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雪の箱庭

「狼陛下の花嫁」二次小説を書いています。SNSで書いたものを掲載します。

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錯綜2

錯綜1の続きです♪

―――――――――――――――

【原作寄り】【両片想い】【捏造】



姉さんから粗方値切り交渉術を教わった李翔さんは、僕と一緒に歩きながら次々と店に入る。
僕の手を取りながら。
僕の手と言っても、姉さんの身体だけど。
李翔さんは、姉さんの体に優しく触れる。
べたべたと触り過ぎず、でもきめ細やかにさり気なくエスコートしてくれる。
いつも姉さんと李翔さんの様子は見ていたけど、実際に体感するとこんな感じなんだ。
ほへー…と感心していると、李翔さんは笑いかけてきた。

「――夕鈴、これは必要?」
「――あ、はい、要ります。」

「夕鈴」と、姉の名前で呼ばれることにはまだ慣れない。慣れても困るが。
李翔さんは、姉さんに対していつも柔らかい笑顔を見せる。
それは僕にも同じで、よほど姉さんの事が大事なんだなぁ…と思ってた。
今は僕が「姉さん」だから、いつも姉さんに向けられる笑顔を自分が見てる。
何か、変な感じがする。
思わず、くすりと笑ってしまう。
すると、李翔さんが小声で聞いて来た。

「…ん?どうしたの?」
「いえ……何だか、変な感じがして…。」
「変?」
「あ、その、いつもは姉が体感していることを、自分が体験すると思うんですが、やっぱり李翔さんは姉に優しいですね。」
「…そう?」

照れくさそうに言う李翔さんは、何だか可愛く見えた。
それでまた手を口に添えてくすりと笑う。
そして真顔になったかと思うと、自分の口元に手を当てて、僕の耳元に内緒話をするように話しかけてきた。

「―――青慎君は、何か身体に違和感とか無い?どこか痛い所とか…」

僕も同じ様に、手で口を覆って李翔さんの耳元に話しかける。

「先ほどぶつけた頭はまだちょっと痛いですが、これと言った違和感は無いです。」
「そうか…」

そう言って僕から離れ、思案する李翔さん。
よっぽど姉さんの事を心配してるんだな。
何だか、かっこいいな~…



夕鈴と弟君が入れ替わった事は、正直衝撃的だったけど、考えてみれば弟君に良い所を見せられる良い機会でもある、と黎翔は前向きに考えた。
普段、自分がどれだけ夕鈴を大切にして居るか、本人にはどうしても伝わらないけれど、そんなに鈍くは無い弟君なら感じ取ってくれると思って。
やっぱり、色々考えるとご家族の反対は無いに越したことは無い。
うん。じゃあ、弟君に認めてもらえるよう、頑張らなきゃねっ。
黎翔はある意味張り切っていた。



夕鈴は店から少し離れたところに立ち、陛下と弟を見守っていた。
上手く値切れるかしら?
青慎は慣れない身体で大丈夫かしら?
夕鈴は、そう思うとそわそわして落ち着かない。
いつもの青慎は、買い物に関しては私に任せてくれるから、ここで積極的に一緒に居ると、周りの人からは不審に見られてしまう。
それを阻止するために、ここは堪えるしかなかった。
すると、陛下が弟に向かって、何か囁いた。

―――近づきすぎじゃない?

それは私の体なんですけど…
青慎は男の子だから分からないかもしれないけど、男女の距離としては近づきすぎである。
陛下も、そんなに近づかないで下さいよっ!
もっと周りの目を気にして下さい!
ああ、注目を浴びちゃってるじゃないっ!
後で明玉に何を言われるのかと思うと……ああっ!

頭を抱えて悩む《青慎》に、下町の人々は何か悩みでも…と心配した。


*********************

何とか戦利品(買い物したもの)を持ち、3人は汀家への帰路につく。

「―――あ」
「―――またお前か…」

そこで下町でいつも出くわす顔に会った。
その瞬間、《青慎》がとても嫌そうな顔をする。
几鍔は、胡散臭いと思っている男が未だにこいつらの周りをうろちょろしてんのかよ、と言わんばかりに睨みつける。

「―――やぁ、金貸し君。いつもよく会うね。」
「はっっ!またこいつらんとこに世話になってんのかよ。高級宿にでも行けば、そいつん家より良いもの食えるだろうによ。趣味ワリーな。」
「ちょっとっ、几鍔っ!!!この人に失礼なこと言わないでよ!」

その瞬間、その場がシーンとなる。

「―――あ…?青慎…?どうした?こいつに何か変なもんでも喰わされたか?」

そう言って几鍔は《夕鈴》を指差す。

―――ちょっとっっ!何で私が変なもの食べさせた前提なのよっ!
今すぐにでも几鍔に掴みかかりたい夕鈴だったが、これは青慎の体、これは青慎の体、と呪文のように繰り返し、何とか気持ちを抑える。

「―――ま、何だかよく分からないが、身体だけは壊すなよ。」

そう言って几鍔は《青慎》の頭をぽんぽんと軽く叩く。
いつも嫌な奴だと思うけど、青慎に対しては違うんだと、ここで改めて思う。
そう思って几鍔を見上げるが、その几鍔は陛下と《夕鈴》の方へと体を向けていた。

「―――で?アンタは今日もこいつらの家に泊まる気かよ?」
「う~ん…折角夕鈴の手料理が食べられるチャンスだしな~…」
「テメェは…っ!また…っ!」
「き、几鍔さん…っ、李翔さん…っ!こ、ここは往来ですから、もうそのくらいで…」

《夕鈴》が二人を止めたその時、几鍔は変なモノを見るような目で《夕鈴》を見る。
《夕鈴》に近づいて、じろじろと見る。

「―――――――あ…?……お前も変なもん喰ったのか…?熱は…ねえな。」
「あ……あの……っ?」

几鍔が《夕鈴》を覗いたり額にぺたりと手を触れる。
すると、脇から《夕鈴》を引っ張る人物がいた。

「―――悪いけど、あんまりべたべた触らないでくれるかな?」

にこり、と黎翔は《夕鈴》の肩を抱きながら微笑む。
しかし、瞳が笑っていない。
その雰囲気に、《夕鈴》は身を固くする。
少し離れた場所に居た《青慎》も、黎翔の顔を見た瞬間に顔を蒼褪めさせた。
几鍔はそれに怯まず、剣呑さを増して言う。

「――ああっ?何こいつを自分のものみたいに扱ってんだよ。こいつはテメーのもんじゃねぇぞ!」
「えー?」

《夕鈴》に手を伸ばす几鍔に、黎翔は《夕鈴》を抱えながらひょいと躱す。
最早大人しくして居るしかない《夕鈴》。
そんな3人を、はらはらと見ているしかない《青慎》。
一見修羅場のようにも見えるが、当の黎翔と几鍔は涼しい顔(一方だけ)で動いている。

「―――ちっ!おい、もしこいつに何かされたら俺に言えっ!二度と目の前に来られなくしてやるからよっ」

そのうちどうしても無理だと判断した几鍔は、引く事にしたらしい。

「えー…それは困るなぁ…」

しかし、言われた張本人は特に困った様子ではない。
几鍔はくるりと黎翔と《夕鈴》に背を向け、《青慎》の方へと向かう。

「―――あの男があいつに何かしたら俺に言え。分かったな。」
「あ…」

几鍔はそう言うと、再び《青慎》の頭をぽんと叩いて去って行った。
黎翔は几鍔が去ったのを確認して、《夕鈴》を下ろす。

「ごめんね、弟君。目は回らなかった?」
「あ、はい…大丈夫です。」

黎翔は《夕鈴》に優しく声を掛ける。
無事な様子に《青慎》も二人の元に駆けつける。

「青慎っ!大丈夫だったっ!?」
「あ…姉さん、大丈夫だよ。李翔さんが落とさないように注意してたし…」
「あ、そうなの…」

その瞬間、何かちくりと胸に刺さったように感じたが、夕鈴はよく分からなかった。


*****************

やっと汀家に着いた。
夕鈴は夕食の支度をしながら溜息を吐く。
これまでの道程が長かった気がする…夕鈴はげんなりする。
いつまでこのような状態が続くのだろう。
私…はともかく、青慎はどうするの?
このままじゃ、勉強に支障が来るんじゃないの?
学問所はどうするの?
私がこのまま下町に居ても、青慎が勉強出来るわけじゃない。
むしろ、“夕鈴”は王宮に帰らなくちゃいけない。
臨時花嫁として。
でも、青慎にとって私は掃除婦として王宮で働いていると思っている。
その事もある。
かと言って“バイトで王様の妃をしているの”なんて、絶対に言えない。
ああ、どうしたらいいの?
いつまでこのままなのかしら?
ちらり、と陛下と青慎(見た目は私だけど)を見る。
何か二人で話してる。
楽しそう。

はぁ…
夕鈴は溜息を吐きながら、ダンッと力強く野菜を切った。



「―――ふ~ん…そうやって値切ってたんだ~…」
「ええ…姉は交渉が上手いと言うか、押すところは押して、でも引き際を見極めていて…」

黎翔と青慎は、先ほどの店での値切りについて話しており、そこから普段の夕鈴の値切りの光景について話していた。
交渉が上手い、というのは外交面でも役立つだろうな…
夕鈴は人当たりが良いから、交渉術を学ばせると、今より更に伸びるかもしれない。
黎翔は「今後」の事を考え、そんな事を思った。

黎翔がそんな感じで青慎と他愛ない話をしていると、台所から良い匂いがしてきて、その後《青慎》がやって来た。

「お待たせ~」

《青慎》が夕食を持って来る。
盆を置き、卓に並べる。

「あ、姉さん。僕も手伝う……あ…っ」

《夕鈴》が立つと、突然頭から何かが落ちる。
髪飾りだ。
恐らく、姉さんとぶつかった時にでも弛んでたのかもしれない。
姉さんにとって大事なものだったら壊れると大変だから、僕はすぐにしゃがんで拾う。
そして立ち上がろうとしたが―――

「―――ッ、えっ…!?」

裾を踏んでしまったらしい。
ぐらり、と身体が後ろに傾ぐ。

「―――青慎っ!」

後ろに居た姉さんが僕を支えようと手を伸ばす。
ああ、姉さん。
今はそっちが「青慎」だよ、と場にそぐわない事を考えていると…


ゴンッ!!!


――――再び、小気味良い音が部屋に響く



「「痛っっっ!!!」」

二人は同時に叫ぶ。
そして《夕鈴》は後頭部を押さえ、《青慎》は額を押さえる。
相当強く打ったのか、《青慎》の額は赤くなっていた。

「だ、大丈夫っ!?」

黎翔は二人の頭を撫でる。

「あ…はい、大丈夫です…」
「僕も…なんとか…」

そこで、はたと《夕鈴》と《青慎》は止まった。
お互いを見る。

「せ、青慎…?」
「姉さん…っ?」

お互いを指差して、また確認する。
そこで黎翔も状況を理解した。

「えっと……――戻った、のかな?」
「「―――ッ!!よ、良かったーーーっ!!!」」

そしてまた二人は叫んだ。

――――――――――――――――

《青慎》になっていた夕鈴。
普段青慎に几鍔がどんな風に接しているか、きっと察して…はいないな、うん。
でも、何かは感じ取ったんじゃないかなぁ…という憶測。←おい

「今後」…?
…一体何をお考えで?陛下?

3に続く

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「狼陛下の花嫁」の二次小説を書いています。
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