雪の箱庭

「狼陛下の花嫁」二次小説を書いています。SNSで書いたものを掲載します。

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呪詛 8


お待たせしました♪


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

そうだ、何故気づかなかったのだろうか。
陛下の言う『皆』…それは、お妃様たちではないだろうか?
もしかしたら、陛下が親切で私を迎えに来てくれた一連の出来事が、お妃様たちの誤解を生む原因だとしたら?
別に自分が頼んだわけでもないが…むしろ、突然訪問してきたのは陛下側なのだが、それを知らないお妃様たちが受けた印象は、違ったのかもしれない。
しかも王宮から後宮に来るにあたっては、陛下に抱きかかえられてしまったし…!
これでは、言い訳のしようがない。

「そんなっ、私はそのようなつもりでは…!すぐに誤解を解いて来ないと…!」
「…夕鈴?」
「こうしてはいられないっ…陛下、お妃様はどちらですか?!私、お妃様に会わないと…!」
「えっ、ちょっと待って、ゆうり」
「私と陛下はそんな仲では無いですよって…ただ幽霊相談に乗っているだけで、疑われるような事は一切ありませんって言ってこないと!」
「―――」
「陛下っ!お妃様のお部屋はどちらですか!後宮は広くて…私、どこに行けばいいのか分からな…―――あれ?」

ここに来て夕鈴はハタと気づいた。
前回、自分は後宮を探索しなかったか?それこそ、隅から隅まで。
その全容を覚えるには至らないものの…流石に、お妃様のお部屋があったなら分かるはず。
どこに怪現象が紛れているのか分からないのだ、探していない箇所はほとんどない。
なのに、そこで『お妃様』の単語一つ聞かなかったのはどうしてだろう?
――――あれ?何かおかしくない?
夕鈴が疑問を抱き始めたと同時に、それまで口を挟めなかった黎翔がやっと割り込む。

「夕鈴っ、ちょっと待って!」
「―――へ?」
「君は思い違いをしているようだけど…―――僕に妃は居ないよ、一人も」
「―――へ?」

王様なのに?一人も?

「・・・そう、一人も居ない。今この後宮には、妃は一人も居ないんだ」
「・・・」

まるで言い聞かせるような黎翔の言葉を、夕鈴はじっと噛みしめる。
妃が、一人も居ない。
それは、どういう状況なんだろう?
そう思うも、続く李順さんの言葉に思考は遮られる。

「ええ、現国王陛下には、妃は一人もいらっしゃいません。縁談は山ほどきていますが・・・
「李順、その情報はいらん」
「いずれ耳に入るでしょうから、今お教えした方が親切というものです。ーーー夕鈴殿。そう言うことですから、お妃様が貴女を誤解するということは、まず起こりません」

その李順の言葉に、ほっとしかけた夕鈴であった。
しかし、またもや続く言葉に固まった。

「―――ですが、先ほども申しましたように、陛下に山ほど縁談を送ってくる貴族の方々は、どう思ったでしょうねぇ・・・」
「・・・」
「陛下に招かれた、異性の客人。しかも、具合が悪いと確認するや、すぐに抱き上げて『後宮』へと運ぶ始末・・・ここまで言っても、まだご理解出来ませんか?」

半ばバカにしたような李順さんの言葉。
しかしその口調はちっとも気にならず、その内容を反芻していた。

国王陛下の客人の女性。
抱き上げて後宮へ―――

「―――っ」
「おや、やっとご理解頂けたようで、何よりです」
「李順、夕鈴を脅かすな」
「いえ、これは必要措置です。何もしらないままでは、余りにも危険ですから・・・『陛下の客人』にしては」
「・・・」

何かを皮肉るような李順の口調に、黙り込む黎翔。
夕鈴は、否定をしない黎翔の姿に、自分の考えが間違っていないのだと思った。

―――つまり、私は陛下の『愛人』として見られていたってこと!?

陛下と、親密な仲だと・・・
そう思っただけで、夕鈴の顔は真っ赤に染まる。
自分は本当に具合が悪かっただけで、あの状況をそう考えるだなんて、これっぽっちも想像しなかったのだ。
そう、立てない私を、陛下が運ぶと言うことも、想像にも・・・

―――だめだ、これ以上この話を考えるのは、余りにも危険な気がする!

それは、草食動物の勘、のようなものだった。

「そ、それではっ、このような誤解は早く解くに限ります!わ、私、民間の霊能者と公表した方が宜しいで」
「「それは駄目(です)」」
「え」

自分の立場を明らかにした方が良いのでは。
そう思った夕鈴の案は、すぐさま二人に却下された。

「霊能力っていうのは、結構信じていない人も多いんだよ」
「何故そのような者を呼んだのか、質問してくる者も出てくるでしょう」
「もちろん、僕たちや後宮で働く者たちは、君の働きを知っているから信じているけど」
「そうなると、前回の後宮の怪現象も説明せねば納得出来ません」
「でも、実際目で見ないと、信じることは難しい。・・・実際、僕もそうだったし」
「王の庭たる後宮で、そのような事件があったとなると、王の権威に傷が付きます」
「君を謂われのない中傷から守るためには、君をただの『客人』として招く必要があったんだ」

「「だから、公表しない方が良い(のです)」」
「はぁ・・・」

正直、一人一人喋ってほしかったというのが夕鈴の感想である。
お互いがお互いの言葉を補完しているように見えたが、実際はただ自分の意見を主張していたものだった。

確かに、陛下と李順さんの主張も分かる。
霊能力というのは、目に見えない不確かなもの。
能力のあるものにとって、確かなものなのだが、見えないものにとっては不可解でしかない。
その不可解な状態で『霊能力者』と公表するのは、民間と王宮では見識が違うのであろう。
どこが違うのかは、具体的には思い浮かばないが。

だがそうなると、困ったことにもなるわけで。

「あの・・・」
「ん?何?」
「私、今回呪詛の件で呼ばれたんですよね?」
「あ、うん。そうだね」
「それを調査するには、またうろうろと歩き回らなければならないわけで・・・」
「うん」
「そうなると、一介の客人が後宮でうろうろしている状況を、どう取り繕えば宜しいのでしょうか・・・」
「・・・」

前回は、夕鈴はまっすぐ後宮へと呼ばれた。
今回のように王宮は介していないから、自分の存在は明らかにならなかったのだろう。
しかし、今回はどうなのだろうか。
夕鈴は、王宮方面から後宮へと入った―――王に抱き上げられてと言う、夕鈴にとっては黒歴史になりかねない状況で。
隠していた訳でもないので、夕鈴の顔を覚えた者もいるだろう。
さすがに『王都民の汀 夕鈴』とまでは分からないだろうが、調べられれば分かってしまうのでは。
勘違いなのだが、陛下の愛人が市井の人物だと知られれば、陛下の立場的にもあまり宜しくないだろう。
だから公表した方が良いと思ったのだが、それでは駄目だという。
じゃあ、今回の私の立ち位置はどうしたら良いのだろうか?



夕鈴が困った顔でそう言った後、何かを考える素振りを見せていた陛下は、考えがまとまったのか顔を上げて、とんでもないことを口にする。
とても明るい表情で。

「とりあえず、今日は僕の部屋で休もう」



――――――――――――――――――――――――――

こら。



→9へ続く

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  • posted by  
  •  
  • 2015.11/12 22:39分 
  • [Edit]

 

え?まさかの自室へお持ち帰りですか?
( ̄∇ ̄)ヤルナ、ヘーカ←チガウ

てか、最後の「こら」に笑ったw

  • posted by 桃月 
  • URL 
  • 2015.11/13 01:40分 
  • [Edit]

タイフーン様へ 

コメントありがとうございます\(^o^)/

何だか皆様「こら」に反応されて…
そんなに面白かったですか?(笑)

本当、夕鈴ガンバですよねwww
夕鈴の苦難は続く…←え
  • posted by さき 
  • URL 
  • 2015.11/13 19:41分 
  • [Edit]

桃月様へ 

コメントありがとうございます(。・x・)ゞ♪

皆様「こら」に反応されすぎですwww

お持ち帰り…出来るんですかね?
まだ続きが書き上がってないので…←早よ書け

どうする!?
どうなる!? ←だから早よ書けwww
  • posted by さき 
  • URL 
  • 2015.11/13 19:45分 
  • [Edit]

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