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雪の箱庭

「狼陛下の花嫁」二次小説を書いています。SNSで書いたものを掲載します。

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浦島物語―夕鈴―④

続き&最後です♪

竜宮城で黎翔に襲われ助けられた夕鈴。
そこに乱入してきたのは――

―――――――――――――――

【浦島太郎パロディ】
【捏造】


「―――遅かったようですわね。夕鈴様、お帰りになってしまうのですか?」
「う…瑠霞姫様…大丈夫でしたか?兵隊の皆さんは…紅珠は…。」
「私は無事ですわ。」

そう言って瑠霞姫の後に入ってきたのは紅珠だ。
どこも怪我をしている風ではない。良かった。
ほっとしていると隣に居た黎翔に抱きこまれる。

「な、ちょ」
「―――夕鈴は私と一緒に帰ると了承した。さあ、道を開けて貰おうか。」
「そんなに慌てて帰らなくても。仕方ないですので、あなたも歓迎しますわ。宴をご用意しますので、ゆっくりしていかれては?」
「その手に乗るか。そう言って夕鈴と私を引き離す算段であろう。」

引き離すも何も、夕鈴と黎翔は別に恋人でも夫婦でもないのだが…
と突っ込んだところで、先ほどの二の舞になるのは分かりきっていたので、夕鈴は無言を貫いた。

「っち…やっぱり無理か…」

乙姫方面から舌打ちが聞こえた気もするが、それも気のせいなのだろう。
あの絶世の美女が、舌打ちをするとは思えない。

「―――…ならば、今お土産をご用意しますわ。『玉手箱』と言って…」
「いらぬ。」

乙姫様の言葉を黎翔が遮る。
せっかくお土産に…と言って下さってるのに、その言い草はないだろう…と咎めるような眼で見上げると、柔らかい笑顔で返された。
そして頭を撫でられて、黎翔は鋭い視線に戻し、乙姫に向き直る。

「その『玉手箱』とやらは、開くととんでもないことが起こるのだろう?言い伝えでは、そのように言われている。」
「言い伝え?!何ですか、それ!私は聞いた事ありませんよ!」
「夕鈴の村には伝わってないのか。…だからあっさり亀に連れ去られたのか…。」
「あっさりとか言わないで下さい!これでも抵抗したんですよ!」
「抵抗…つまり、無理やり攫われたと言う事か…。」

やばい。何か地雷を踏んだようだ。
黎翔の雰囲気が変わった。
冷たい視線を乙姫と紅珠に投げかける。
乙姫こと瑠霞姫は平然と受け止めていたが、紅珠は真っ青である。
夕鈴は止めにかかる。

「れ、黎翔さん!早く帰りましょう!青慎も心配しているんでしょうっ?!」
「―――…ああ、そうだな。一緒に帰ろう。―――土産はいらぬ。道を開けろ。」

そう言って夕鈴の肩を抱き、出口へと歩いて行った。
とうとう諦めたのか、瑠霞姫と紅珠は道を明け渡した。
その時、夕鈴にウインクするのを忘れなかった瑠霞姫だった。


********************

「おーい、黎翔様ー。無事かー?」
「無事に決まっている。夕鈴も連れてきた。帰るぞ。」
「おー、お嫁ちゃんも無事で良かったな。一時はどうなることかと…」
「ちょっと!私は嫁になった覚えはないわよ!」
「え…だって、確か…」
「浩大!」

黎翔が大きな声で浩大の言葉を遮る。
浩大は「へーい。分かりましたよー。」と先に行ってしまった。
その様子に不信感を抱いた夕鈴は、黎翔から離れようとしたが「危ないからね」とより一層肩を抱かれてしまった。


****************

「―――ぷはーーーっ!げほっ、げほっ…ごほっ!」
「げほ、げほ…夕鈴、大丈夫?」
「だ、大丈夫で…げほっ!」
「本当に大丈夫?人工呼吸しようか?」
「いりません!」

油断も隙もない。
それにしてもまさか、帰りは息が出来ないなんて…
黎翔はどうやって来たのか。
確か亀さんは「自分が一緒だから大丈夫」と言っていたのに。

「あの、もう大丈夫ですので、離れて下さい。」
「岸までは危ないから、ちゃんと掴まってて。」
「私は泳げます!だから大丈夫です!」
「…じゃあ、手だけ。流されないようにね。」

うー…と思いながらも、岸までは相当距離がありそうだ。
男性の黎翔と比べて、女の夕鈴は体力が持つかどうか心配だったので、念の為手を繋いで泳ぐことにした。



岸に着くと、村人が全員集まっていた。

「―――な、みんなどうしたの?」
「―――姉さん!無事で…!無事で良かった…!」

そう言って抱きついて来たのは、弟の青慎だった。
相当心配掛けていたようだ。胸が痛む。
弟の背中を撫でながら、宥めるように夕鈴は言う。

「…ごめんね、青慎。姉さんはこの通り無事だから、安心してね。」
「…うん…。」

感動の姉弟の再会に、村人の多くは涙を流している。
弟との抱擁が終わった後も「夕鈴ちゃん、良く無事で」とか「夕鈴がいないと、この村が一気に静かになっちゃったよ」とか、色々な声がかかった。
一しきり感動を分かち合った後、少し離れていた場所に居た黎翔が夕鈴に近づいて来た。

「―――そういう訳で、汀殿。夕鈴は貰い受ける。」
「―――――――――――はっ?!」

夕鈴は驚いた。
な、な、何を言い出すのだこの人は!
まだ諦めてなかったのか…というより、何でもう貰い受けるとか言ってるの?!
私は了承してないわよっ!

「あ、あの話は本当なので…?」
「無論。私は嘘は吐かない。」
「ちょっと!何の話よ!黎翔さん!私はあなたと結婚しないって…!」
「だけど、そうしないと夕鈴が不幸になっちゃうよ。」
「―――――――は?」

父の言葉に、黎翔は肯定を示す。
どういうことだ。
不幸になる?私が?何で?
疑問符でいっぱいになった夕鈴は説明を求める。

「えっとね、夕鈴の村には伝わってないみたいだけど、僕の町に伝わる伝説があるんだ。」
「は…伝説?」
「うん。竜宮城についての伝説だよ。」
「それは…!」
「まあ、聞いてね。昔から、海の近くで女の人が行方不明になる話はあったんだ。帰って来る人も居たけど、帰って来ない人も多かった。帰って来た人も、記憶を失っていたので、何があったのかはさっぱり分からなかった。でも、ある日恋人を攫われたある男が、恋人のいなくなった海に身を投げたところ、竜宮城に着いたらしい。そして、見事に女の人を奪還したその男は、その女の人と結ばれ幸せに暮らしたらしい。」
「…そのお話はそのお話で、私のパターンとは違うと思うのですが。」
「まだ続きがあるんだよ。それ以降、海に入れば女の人が戻って来ると知った男たちは、女の人が行方不明になると海に入った。奪還に成功した後、幸せに暮らせる事を信じて。でも、女の人が望まず、別れた人も居たんだ。その場合、男も女も不幸になった。そこから生まれた伝説が『竜宮城から帰ってきた男女は、必ず結ばれなければならない。これがなされなければ、二人とも不幸になるであろう』ってね。」
「な、何ですかっ!!?その話は!」
「というわけで夕鈴。僕と結ばれないと、君も不幸になるんだよ。だから、結婚しよう。」
「な、な、な、な…」

開いた口が塞がらない。
聞かされた驚愕の話に、夕鈴の頭はついていけない。
何とか現状を打破しようと、父と弟の方を見るも、二人も納得しているのか、曖昧な表情が返って来る。
戸惑っていると、体がふわりと浮き上がる。

「―――っきゃ!」
「じゃあ、夕鈴。行こうか。」
「ちょ、私はまだ納得していないって…!」
「結婚式の詳しい日程は追って連絡する。とりあえず、夕鈴は私の屋敷に連れて帰る。」
「ちょ…っ!」

父と弟に向ける黎翔の顔はとても爽やかだ。
とても今、人攫いをやってのけようとしている人の顔じゃない。
抱き上げられた夕鈴は、暴れるも黎翔はびくともしない。
どんどん村が遠ざかる。

「―――――ッッ!!!だからっ!私は了承してないって…っ!もう!!一体どうなってるのよーーーーーーーーーーーっっ!!!!!!」

夕鈴の絶叫が辺りに響き渡った。



黎翔の話は半分は本当で、半分は作り話である。
竜宮城へ連れ去られた女の人を、男の人が助けだす、までは事実だが、その男女が結ばれないと不幸になる、は全くの嘘である。
夕鈴を手に入れるために話を作った黎翔。
黎翔の言い分に丸めこまれた村民と夕鈴。

―――果たして本当に幸せになれるのか
―――それはまた別の話である


―――終わり―――


―――――――――――――――――――――

ここまでお読み頂き、ありがとうございます。
浦島パロディ、夕鈴浦島編、どうだったでしょうか。
面白おかしく読んで頂けたなら幸いです。

この話は、先に瑠霞姫が乙姫で、夕鈴が海に入ってきたら、きっと物凄く持て成しそうだな~というところから生まれました。
でも、黎翔さんが出しゃばってきたので、さらに話が膨れ上がりました。
そして、夕鈴が浦島で決定し、他の配役も決定しました。

一応書いておきます↓

浦島太郎役:夕鈴
↑の救出者:黎翔(陛下)
亀:老師
乙姫役:瑠霞姫
乙姫の妹:紅珠

です。
ちなみに、玉手箱は本来の通り、開けたらおじいさん&おばあさんになっちゃいます。
だから、黎翔さんは貰うことを拒否。
はてさて、黎翔さんはそれをどこで知ったんでしょうね?←謎

このお話は、基本的にこれで完結です。
この話の途中、黎翔さんが助けに来たシーンを分岐点とした夕鈴浦島の几鍔編も考えてますが、まだ書いてません。
浦島夕鈴では、次に書くとしたらまずそれですね(^_^;)

浦島が夕鈴だと、色々想像が膨らむのでまだまだ増える予定です。

それではとりあえずこれで!

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