのかしら…
それとも始めからこの二人にこの場所を教えたのも、陛下?
もう、何もかも分からない。
「―――お妃」
びくりっと、青慎の時の比では無いくらい夕鈴の肩が揺れる。
方淵を見上げたその瞳は、明らかに先ほどは見られなかった怯えの色が含まれている。
その様子に、方淵は溜息を吐いた。
「―――我々は、この事は陛下に許可を貰っていない」
「―――え?」
唐突な方淵の言葉に、夕鈴は何を言われたのか理解出来ない。
「陛下に何も申し上げず、独断で行動した」
「…それはどう言う…」
「まどろっこしいね、方淵。…お妃様、つまり私たちは、自分たちの判断で貴女を探していたのですよ」
「は…?」
それは…つまり…どういう状況?
ぽかんと二人を見上げる夕鈴に、方淵はチッと舌打ちした。
「…相変わらず、何も分かっていないようで…」
「―――今ので分かる訳がないでしょうっ!!」
「まあまあ、落ち着いて下さい。方淵、確かに今の説明じゃ分からないよ。もっと詳しく述べないと。――――つまりですね、私たちは貴女の退宮の理由に疑問を抱き、貴女を探す事にしたんです―――私たちの意思で」
「――――――――――――――へ?」
何か事情があるに違いないとは思った。
ここへ来て、目の前でぽかんと口を開いた、妃にあるまじき表情をしている娘には。
―――普通の貴族の娘であるとは、到底思えなかった。
貴族の娘にしてはがさつで、行動も突飛が過ぎる。
最初の頃に比べたら、妃としての振舞いは出来るようになってきてはいたが…本来の貴族の娘とは、比べものにならない。
素性不明ということで、色々な噂は立っていた。
しかしどんな素性であろうとも、陛下のお傍に居るのであれば、それなりのものを求めた。
その中には、この娘には難しい事もあったかもしれない。
それでも合わないことがあって、歯噛みした事もある。
―――だが庶民というならば、辻褄が合う。
実際、王宮に居る時よりも自然にこの場所に馴染んでいる。
これならば、王宮はさぞかし暮らし辛かったに違いない。
それでも、妃としてのこの娘で思い出すのは
『陛下の為に』
という、不本意ながらも自分と同じ理念の元に過ごしていた事。
陛下を知りたいだの、仕事についてどう思うかだの、訳の分からない動機で邪魔をされたが…
それがこの娘なりの、精一杯だったのだろうと今は思う。
出会った当初から、不思議な方だとは思っていました。
どれだけ身分があろうが無かろうが、どれだけ経験を積もうが…『狼陛下』をあのように恐れない人間が居るとは。
政務室であの御方と一緒に居るのを見る度、それはそれは不思議だったものだ。
―――あの陛下の空気が、あのお妃様の傍では柔らかく見えるなんて。
それほど陛下にとって、あのお妃様は特別なのだと。
噂の通り、寵愛は深いのだと、信じるに足る光景であった。
だからその寵愛が無くなったからお妃様が後宮から居なくなったのだとは、到底信じられない事だったのだ。
―――お妃様の正体は、下町の庶民の娘。
それならば…陛下の目的は。
陛下のお気持ちは。
考えるまでもなく、明白であった。
最近顕著に感じるようになった、王宮の雰囲気の悪化。
お妃様は知らなかった――今もご存知ではなさそうだが――それが理由ならば。
陛下は、お妃様を護るために、手放されたのだと…―――
方淵と視線を見合わせると、方淵も同じ結論に達したのか頷いて来た。
二人揃って『お妃様』へと視線を戻す。
「―――お妃様。私たちは貴女を追及するために探していた訳ではありません。ただ――真実が知りたかっただけなのです」
「陛下が何ゆえ貴女を手放されたのか…納得のいかない事ばかりだった。だから、貴女を探して…」
「私は、本当なら陛下と貴女の『真実の関係』を聞きたいのですが―――」
水月のその言葉に、びくっと肩を揺らす夕鈴。
「―――その様子では、話せない内容みたいですし…」
「―――単に陛下に見初められ、王宮の空気が悪くなったから帰された、と言う訳では?」
「それじゃあ説明がつかない事もあるんだよ、方淵」
「――何?」
一呼吸置いて、水月は言う。
「陛下は、確かにお妃様を慈しまれてはいました。ですが…それは、夫が妻を愛する、というような男女の関係では無い」
「…は?」
「これは推測だけれど―――つまり陛下とお妃様は『夫婦の関係では無い』と言っているんだよ」
「―――はっ?何を言っている、氾 水月」
「おかしいと思ったんだよ。ご夫婦であらせられるのに、陛下のお妃様への触り方は、妻に対するものではない、と…――どこか、遠慮を感じられた」
「―――」
方淵は混乱した。
―――陛下と、このお妃が、夫婦では無い?
ただ、水月の言葉には納得してしまう部分もある。
あのように寵愛を見せつける陛下が、その寵妃を政務室などという場所に連れて来るだろうか?
方淵が混乱しているのに気付いているものの、水月は続ける。
「紳士的、というのかな?確かに陛下はお妃様には優しいのだけれど…どこか他人行儀というか、よそよそしいというか…―――ふぅ…言葉で表わすのは難しいね…これで楽器があったら、この微妙な加減を表現出来るのに…」
「お前のその感覚は、一般の人間には理解できないと何度言わせる」
「でも、分かりやすいと思うのだよ」
「そもそも、音楽で表現する必要性がどこにあるっ!!!」
いつも通りの言い合いを始めた二人を余所に、夕鈴は頭の中がこの上なく真っ白になっていた。
(水月さんは―――何と言ったの?)
『真実の関係』?
私と陛下の?
そんなの―――臨時花嫁と、その雇い主に決まっている――本当の雇い主は李順さんだけれど。
(『夫婦の関係では無い?』)
そんなこと、今まで誰も指摘してこなかった。
だから…バレて無いと思っていたのに…
なのに、水月さんには何故バレているの?
私と陛下の間に、どこか他人行儀な雰囲気を感じたと言う。
それはそうだ。だって私と陛下は…―――他人だもの。
本当なら、会うはずの無い関係だもの。
自分のその考えに、ずきりと胸が痛む。
(―――いや、今はそんな場合じゃない)
この場面をどう切り抜けるか。
陛下にも家族にも迷惑を掛けない言い訳を、どのように言えば良いか…
夕鈴の混乱した頭が、再び動き始めた時。
「――――――そこまでです」
その一言に、汀家の居間はぴたりと音が消えた。
―――青慎以外の人間にとって、聞き覚えのありすぎる声だった。
玄関から、その人物が顔を出す。
「―――隠密から報告を受けてみれば…何やらややこしい事になっておりますね。夕鈴殿」
「り、李順さん…」
元・バイト上司の登場に、夕鈴は蒼白になる。
もちろん李順だから、ではなく…この状況での登場で、だ。
汀家の居間には現在、夕鈴、青慎、柳方淵、氾水月、李順…それと、きっとどこかに隠れているであろう、隠密・浩大…が居る。
きっと浩大の報告を受けたに違いない李順が、夕鈴の家を訪ねただろうことは、明白であった。
「あ、あの…この状況はですね…」
「浩大から事情は聞いています。とりあえず、貴女は急ぎ準備をして王宮に赴いて下さい…―――そちらの二人も」
「李順殿…私には状況が今一つ分かりかねます。そもそも、何故陛下の側近の貴方様がここへ?」
「――『夕鈴殿』、とお妃様を呼んでいるのも、気になりますね…」
方淵と水月は、それぞれ思い思いの疑問を李順にぶつける。
そんな二人に、李順は溜息を一つ吐き眼鏡を押し上げて言う。
「―――話は王宮に戻ってから。…外に馬車を待たせています。行きますよ」
その後、王宮へと連れて行かれた夕鈴は、とんでもない事態を知らされる事となる。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
続く…
わけがないwwww
ええ。続きませんwwwww
結構他の方も書かれてますが、水月さんは、何だか気づいていそうだと思う私です。
途中、水月さんに「楽器を」と言われた時は、どうしようかと思って方淵と一緒に叱りつけましたがwww
最後に李順さんが登場するシーンは、最初から考えていました。
困った時の李順さん。
上手く纏めてくれると信じていますwww←
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つづ…かない……?
まwww
続かない?!
こ、このふりで続かないの?!
終わりなの…っ?!
びっくりしたよ、さきさん!!!!
続き…ほしい………