雪の箱庭

「狼陛下の花嫁」二次小説を書いています。SNSで書いたものを掲載します。

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呪詛 2

皆様お晩です♪

最近の私にしてはお話を書けています!

この調子で書いていきたいものですが…どうでしょうかね…(^_^;)?

それでは続きをどうぞ!



―――――――――――――――――――――


******************

王宮の警備は強固だ。
王宮へと続く門の前には、強そうな――いや、実際に強いのだろうが――兵士が連なっている。
前回は後宮の裏口からひっそりこっそりと出入りしていた夕鈴は、王宮が目の前に現れてとても驚いた。
事件の場所が後宮だったからなのか、前回の迎えは確かにここまで仰々しくはなかった。
そんな経緯があったこともあり、今回はどのような依頼なのかと今更気になってきた。
前回の後宮の怪現象の解明及び解決。
あの経験は私を成長させてくれたし、またこの国の王の意外な一面も見られた。
中々出来ない体験をしたと思っている。
…普通は、そもそも怪現象の時点で『中々出来ない体験』だと考えるが、そこに発想が至らないのが夕鈴である。
馬車が王宮の門の前に着くと一旦停止し、先ほどの御者さんと門番が一言二言言葉を交わすと、兵士たちが門を開く。
馬車が門を通り過ぎる時、門番の兵士がちらりとこちらを見たが、すぐに戻った。

「―――?」

何だろう?私が何か?
兵士がちらりとこちらを見た時、何だか一瞬目が合った気がした。
そして一瞬驚いていた気がしたのだが―――気のせいだったのかしら?
訳が分からないが、馬車の進む向こうに王宮の入り口が見え、そちらに気を取られたので夕鈴はこの時深くは考えなかった。


****************

王宮に入ると、待っていた様子の侍官と思われる人物に案内された。
曰く、陛下は後宮でお待ちです、とのこと。
どうやら前回のように謁見の間ではなく後宮の陛下の部屋で話をするらしい。
…王宮から入ったのに、結局後宮へと呼び出されるとは、これ如何に?
それなら最初から後宮へ運べば良いのに…回り道じゃない。
夕鈴は辺りを見渡す。
――どうやら王宮にも幽霊は沢山いるらしい。
こちらは、やはりと言うべきか何というか―――男性の霊が多かった。
だが数は問題ではない。

「―――あまり…良くないわね…」

そう、数は問題ではないのだ、数は。
数よりも、その性質が問題であった。
後宮の霊は、明らかに好奇心の塊。趣味は覗きやお喋り。そう言った具合だったのに。
後宮は女が多いからそのような性質なのかもしれないが、ここは明らかに淀んでいた。
王宮の霊は―――何というか、一言で表すなら険悪だ。
恨み、妬み、嫉み…はたまた権力への固執。
それらが渦巻いていた。
このような状態で、王宮の政は上手く機能しているのだろうか―――そうは思えない。
そういえば、と夕鈴は思い出す。

『―――最初は神殿から誰かを派遣してもらおうと考えたのですが、内政は未だ安定せず、敵も多い。そんな中、貴族の息がかかった神殿の人間に依頼すると、余計な勢力争いに発展しかねないと判断したんです。ですから、民間から雇おう、という事になったんです』

後宮で陛下の本性を知った時、自分が雇われるに至る経緯を李順さんから聞いた。
つまり――周りはそんなに信用出来ないのだと理解した。
なるほど…この空気では、そう感じるのも無理はない。
霊たちも淀んでいるが、そもそも王宮の空気が悪いのだ。
ここで仕事をしている官吏たちの思考や気持ちが悪い方に向かっているせいで、王宮自体が悪い空気に包まれている。
この陰湿な『気』が、悪い霊を助長させているのだ。
これでは、陛下や李順さんが信用できないのも分かる。

(―――ああ…あの時あいつさえ邪魔しなければ…俺は溢れんばかりの権力と富を手にすることが出来たのに…)
(くそっ!大貴族だからと調子に乗りやがって…!あいつのせいで俺は、女を奪われた挙句地方へと左遷になってしまった!復讐してやらねば気が済まぬ!)
(…誰も僕を気にしない…誰も僕の存在に気が付かない…こんな僕は無能だ…役立たずだ…陛下の御世に、何も貢献出来ない…)

「―――う…」

悪意の塊の間を通り過ぎ、夕鈴は吐き気を覚えた。
これまでだって嫌な思いをした。
下町にだって、恨み言や憎しみに満ちた罵詈雑言が霊から発せられ、その度に気分が悪くなったものだ。
痴情の縺れから妻を殺した夫。
逆恨みで相手を殺した女性。
両親を殺され、失意のうちに亡くなった子供。
様々な経験をし…その度にこんなに弱くてどうすると自分を奮い立たせた。
しかし、それの比ではないくらいの悪意が、王宮には充満していた。
歩みを進めるたびに重くなる足取り。震える身体。
私がその『声』を聞いていると知ったら…どうなるのかは想像に難くはなかった。
だからこそ、見えているのを聞こえているのを、気づかれないように息を殺した。
それが周りに不自然に見えたとしても、そんなのは気にならないくらい必死だった。
後宮へと続く回廊に入った途端に安堵した。
あれだけ重かった空気が、こんなにも軽い。
思わず力が抜け、その場にへたり込む。

「えっ?ど、どうなさったのでっ?」

慌てる侍官。

「すみません…すぐに立ちますので…」

力なく言う夕鈴だったが、身体が震えているせいか声も震えていた。
その様子を見た侍官は、おろおろと辺りを見渡した。
そして心配そうに声をかけた。

「もうすぐで迎えの侍女の処へ着くのですが…そこまで歩けますか?」
「あ…もう少し、待ってもらえますか?多分、もう少しで立てると思うので…」

そう言って夕鈴は俯き、己の腕で体を包んだ。
この震えは暫く収まらないのではと夕鈴は思った。
この前の『禁断の反り橋』も怖かったけど…こちらは、別の意味で怖かった。
目を瞑り、恐怖をやり過ごそうとぎゅっと体を縮ませる。
その夕鈴の様子にさらに慌てふためく侍官。
そんな二人の様子を、周りの人間はざわざわと喋るだけで助けようとはしない。
その状態が少し続いた頃、突然周囲がざわついたと思ったらすぐに静かになった。
体を縮めていた夕鈴だが、周りの音は聞こえていたので、その周囲の様子に目を開いて顔を上げる。
すると、道の真ん中を堂々と歩いてくる人物が目に入った。

「―――どうした?気分でも悪いのか?」

その人物は、回廊の床にへたり込んでいる私を見ると優しい声でそう言った。



「あ…」

何故だろう、何だか懐かしいと、そう思った。
この人と別れたのは、ほんの10日前だというのに…
まるで何年も会ってなかったかのような懐かしさを覚えたのだ。
夕鈴の視線の先の青年は、そのまま歩み寄ると夕鈴の目線に合わせてしゃがみ込む。
そして冷たくなった頬を温めるかのように、両手で包み込んだ。

「―――どうした?夕鈴…そんなに青ざめて…誰かに何か言われたか?それなら…」
「あ…いえ…そうではないのですが…」
「なら、何故…」
「少し…気分が悪くなっただけです。大丈夫ですので、お気になさらずに…」

公衆の面前での至近距離に、思わず赤くなる夕鈴。
それを気にした風でもなく青年は続ける。

「気にするなと?それは無理だ」
「え…?」
「わざわざこちらが呼び寄せたのに…不快な思いをさせたかった訳ではない」

何を言っているのだろう?この人は。
というか…そんなに、私の顔色は悪いのだろうか?
逡巡していると、唐突に浮遊感に包まれ、夕鈴は悲鳴を上げた。

「―――キャッ!?な…!」
「立てないのだろう?それならこうすれば良い」
「いや、あの、その…」

戸惑う夕鈴と周りを差し置いて、青年は回廊の先の後宮へと歩み始める。
この先進める男性は、後宮の主―――国王陛下のみ。
青年―――陛下は、そのまま私を部屋へと連れて行ったのであった。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

御者さんといい侍官さんといい…前回の後宮の女官さんたちよりも良い人ばっかだなぁ…←

自分で書いておいてあれですが、何だかんだで女の人には女の人の方が厳しい気がします。

特に『女!』っていう女の人は←

さて。

陛下は何故夕鈴を呼んだのか?

それは続きではっきりする…はずです!←まだ書いていない(笑)


3へ続く


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