雪の箱庭

「狼陛下の花嫁」二次小説を書いています。SNSで書いたものを掲載します。

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離れない 3

大変長らくお待たせしました( ̄▽ ̄;)
これで本編は終わりです♪



―――――――――――――――――――――――――――――――――

【原作設定だよ】
【でも最初から『死ネタ』だよ】
【ちょっと切ないよ】



「――――――――え?」

唇に感じる、温度。
―――これは、何?
まるで時が止まったように動きを止めた夕鈴に、黎翔は苦笑を零しながら唇を離した。

「―――ほら、君の唇はこんなにも温かい…これが、夕鈴が死んでなんかいない証拠だよ」
「―――」

今、何をされたのだろう?
陛下の顔が近づいてきて―――その吐息が感じるほど顔を近づけて。
それから…―――?

「――――~~~~っっっ?!!」

自分に起こった事を反芻していた夕鈴は、やっと事を理解し、顔を真っ赤にした。

「な、な、なななっ、へ、陛下っ、いったい何を…」
「何って、君が強情だから、分からせてあげようと思っただけだけど?」
「そっ…、だっ…、へっ…」

そうじゃない。求めていた答えはそれじゃない。
そう言いたかったけど、言葉にならない。

―――今のは、世間一般に言う『口付け』ではないのっ?

それまで虚無感に包まれていた夕鈴は一転、大きな瞳を目一杯開いてぐるぐるしていた。
哀しみなど吹き飛ぶくらいの出来事に、情報処理能力は追い付かない。
そんな夕鈴を構うことなく、黎翔は淡々と続ける。
―――見れば、その腕には見たこともないくらい綺麗な衣があった。

「それに、君は服を脱ぐ必要はない。そのために、これを持ってきたのだから」

そう言いながら陛下は、私にその綺麗な衣を着せる。

「これは―――?」

その答えには、黎翔ではなく李順が答えた。
その様子は、とても動揺しているように見える。
―――いや、実際動揺していたのだろう。
眼鏡が少しずれていた。

「そ、それは…!天を司る女神の…!?」
「これはここに来る道中に、女神から貰った衣だ。事情を説明したところ、この衣を渡してくれた。これがあれば、死に近づいた人間も、現世に帰ることが出来ると」
「な、何故貴方の様な人間がそれを…!」
「さあな。だが、その女神からこれを貰ったのは事実だ」

最初は女神なんて信じなかったけどね。
そう言う陛下からは、女神への疑念は感じなかった。

「そ、そんな…!女神様は大変慎み深く、人間などに手をお貸しになる方ではないのに…!」
「知るか。私が愛する女性を迎えに行くと伝えたら、快くこの衣をくれた」

思考がぐるぐるしていた夕鈴は、自分がその『愛する女性』に該当するなどと言う発想には及ばず、寧ろ動揺する李順―――姿の奪衣婆の言葉が頭を占めた。

大変慎み深い女神―――その女神が、陛下には衣を渡した。
そのシーンをまざまざと想像してしまった夕鈴。
自分が感じていた空虚な思考など吹き飛び、ただ一つの単語が頭の中で行き交っていた。

「へ…」
「夕鈴?」
「へ、へ、陛下のっ…――陛下のっ、女誑し~~~~っ!!!」

夕鈴は黎翔の腕からべりっと自分を引き離し、黎翔が来た道へと脱兎の如く駆け出した。

「えっ?!!ゆ、ゆうりんっ?!」

何が起こったか分からない黎翔は、慌てて夕鈴を追いかける。
その様子を、ぽかーんとした表情の李順似の奪衣婆が見ていた。



「―――夕鈴っ!」
「きゃっ」

女神の衣を被りながら、夕鈴は道を突き進んでいた。
本当は脱ごうかと思ったが、止めた。
李順さんの慌てた様子と言い、何だか捨てたら怖いと思ってしまったから。
布地が多くてバサバサと動き辛かった、それでも夕鈴は走った。
陛下から逃げるために。
でも、やっぱり無理だったようだ。
腕を掴まれ、陛下の胸に後ろから飛び込んでしまう。

「夕鈴っ、どうしたんだっ?一体どうして…」
「―――っ」

必死に追いかけて来ただろうことが窺える。
汗によって顔に張り付いた髪の毛を払う事もせず、陛下は息を荒くして問い詰める。
しかしそこで夕鈴の感情は限界だった。
じわ…と涙が溜まるのを感じる。

「どうしてって…―――陛下、分からないんですか…?」
「分からないって、何が」
「…っ、――っ、~~~~~陛下は、どうしてそんなに女誑しなんですかっ?」
「―――――へっ?!」

今度は黎翔が頭を真っ白にする番であった。

「~~~っ、女神様から衣を貰うとか、どうして陛下はこちらの世界でも女性にモテるのですかっ!ふ、普段は慎み深いという女神様から衣を貰うなんて、陛下、一体女神様に何をして貰ったんですかっ?!」
「ゆ、ゆうりんっ?!ちょっと落ち着いてっ」
「私は至って冷静ですっ!」

文字通り爆発させながら、夕鈴は捲し立てた。
正直、冷静には程遠い姿だったが、それを突っ込むほどの余裕も黎翔にはない。
とにかく逃げられないように、抱き込むので精一杯であった。
ぎゅっと腕に力を籠め、夕鈴の耳元に囁く。

「―――夕鈴。私は女神に、ありのままを話しただけだ」
「――ひゃっ?み、耳元は止めて下さいっ。く、擽った…」
「聞いて。僕はこう言っただけだよ―――大切な、この世で一番大切な人を迎えに来た、と」
「だから止めて、下さ、いと…―――え?」

なおも耳元で囁く陛下に止めさせようと再び言った私の耳は、何だか妙な事を聞き取ったようだ。
やっぱり、自分は死んだのか、夢を見ているのかもしれない。

「聞こえなかったか?私は、女神に、この世で一番大切な―――愛する女性を迎えに来たと言ったんだ」
「―――っ?」

今度は聞き間違えようもなかった。
陛下の顔は見えないが、声音は真剣そのもの。
少し低い、愛おしい陛下の―――甘い声。
―――その甘い声が、今私に向けられている?
ここでは、夫婦演技など必要ないのに?

「へ、陛下っ、今は夫婦でいる必要はないんですよっ?妃を愛する演技は」
「演技ではない」
「は」
「演技で、あの世とこの世の境まで来る酔狂な男などいない―――ここに居るのは、紛れもなく君を愛する一人の人間が居るだけだ」
「―――~~~っ?!」

演技なのか―――?
そう思いつつ陛下を振り向いた私の眼には、思った以上に真剣な表情をした陛下の視線とぶつかった。

「っ、~~~」

もはや赤くなって黙るしか選択肢は残されていない。
―――陛下が、私を?そんな馬鹿な。
まず考え付いたのは、それだった。
だって、ありえないもの。陛下が私を…………だなんて。
現実逃避をしようとした私の思考に気づいたのか、陛下はむっとした表情になった。

「―――信じていないな」
「なっ、だって…!あ、当たり前じゃないですかっ!そんなの、信じられるわけ…」
「なら、今すぐにでも信じさせてみせようか?―――君が望むなら、ね」

その声音に背筋をぞくっとしたものが這ったのを感じた。
最後の台詞は小犬陛下っぽいのに、声は狼陛下だった。
固まった私を意に介さず、陛下は頬や耳に手を這わせて来る。
触れてくる陛下の手に頭が痺れてくる気がする。
徐に陛下が頬に手を添えて上を向かせる。
そして、先ほどと同じように顔を近づけ―――近いっ?!

「―――や、ちょ、ちょっ、陛下っ?!な、何をっ?」

近づいてくる陛下の顔を手で阻止し、少しでも身体を離そうと試みるが、存外陛下の腕の力が強くて、身体ごと離れることは叶わない。

「だって、君が信じないと言うから」

そう言って私の手をどけて、再び顔を近づける陛下。
もう私の頭はパンク寸前で、目の前の陛下をどうしていいのか分からない。
頬にあった陛下の手が、私の後頭部に回されて力を込める。

―――もう駄目だ。

そう思った私は、ついに降参した。

「~~~わ、分かりました、分かりましたからっ!し、信じますから…!だから止めて下さいっ」

目を瞑って少しでも現実から目を逸らしたくて、夕鈴は力一杯叫んだ。
陛下の吐息は、私の唇に触れる寸前だった。
それが離れていく気配にほっとしつつ目を開くが、顔が赤いのは隠せない。

「本当に、分かってくれた?」
「…っ」

でも陛下は逃げ道を塞ぐように私に聞いて来る。
そう言われたら、もう頷くしか道は残されてはいないではないか。
…ここで否定したら、また先ほどのような目に遭うかもしれないのに…。
こくこくと頷く私に満足したように、陛下は頭を撫でてくる。

「じゃあ、帰ろうか―――君を待っている者が沢山いる、現世に」

そうやって優しくするから、こんなにも切なくなるのに。
それでもそんな優しい手を握り返したいと思うのは、やっぱりそれだけ私が貴方を好きという事。
結局は、私は陛下からは逃げられないのだろう。
―――だって、三途の川まで迎えに来てくれる人から、どうやって逃げるの?

『死んでもこの人とは離れられない』

それをまさしく体現した、この人から。
夕鈴と黎翔は手を取り合って前へと歩む。

そして二人は光り輝く道の先へと進むのであった―――



―――その後、ある種困難な道が待っているのを、夕鈴は知るはずも無かった




――――――――――――――――――――――――――――

( ̄▽ ̄;)←

・・・本当はこんな結末ではなかったはずなんですがね( ̄▽ ̄;)←

ギャグオチで終わるはずだったのに・・・陛下がストーカーだから追いかけ始めるから←

実はこのお話の裏タイトルは(そんなのあるのか←)【離さない】だったりする・・・(おい)
最初それにしようか迷ったんですけどね←

この話にはおまけもございます♪



→おまけ三途の川の道すがら(往路)

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*Comment

NoTitle 

こんにちはー
ブログでの連載お疲れさまです!

裏タイトル・・・・むしろこちらが本題では?!
ストーカーの本音を見たり^^;
  • posted by うりうり 
  • URL 
  • 2014.09/23 19:31分 
  • [Edit]

うりうり様へ 

お早うございます('◇')ゞ

裏タイトル・・・最初これしか思い浮かばなくて、何とかひねり出したのが今のタイトルです・・・と言うのは内緒です←
ストーカーさんの本音なんてこんなもんでしょう|д゚)?←

ネタの提供有難うございました!
  • posted by さき 
  • URL 
  • 2014.09/24 07:14分 
  • [Edit]

NoTitle 

陛下のおんなっ誑し~~~~!!はぁはぁはぁ・・
あのお顔で切々と語られたら誰でも落ちちゃうと思うんですよね
陛下無自覚。夕鈴も無自覚。
無自覚同士勝手にやってろーー!(-_-;)

そこまで迎えに行くなんて・・神レベル・・?
いや、悪魔か・・・・それとも・・・陛下って何者ー(笑)

ではまたー(*^_^*)
あ、おまけ、まってる。
  • posted by ママ 
  • URL 
  • 2014.09/24 16:24分 
  • [Edit]

ママ様へ 

叫んでいただき、有難うございますwww
本当、無自覚同士って怖いですね(笑)
そうさせている自覚、私はありますよwww←確信犯

そうです。
神レベルのストーカーです←おいおいw

お待ち下さいませ~( ̄▽ ̄)
  • posted by さき 
  • URL 
  • 2014.09/24 17:00分 
  • [Edit]

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