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雪の箱庭

「狼陛下の花嫁」二次小説を書いています。SNSで書いたものを掲載します。

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波乱の予感―変化の予感おまけ―

はい!変化の予感のおまけ話です♪
この話は、今回「変化の予感」で夕鈴と黎翔に振り回された人々が主体となったお話です。
やっぱり必要だろう、と思って書きました(^O^)/

――――――――――――――――――――――――

【原作寄り】
【捏造】




朝食を食べていると、玄関から几鍔が顔を出した。

「―――…あ?…おい、青慎。夕鈴はどこだ?」
「あ、几鍔さん。―――姉は王宮に戻りました。」
「は?」

几鍔は素っ頓狂な声を挙げた。
それはそうだ。あのような様子の夕鈴が、そんなにすぐに戻るとは思わなかった。
そしてすぐに、とある可能性に思い当たる。

「―――もしかして、『李翔』ってやつが来たのか?」
「…はい。」

青慎は、不機嫌そうな几鍔の様子に、少し困ったように答える。

「―――あいつっ!」

几鍔はすぐに踵を返そうとする。
青慎は慌てて止めた。

「あ、姉なら大丈夫だと思いますっ。」
「そんな訳ねぇだろっ!あんなっ…」

あんな様子の夕鈴は、夕鈴の母親が亡くなる時以来、見たことが無い。
つまりそれだけあいつにとって重大な「何か」が起きたに違いない。
気丈に振舞っていたが、今にも泣きそうなあの表情。
あんな顔、もう見たくないと思っていた。
そんな顔を、王宮から戻って来た時にしていた。
夕鈴は明確な事は言わなかったが、原因は『李翔』だったに違いない。
一発『李翔』を殴りたい気分だった。
なのに一晩経って、翌日にはもう居ないなんて、誰が想像つくのか。
あいつが攫って行ったに違いない。
そう思った几鍔は、今なら間に合うかと踵を返したが、青慎に止められた。

「…几鍔さんがどう思うかは分かりませんが、今朝見た姉の表情は、昨日とは全然違いました。きっと、李翔さんとは何か誤解があっただけなんじゃないかと。」
「誤解くらいであいつがあんなになるタマかっ?」
「それは…」

そうだろう。
何とは言っても、姉は下町では「嫁き遅れ」と言われてしまっている。
それは、男相手にも啖呵を切ったり、几鍔さんとのやり取りがそうさせているのかもしれない。
でも何よりも、どんな状況でも、姉は不屈の精神力で耐えてきた。
あのおばば様相手にも「気に入った」と言われるほどの根性の持ち主だ。
誤解程度で、仕事を辞めるような性格ではない。
余程の事があったと思える。
それでも。

「あの姉が戻ると言ったんです。僕は、姉さんの事を信じています。だから、姉が大丈夫と言ったら、大丈夫だと思います。」
「…」

几鍔はその青慎の言葉に、冷静になって行く自分を感じていた。
今あいつらに追いついた所で、絶対夕鈴は王宮に行くだろう。
『李翔』も一緒なら尚更だろう。
あいつは頑固だからな、一度決めたことは意地でも曲げようとしない。
なら、こっちで出来る事とは…

「…分かった。お前がそう言うなら、今回は引いてやる。―――もし、今度『李翔』が来たら伝えとけ。―――次はない、ってな。」
「―――…はい。」

几鍔は苦虫を噛み潰したように言う。
そんな几鍔の言葉を、青慎は神妙な表情で受け取る。
几鍔さんは、何だかんだと姉を心配している。
いつもお互いに噛み付いてばかりいるけど、心の底では二人とも気にしてるんじゃないかな。
玄関から出ていく几鍔を見送りながら、青慎はそう思った。


******************

王宮。
李順は、戻って来るであろう陛下を、いつも以上に緊張しつつ出迎えようとした。
夕鈴の返答次第では、最悪の機嫌で帰って来ることも考えていたからだ。
しかし出迎えた時、一緒に“帰って来た”夕鈴を見て、ほっと一息つく。
これならば、政務が滞る事はなさそうだ。
仕事を最優先事項に考える優秀な側近は、真っ先にそう考える。
―――しかし、遠目に見ても、二人に変わった様子はない。

「―――――…?」

李順は不思議に思った。
陛下の昨日の様子から、夕鈴殿を“説得”してきたと思われるのに、至って以前と変わったところは無い。
二人が、丘の上までたどり着いた。

「―――李順さんっ!」

夕鈴は李順が居る事を認めると、少し身を縮こませる。
王宮への帰路で気が付いたのだが、無断で王宮を退き、剰え浩大を介して偉そうなことを言った気がする。
幾ら怒っていたとはいえ、普通ならあそこで解雇だろう。
陛下が「戻って来て」というからそうしてしまったが、実際の上司は李順さんだ。
何を言われるのか、と考えていたら途中から気分が悪くなりそうだった。
しかし、出迎えた李順さんは至っていつも通りだった。

「夕鈴殿。よく戻って来ました。貴女が居ないと陛下が政務をしないもので…少し困っていたのですよ。さあ、陛下。夕鈴殿も戻ってきた事ですし、早速政務室へ。」
「―――ああ、分かっている。」

李順が言った言葉に、夕鈴は驚いて目を瞠ったが、それより先に黎翔が言葉少なに言う。
李順が王宮の中に誘導すると、黎翔は夕鈴の手を取る。

「―――さ、入ろう?」

戸惑っていると、陛下は私に柔らかい声音で微笑む。
その声に安心し、自然とその手を取っていた。
王宮の中へと入り、誰にも見られずに後宮へと行く。
更に、立ち入り禁止区域へと進む。
すると、ぴょこんと部屋から出てくる影があった。

「ほりゃ、こっちじゃっ!」

その声に誘導され、一同はその部屋に入る。

「―――戻って来たかっ、掃除娘っ!きっと帰って来ると信じていたぞぃ!」
「老師…」

夕鈴は元気そうな老師を見て、緊張が解けた。
元気そうも何よりも、老師と別れたのは昨日なのだが。
王宮に戻って来て、少し緊張していたらしい。
いつもの調子の老師に、ほっとする。

「では、夕鈴殿にはこちらでお妃衣装を着て貰ってから後宮に戻って貰うという事で。―――陛下、我々は政務室に行きますよ。政務が滞っております。」
「―――――――…ああ。」

李順が言うと、黎翔は夕鈴を見る。
その視線にドキッとした夕鈴だが、陛下はすぐに踵を返した。
そして、夕鈴は昨日脱いだ妃衣装を手に取る

「ほ~う…陛下もとうとう男になられたな。」
「…?老師、何を言ってるんですか?陛下は元々男ですよ。」

夕鈴は老師の言っていることが分からなかった。
“男になられた”?
陛下は元々男性でしょうに。
…まさか、実は女性だったとか?
いやいや、有り得ない。
夕鈴はすぐさま否定した。
さすがにその発想は有り得ない。

「そういう意味でないわっ!陛下もとうとうお主に男らしいところをお見せになったのだろうと…」
「…陛下は元々男らしいですよね?」

やっぱり老師の言う事は分からない。
もう放っておいていいかしら。
着替えもしなきゃいけないし。
すると、窓の方から声が降って来る。

「じーちゃん、じーちゃん。残念ながら、そう言う事は無かったよん。」
「な、何とーっ!?」

二人がぎゃあぎゃあと騒ぎ出したので、夕鈴は続き間の方へ行って着替える事にした。
その間も「何じゃとー!?」「でさ~…」という声は絶えなかった。


************

「―――は?陛下、今何と仰いましたか?」
「だから、夕鈴には謝って戻って来て貰った。――それだけだ。」

政務室で書簡を捌きながら、黎翔は言う。
昨日に比べ、その筆の動きは断然早い。
李順は、先ほどの黎翔の言葉を反芻していた。

謝って戻って来て貰った…それだけ…それだけ…

李順は思った以上に衝撃を受けた。
まさか、国王が直々に赴いて、本当に謝って来ただけなのか。
何らかの収穫はあると見込んでいたのだが。
李順は溜息を吐きそうになるが、まだ陛下には確かめたいことがある。

「陛下――――それで、これからどうなさるおつもりです?」
「―――」

黎翔はそこで筆の動きを止める。
李順も、その問いで黎翔の手の動きが止まっても構わない様子だった。
だから、下町での夕鈴を思い出す。
自分の言葉を、真の意味では受け取ってくれなかった夕鈴。
彼女に、自分の想いが伝わる日はまだまだ遠そうだ。
それでも、自分が“どうしたい”のかははっきりと決まっている。

「無論―――――夕鈴はもう、帰すつもりは無い。」

勿論、時々下町に戻るのは許そう。
でも、私の元から居なくなる事はさせない。
もう、二度と。
昏い感情をひた隠しにしながら、夕鈴と一緒に王宮に戻って来たが、道中黎翔はそのような事を考えていた。

「―――ま、でも当分は、現状維持かな~…」

小犬に戻りつつ、黎翔は言う。
焦っても、夕鈴には意味が無い。
下町では本音を吐露したのにあれだ。
自分の思うままに行動したら、それこそ再び夕鈴は逃げるだろう。
ゆっくり、時間を掛けて囲うしかない。

「…そうですか。では、夕鈴殿の借金が終わったら、どうするんですか?」

李順が気になっているのはそこだ。
今はまだ借金があるから繋ぎ止められる。
しかしそれさえも無くなったら、夕鈴が王宮に留まっている理由は無い。
勿論、黎翔の臨時花嫁として継続雇用も有り得るが、彼女はそれはしないと李順は踏んでいる。
だからこそ聞きたかった。
黎翔がどうするのかを。
これからの彼女の扱いを、どのようにするのかを。
それによって、李順の対応も変わる。
今のままか。
今以上の“教育”を施す必要があるのか。

「先ほど言ったが、帰す気は無い。だから―――――…頼めるか?李順」
「―――御意。」

黎翔の意を正確に汲み取った李順は、恭しく拱手した。
黎翔はそれを見て、さすが李順だな、と感心していた。
これから今以上に忙しくなるであろう後宮の兎の事を考え、黎翔は再び筆を持った。


*************

夜。
李順は、これからの計画を建てるため、未だ部屋に残っていた。
黎翔は、猛スピードで書類を捌き、夕方には後宮へと渡って行った。
これから夕鈴に必要な教養、知識。
妃に相応しい、衣装や宝飾品。
夕鈴が臨時花嫁として働いている、と信じている以上物品はまだ用意できないが、手配くらいはしておいた方が良いかもしれない。
後は、これまで以上のお妃教育か。
書類と睨めっこしながら、李順は自分の肩を叩く。

「―――全く。それにしても陛下の対応には驚かされましたよ。」
「――――それは俺も同感っ!」

突然窓から声が飛んでくる。
これはいつもの事なので、李順は慣れている。
すぐに声の正体が分かった為、大して驚きはしない。

「浩大。…実際、下町での陛下と夕鈴殿はどのような感じだったのですか?」
「李順さんも気になるんだ?」

浩大はにんまりと笑う。
普段、黎翔と夕鈴のあれこれは、李順は誰にも聞いた事は無い。
こうして聞いて来ると言う事は、やはりそれなりに気にしているのだろう。

「それは気になりますでしょう。陛下があんなご様子でおられて…謝って帰って来ただけなど、最初は信じられなかったのですから。」
「そうだよね~…老師も驚いてたよ。『陛下は男になったのではないのかっ!』と目をカッと見開いてさ~……ぷくくっ」
「…何ですか、それは。」
「陛下がお妃ちゃんに告白したとでも思ってたんじゃない?」
「それは…まあ、仕方ないですね。私もそう思いましたし。」

だから、ただ謝って来ただけという陛下の言葉に驚いたのだ。

「いや~、でも、本当は陛下、告白してたんだよ?」
「…は?」

それはどう言う事だ。
陛下は「謝って来ただけ」と確かに言ってたのに。
告白してたなら、何故何にも関係が変わって無いのか。

「でも、お妃ちゃんはものの見事に流しちゃって!いや~…あれは見てて清々しいスルーっぷりだったよ…ぷっ」

思い出したのか、浩大はまた笑っている。
夕鈴は予てより鈍感なところがある事は、李順も知っていた。
何せ、あの陛下の言葉に勘違いもせず、頑なに節度を守って来た娘だ。
あれはどうやら、李順が思った以上の鈍感さが成せる技だったらしい。
李順は頭が痛くなってきた。

「難攻不落……ですね」
「だからこそ落とし甲斐があるんじゃない?なんたって、『狼』だし?」

李順は主のこれからを思うと、少し同情を禁じ得ない。
恐らく、思った以上の長期戦になるに違いない。
それまで、狼の理性がどこまで持つのか。
もう一波乱ありそうだと、優秀な側近は予想した。


―――――――――――――――――――――

このおまけは、リク主様とのやり取りから生まれたおまけ話です。

『帰ってきた二人に、李順さんも唖然。(ほとんど何も変わってないから)
老師も唖然(笑)
浩大は…すべてを見ていたので、何とも言えない感じ…ですかね?』

というもの。

一応、「変化の予感」では、李順さんはどちらに転んでも良いように策を考えていました。
夕鈴を諦めるか。それとも捕まえるのか。全ては陛下次第だと。
だから、李順さんには今回「たきつけ役」になってもらいました。
なのに…いざ陛下と夕鈴が帰ってきたら、何も変わっていない関係に唖然。
てっきり告白して本当の妃になることを了承して帰ってきたのだと思っていた李順さん。
これからも苦労の連続でしょう(笑)

ただただ謝って戻ってもらった陛下。
先は長いですよ~?←
何せ、夕鈴ですから(笑)

この話は、続けられるように終わらせたものでもあります(告白)
または、現在すでに書き終わっているものにも繋げられるように書いていたり…
そんな高等技術を、出来るのかどうかは分かりませんがね(笑)

でも、出来るならこの話を主体にした、何らかの別話を書いてみたいです♪


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*Comment

NoTitle 

さきさんの告白を受け取りましたよ♪
お待ちしておりますからね~

どんな話につながっていくのかしら^^
またまたたのしみが増えた~ヽ(*´∀`)ノ
  • posted by ママ 
  • URL 
  • 2013.12/10 13:58分 
  • [Edit]

ママ様へ 

Σ(゜Д゜)

期待されてるっ?!

…頑張ろう!←多分
  • posted by さき 
  • URL 
  • 2013.12/10 14:03分 
  • [Edit]

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