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雪の箱庭

「狼陛下の花嫁」二次小説を書いています。SNSで書いたものを掲載します。

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憧れの先生は…!? 2

続き&終わりです♪

―――――――――――――――――――――


「―――あ、やっほーーっ!」

駅前に着き、さてどこかで一休みしようかと二人で話していたところ、大きな声で呼び止めるものが居た。
声を張り上げて手を振りながら、一人の少年が近づいて来る。

「―――え?浩大さん?」
「…夕鈴知ってるの?」
「はい。私に先生のアシスタントを紹介してくれた方です。」

責任者がこんな少年!?と思っていた夕鈴だったが、実年齢を聞くと、夕鈴より結構上った。
それを聞いた時の衝撃と言ったら…

「―――そうか。浩大が夕鈴を僕のところに…」
「――え?浩大さんとお知り合いなんですか?」
「…ああ…まあ…」

考えてみれば、と夕鈴は思った。
浩大さんが白麗先生のアシスタントバイトを教えてくれたんだから、二人が知り合いの可能性もあった。
二人が話していると、浩大がこちらに着いた。

「何してんのー?お二人さん。あっ!もしかしてデートっ?」

ぷくく~と笑う浩大は、二人をからかう気満々だ。

「そ、そんなんじゃありませんっ!」

勿論、否定する夕鈴。

「えー…?夕鈴、これデートだよね?」

微妙に悲しげに確認して来る黎翔。

「えっ?あ、いや、確かにそうだったかもしれませんが、厳密には違いますよねっ、というか、浩大さんには、別にバレても良いんじゃ…」

悲しそうに問い掛ける黎翔に焦った夕鈴は、必死に弁明する。
その二人の様子を見て、浩大はハハ~ンと何か思い当たったように笑う。

「何だかよく分かんねーケド、とりあえず二人は問題無いんだな?」
「あ、はい。先生の職場で働かせて貰ってます。」

浩大は夕鈴を先生の職場に紹介してくれた人だ。
もしかしたら、心配していてくれていたのかもしれない。

「そっか。じゃあ、お邪魔虫はとっとと消える事にするヨ」
「!!!だから、そんなんじゃ…っ」

浩大がひらひら~と手を振ってその場を後にする。
夕鈴は「お邪魔虫」の言葉に『デート』を意識して顔を真っ赤にしたが、これも仕事!と意識を切り替える事にした。
黎翔は浩大が離れると、にこにこ笑顔で夕鈴の手を握った。
そして二人は近くの喫茶店で休憩することになった。



浩大は二人から離れると、一人呟いた。

「…ふ~ん…ちゃんとやれてるみたいじゃん。――あーんな楽しそうな顔しちゃってさ~…。ま、あの子にして良かったってことかナ」

浩大の言葉は、町中の喧騒に消えた。


**********************

黎翔はデートについて詳しいプランを立てていなかった。
どうやら、思いつきで夕鈴を連れ出したらしい。
そんな訳で、黎翔が聞いた事は

「夕鈴。どこに行く?」
「…えーっと…」

特に夕鈴もデートの経験は無い。
これまで、男の人と外出などしたことなど無いからだ。
家族を除いて。

「すみません…私もデートの経験が無くて…お役に立てそうに無いです…」

しゅん…と夕鈴は頭を垂れる。
しかし、黎翔はそれを意に介さず続けた。

「そうじゃなくて。夕鈴はどこに行きたい?」
「え?」
「デートって、行く場所なんて決まって無いよ?基本、恋人の行きたい場所に行くのが普通でしょ?だから、夕鈴が行きたい場所に行こうよ。」
「こ…」

『恋人』の単語に反応した夕鈴は真っ赤になって口をパクパクさせた。
―――こ、こここ、恋人っ?
何それ、何のこと?
夕鈴は一瞬現実逃避しそうになる。
ここで黎翔の言う『恋人』とは、一緒に歩いている夕鈴の事だ。
デートなのだから、確かに夕鈴のポジションは『恋人』と言う事になる。
しかし面と向かって黎翔に言われた事で、夕鈴は頭の中が沸騰しそうなくらいであった。

「ねぇ、夕鈴の行きたい所って、ある?」
「え、えっと…あの…―――じゃ、じゃあ、映画館とかはどうですかっ?!」

半ば勢いで夕鈴は言う。
デートと言えば、映画館。
夕鈴の頭の中には、そんな図式が成立していた。
何でかは知らないが、デートには映画は付き物らしい。

「いいねっ!じゃあ、映画を観ようか。」

黎翔は笑顔で夕鈴の手を取り、映画館へと足を進めた。



映画館。
夕鈴は、自分で言い出した事を後悔し始めていた。
何故なら――――…先生に手を握られているからだ。

―――何で手を握るのっ!?

夕鈴の意識は既に目の前のスクリーンから離れており、熱くなっているであろう自分の左手に集中していた。
さっきから離そうともぞもぞ動かしてみるものの、黎翔は全く動かない。
しっかり握りこんでいて、離そうとしない。
しかも、指と指を絡める恋人繋ぎだ。
映画が上映されていて、叫ぶこともできない夕鈴は、このある種の拷問の様な時間をひたすら耐えていた。



「いや~、映画面白かったねぇ~」
「…そうですね…」

げっそりとする夕鈴。
一方の黎翔は、にこにこと上機嫌だ。

「それで、次はどこに行く?」
「えーっと……―――先生。もうお開きにしませんか?」
「…え?」
「私、仕事の途中で出てきてしまいましたし、先生も仕事がありますよね?」
「―――」
「一応、喫茶店に入って…映画を観て…。デートらしい事はしたと思うんですけど…どうでしょう?」
「――夕鈴は、そんなに早く帰りたいの?」
「え?」
「…そんなに、僕とのデートは…嫌?」

きゅーん…と、小犬が叱られたみたいに萎んだ様子を見せられた夕鈴は、あわあわと焦り出した。

「い、いえっ、あのっ、先生が嫌いとかじゃなくてっ。ただ、私はバイトですし、ちゃんと自分の仕事も全うしたいと…」
「君の仕事は、僕のアシスタントだよね?」
「ふぇ…?あ…はいっ」

突然の黎翔の切り返しに、夕鈴は間抜けな声を出してしまった。

「僕のお仕事の手伝いをするのが、君の仕事だよね?」
「…はい」

確かにそうだ。
先生が漫画の参考に、とデートをしているのだから、これも仕事の一環だ。
なら、それに協力するのも私の仕事なのだろう。
少し首を傾げそうにはなるが。

「だから、僕とデートするのが君の務めじゃないかな?」
「はい……―――へ?」

今何か突飛な事を言われた気がした。
それを具体的に考えようとしたら、先生が急に近づいて来た。
そして私の手を握り、くるりと方向転換した。

「じゃあ、デートの続きね!さ、夕鈴。どこ行きたい?」
「ちょ、待って…引っ張らないでください…!」

ご機嫌になった先生に引っ張られるまま、私はデートの続きをされることとなった。


***************

結局、始終振り回されっぱなしの夕鈴は、日が暮れる頃には疲労困憊の体であった。
映画の後、先生は『あそこのデパートに行こう!』と言い出して、何か買う物でもあるのかな、と思いきや

『今日の記念に、何かお揃いの物買おうよ。何が良い?』

とか言い出した。
勿論私は固辞したのだが(いくらなんでもそこまでする意味が分からないので)、そこで出てきたのがあの『小犬の様な顔』である。
きゅーん…と、飼い主からはぐれた小犬が涙目で懇願して来るような…そんな顔をされると、こちらが何か悪い事をしてるのではという罪悪感に駆られ、結局要求を呑んでしまう。
すると急に喜んでしっぱをパタパタさせる(幻覚が見える)ものだから、何だか小動物を懐柔しているみたいで思わず苦笑した。

仕事の時はあんなに鋭い目つき…まるで狼を思わせる顔なのに、ここに居る先生は小犬。
デートに誘われた時は少し怖かったが、今はもうそんなに怖くはない…よく分からない人というのは変わらないが。
夕鈴がそんな事を考えていると、食器コーナーのマグカップを見ていた黎翔が夕鈴の方に振り向いた。

「夕鈴、これにしようか。」
「マグカップ…ですか?」

先生が持っていたのは、色が違うお揃いのマグカップ。
表面には色々な動物が描かれていて、白い方のマグカップには犬が、ピンクの方のマグカップには兎が特に大きく描かれている。
一目で『可愛い』と思った夕鈴は、黎翔からマグカップを受け取り、しげしげと眺める。

「気に入った?」
「はいっ!」
「じゃあ、これにしようか。」
「はいっ……え……?」

夕鈴は一瞬何の事か分からなくて、手元からマグカップが消えても気付かなかった。
そして『お揃いの物を買う』という当初の予定を思い出した。
思い出したら、一気に顔が赤くなった。

―――思いっきり喜んじゃったわよ?!私!!

これじゃまるでお揃いの物が買えて喜んでいる『恋する女の子』みたいだ、という少女漫画的な発想が過る。
黎翔が会計を済ませている間中、夕鈴は一人悶えていた。

「さて……じゃあ、そろそろ戻ろうか。」
「あ……はい……」

一人赤くなっていた夕鈴は、黎翔が戻ろうと言い出した時、この時間ももう終わりかと思うと、少し残念に思った。
最初は、あんなに不審がっていたのに。
途中でも、早く戻ろうって言ってたのに。
――私、自分で思っている以上に、今日のお出掛けが楽しかったのかな?
デパートから出て、黎翔との帰り道。
夕鈴はそんな事を考えた。


********

もうすぐ職場に戻るという所で、黎翔が急に足を止めた。
何だろう、と少し後ろを歩く夕鈴も立ち止まる。
黎翔が振り返り、夕鈴と向かい合う。

「夕鈴、良かったら、また今度もデートしてくれる?」
「へっ?」

何を言い出すのかと思いきや、黎翔はさらっとそんな事を言う。
夕鈴は目を瞠って、今聞いた事は幻聴か、と自分に問い質す。

「あの…また漫画の参考にするという事ですか?」

そんなに頻繁にネタって集めるものなのだろうか。
まだ素人の域をでない夕鈴は、そう考えた。

「いや。僕が夕鈴と出掛けたいんだ。もっと夕鈴の事が知りたい。」
「…えっと…?」

私と出掛けたい?
私の事が知りたい?
―――何で?
先生が言いたいことが分からない。
言葉の意味が分からないんじゃなくて、どうしてそんな事を言うのかが分からない。
だって、私は会ったばかりの先生のバイト。
そんな私と出掛けて、何が楽しいのだろうか?
夕鈴が眉根を寄せて考え込むと、黎翔が真剣な表情で理由を告げる。

「君と居ると僕は楽しいんだ。仕事として会うだけじゃなくて、プライベートでも君と会いたい。―――駄目かな?」
「えっと、あの、ダメってわけじゃないんですけど…。――どうしてそんなに私の事が知りたいんですか…?」

まだ黎翔の意図が掴めない夕鈴は、戸惑うばかり。
そこで黎翔はふっ…と微笑んで言う。

「君の事が知りたい、というのに、理由が必要かな?」

…あれ?
理由になって無い気がする。
でも…「知りたい」ということは、知識欲だろうか?
それなら、確かに理由は必要ないだろう。
何でそれが私に発揮されるのかは分からない。
まあ…単なる一時的な興味かしら…それなら、別に良いか。
単なる興味、と考えたところで、夕鈴はちくりと胸が痛む感じがした。
それを無視して、夕鈴はとりあえず頷く事にした。

「それなら―――…はい、分かりました。」
「うん!…ありがとう、夕鈴。」

この人のその笑顔は、先ほどの痛みをすぐに打ち消した。

―――この感情の正体を、私はまだ知らない。
目の前の男性の一挙一動に自分の感情が揺れ動く、この感情を。

夕鈴の返事を聞くと、黎翔は再び前を向いて歩き出す。
それに夕鈴も無言でついて行く。
ちらりと、前を行く黎翔を見る。

―――まだまだバイトが始まって一週間。
その一週間で、こんなにもこの人に振り回されてる。
バイトは始まったばかりなのに。
――まだまだこの人の事は良く分からないけれど、これから分かるようになるのかな。
夕鈴はそう考える。

――この人は、私の事が知りたいと言った。
――でも私も、もっと先生の事が知りたい。

そう思うのは何でだろうと思いながらも、夕鈴は頭を振った。
とにかく、今はバイトに集中!
ちゃんと仕事しなくちゃ!
夕鈴は背筋を伸ばしてしゃきっと歩く。



―――夕鈴がその感情の正体を知るのは、まだまだ先の事となる


―――――――――――――――――――――

リク内容は

『黎翔さんはとある人気少女漫画家☆夕鈴はその漫画が大好きです!!ある時、ひょんな事から大好きな漫画家のアシスタントをすることになった夕鈴。目の前には憧れの先生?!』

です♪

R様、リクありがとうございました!

漫画家の話は、結構難しいですね(^_^;)
もっと修行せねば!と思いました(^u^)


おまけ↓

――――――――――――――――――

「本当にもうっ!大人しくしてない人ですよっ!」

あの時、嫌な予感がして黎翔の職場に戻った李順だったが、時既に遅し。
黎翔はバイトの夕鈴と抜け出したらしく、その場に居なかった。

「まあまあ。これからあの子が居るなら、少しは真面目に仕事するんじゃない?」

浩大は二人と別れた後、『白麗先生』の職場に来ていた。
きっと、鬼編集がキレてるなと思いながら。

「そうだと…良いですけどね……ふふふ…」

案の定キレてるようで、李順は顔が怖いのに出ている声は笑い声だった。

「…お~…怖……」

あの二人が帰ってきたら、李順さんのお説教が待ってるな~と、浩大は他人事のように思った。
その時、丁度玄関から音がした。

「―――あ、帰ってきたみたいだ。」
「…ふふふふふ……」

不気味な笑い声を発した後、李順はゆっくりと立ち上がる。
その様子に、仕事場の人間全員がびくりと肩を揺らす。

あちゃぁ~……こりゃ、完璧にキレてるぜ~?
どう言い訳するのかねぇ~…先生さんよ?

浩大は心の中にその台詞を留めるだけにした。
――さしずめ最初の障害は李順さんだろうな~…
そう思いながら。

―――――――――――――――――――――

ちなみに私の中では、浩大が黎翔さんの才能を見出し、李順さんがその補佐(性格とか諸々の(笑))になっています(笑)←

原作とは関係図が全く異なりますねぇ~(^u^)

それもまた新鮮です♪

まあ、夕鈴が自分の事を『偽の恋人』と思っているところは変わりませんが←

では!


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*Comment

NoTitle 

小犬で懐柔したい放題な黎翔さん(笑)
ああ、夕鈴流されすぎだよ~( ̄▽ ̄;)
この調子でドンドンデートに行きそうですね~
そして李順さんこちらでも頭痛と胃痛?(笑)
お疲れ様です(憐)
  • posted by ママ 
  • URL 
  • 2013.12/12 19:02分 
  • [Edit]

ママ様へ 

パラレル以外の黎翔さんは、あざとく小犬を使い分けます(笑)
きっと言葉巧みに夕鈴をデートに誘うに違いないwww

それでも李順さんの立ち位置は変わらない<苦労人
ドンマイ!←酷
  • posted by さき 
  • URL 
  • 2013.12/13 12:23分 
  • [Edit]

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