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雪の箱庭

「狼陛下の花嫁」二次小説を書いています。SNSで書いたものを掲載します。

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ある後宮管理人との出会い 1

皆様今日は(^O^)/
中々雪が降らない北国です(・x・)
イヤ別に去年ほど降れ。とは言いませんけども。
もうちょっと冬を体感したい私なのです(・x・)

さて。
「臨時花嫁編」続きです。
今回はちょっとしみじみですよ~…。

稽古をするために立ち入り禁止区域の掃除をすることになった夕鈴。
そこで出会った管理人は、少し曲者で―――?

――――――――――――――――――

【パラレル】
【現代・原作どちらも出ます】



「李順さん、ひとつお願いがあるのですが…。今宜しいですか?」

夜、後宮の陛下の部屋へ私は訪れた。
そこには陛下と李順さんがいて、政務について相談していたようだ。

「何がございましたか?」
「実は…李順さんは、私が自室で稽古していたり、陛下と私が夜に私の部屋で棍の稽古をしていることはご存知ですよね?」
「ええ…不本意ながら。何故お妃が日夜鍛錬したり、混の稽古をするのか、未だに理解が出来ませんがね。」
「う…それは、それとして。やっぱり日中の時間帯でも稽古がしたいんです。陛下との特訓は週に一度か二度ですし。腕を上げるためには、毎日でも練習がしたいんです。」
「お妃教育はどうなさいます?慣れてきたようなので毎日ではなくなりましたが…。」
「そちらも手を抜きません。これまで通り頑張ります。」

夜の練習はどうしても湯殿に入った後になってしまう。自分の筋トレ程度なら良いのだが、陛下と棍の訓練をした後は、やはりそれなりに汗をかく。
これからの季節はもっと暑くなるので、出来れば昼間に稽古がしたい。
そう伝えると李順さんは不承不承ながらも「分かりました。」と言ってくれた。

「日中に稽古をするとなると、お妃の自室では出来ません。後宮の、立ち入り禁止区域のお部屋を使ってもらうことになります。」
「ではそちらで…」
「しかし問題があります。」
「…何ですか?」
「立ち入り禁止区域は、後宮で使っていない閉鎖中の宮殿なんですが、少々埃がたまっているようです。人の出入りもないですし、お使いいただくのは構わないんですが…。」
「分かりました。では掃除をしてから使っても宜しいですか?」
「…宜しいのですか?掃除には人を回してもいいんですが…。」
「いえ。私の我がままで使わせていただくんです。掃除は私がさせて頂きます。」

するとそれまで黙していた陛下が口を開いた。

「ゆーりん、立ち入り禁止区域で特訓するの?」
「はい。陛下との週何回かの特訓も、これまでどうり指導して頂きたいです。」
「いや、そうじゃなくて。」
「…?何かありましたか?」
「あのね、もしかしたら、後宮におじいさんが出没するかもしれないんだ。こちらにはあまり来ないかもしれないけど、立ち入り禁止区域には出没するかも。」
「…おじいさん?」
「うん。ちょっと療養でいなくなってたんだけど、回復したから戻って来てて。後宮でのみんなの相談役として昔からいるんだ。」
「そうなんですか。分かりました。その時は挨拶させて頂きます。」
「うん…。」

陛下は他にも言いたげな様子だったが、結局何も言わなかったので私も追及しなかった。



後日、私はばれないように掃除婦として、後宮の立ち入り禁止区域の掃除に従事した。
それにしてもものすごい埃だ。一朝一夕で掃除が終わるとは思わない。
李順さんには最初、使う部屋だけの掃除でいいと言われたが、この現状を見て私の掃除魂が燃え上がった。こんなに汚いの見過ごせない。
始めの趣旨と変わりそうだ。前半を掃除、後半を鍛錬という風に使い分けるようにするつもりだったが、いつになる事やら。

そのような日々が続いて、三日経った頃。

「―――お主、新人か?」

突然背後から聞こえた声に、持っていたモップ、もとい掃除用具を構えた。
普通に考えて、掃除婦を狙う者などそうそういないが、誰もいない場所で背後から声をかけられるという状況が、私を少し緊張させた。
でもその姿を見たら緊張がすぐに解けた。

「――――おじいさん…。あの、もしかして、後宮の相談役という…。」
「なんじゃい、知っていたのか。わしは張元と言う名じゃ。皆には張老師とも呼ばれておる。後宮管理人じゃ。」
「後宮管理人の張老師…。」

…思っていたのと違うな…。
もっとよぼよぼのおじいさんを想像していた。
見れば療養でいなくなっていたなんて信じられないほど元気そうだ。
もしかしてただ休みたいがために「療養」したのではないだろうか。
―――と、失礼な考えをしていたら、その老師に話し掛けられた。

「なんじゃい。何か気になることでもあるのか?」
「いえ、療養されていたと聞いていたので、どこか悪くされたのかと…。」
「ああ、そのことか。ぎっくり腰でな。ちょっと離宮に行って来たのじゃ。」
「なるほど…。」

どうやら本当に療養だったらしい。申し訳ない発想をした。

「―――して?お主はここで何をしておるのじゃ?」
「何って…見ての通り掃除ですよ。」
「ここは立ち入り禁止区域じゃぞ。」
「許可は頂いております。」

掃除を再開しながら老師の言葉に答えた。
ここの埃が凄いな…
うわ!ここのシミ!…とれるかなぁ…―――あ、とれそう。
…と、掃除に集中し始めたため、夕鈴は突然老師に言われた言葉に心臓が跳ねた。

「―――お主、未来から来たと言うではないか。」
「―――!な、どうしてそれを!?」
「メガネの若造から聞いたのじゃ。―――して、それは本当なのか?」
「―――本当ですよ。」
「そのようなことが、本当に信じられると思うておるのか?」
「信じて貰えるなんて思っていません。私だって信じられなかったんですから。でも、そうだとしか言えない状況なんですよ。」
「―――ふむ。」
「それより、もういいですか?掃除に集中したいんですが。」

早くこのシミ、油汚れ、煤汚れを落としてしまいたい。
老人の暇つぶし……には、付き合っていられない。
私がそう言って掃除に集中し始めた後には、老師は何も言って来なかった。


*****************


「夕鈴。立ち入り禁止区域はどうだった?」
「どうもこうも、凄いですね。埃や煤、シミに油汚れ。あ、蜘蛛の巣もありましたよ!」
「特訓は出来そう?」
「う~ん…暫くは無理そうです。あそこで運動したら、喉を痛めそうです。」
「そう…。」

どうやら思った以上に深刻だったようだ。
夕鈴が掃除することになってしまったが、一人で大丈夫なのか。

「あ、でもやりがいはすっごくありますよ。例え運動でなくとも、動けるのは良いです。このままやらせてもらえますか?」
「…君がそれでいいなら、良いんだけど…。」
「それよりも黎翔様。私、後宮管理人の張老師にお会いしましたよ。」
「あ、そうなんだ。どうだった?」
「…それで」
「ん?」
「老師が、私が未来から来たことを信じられると思っているか、と言われまして…。」
「…ああ…」
「…やっぱり信じられませんよね。…私だって、未だに信じられませんもの。」
「…夕鈴…。」

自分でも信じられない事が、他人に信じて貰えるだろうか。
いや、それはないだろう。
いっそ―――――――

「もしかしたらこれは夢で、起きたら私は部屋に居て、青慎に「何寝ぼけてるの?」とか言われちゃって…」
「夕鈴。」
「父さんを怒鳴って、学校に行って、友達としゃべって…。それでやっと「ああ、あれは夢だったんだ」ってほっとして…」
「夕鈴!」

陛下に強く抱きしめられた。息が出来ないくらい、強く。
私はいつの間にか泣いていた。

―――暫く考えまいとしていたこと。
私は未来に帰れるのか。どうやって帰るのか。…いつ帰れるのか。
一度考え始めたら止まらない。止まらなくて、現代の事を考えて話していたら、
途中から目に涙が浮かんでいた。
最後には声が震えて…

気が付いたら陛下の腕の中。
温かい、人の肌。
包み込むように。守るように。
陛下は私を抱きしめた。
体を少し放して、零れた涙を指で拭いながら、陛下は私の頬に触れた。

「――――夕鈴、泣かないで。泣かれるとどうしていいか分からない。」
「――――あ…?…泣い、て…?わ、たし…」
「うん。」
「…変、ですね。こちらに、来た時も、牢屋、で、目覚めた時も、陛下や、李順さんと、話した時も、刺客に、襲われた時も、…泣かな、かった、のに…」
「…うん。」
「お妃、教育でも、泣かなかった、のに…」
「―――…うん。」
「――――っっ!どう、して!い、今、涙が、止ま、らないん、ですか、ね?」

陛下は再び私を抱きしめた。今度は私の頭を自分の胸に寄せて。
衣装が濡れちゃうとか、息が出来ないとか、
何も考えられず、私は泣き続けた。
陛下の胸に縋って。
いつまでも。



暫くすると、夕鈴の寝息が聞こえてきた。
泣き疲れて眠ってしまったらしい。
僕は夕鈴を抱き上げると、寝所まで連れて行った。
寝台に夕鈴を横たえ、離れようとすると、夕鈴の手が僕の胸元を掴んでいることに気が付いた。
僕は苦笑いすると、夕鈴の手を離れさせ、涙の痕が残る頬に口付けをし、寝台を離れた。


***************

―――――――――――――――――――――

老師が本当に療養云々の話は、私が思ったことです。
このじーさん元気だろう、本当にどっか悪かったのかな、という風に(笑)

こら陛下!寝込みを襲わないでくださいよ!
…と心の中で説教したのは私で(笑)

あ、気づいた方もいらっしゃる方がいるかもしれませんので一応。
夕鈴は陛下の事を「黎翔様」と呼んだり、「陛下」と呼んだり、「二人きりなのに何で?」と思われたかもしれませんが、夕鈴の中では陛下は「陛下」なんです。名前で呼んで(「そういえば」参照)と言われたから呼んでいるだけみたいです。だから動揺すると「陛下」になる。陛下、残念(笑)

…まあ、あわよくば一緒に添い寝しようとか思わないあたり、紳士なのかまだそういう意識が無いのか…
……

…前者だと……思いたい←希望


2へ続く

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